7億円の資産があると、平均的な生活では何年暮らせるのでしょうか。また、銀行預金の利息や株式の配当金だけで暮らすことはできるのでしょうか。本記事では7億円で暮らせる年数や、利息・配当金だけでの生活をシミュレーションしました。
まずはシミュレーション結果を簡単にご紹介し、その後に前提条件や計算方法についても解説します。
目次
7億円の資産で平均的な生活を送る場合、単身世帯では348年、二人以上世帯では198年ほど暮らせます。毎月の生活費を2倍にしたとしても、約100年までは安定して暮らせる計算です。
本シミュレーションの生活費は、総務省統計局による家計調査(2023年分)を参考にしています。家計調査のデータは全国の平均値であるため、お住まいの地域や実際のライフスタイルによって結果は変わる可能性があります。
また、年金については加入者によって受給額が異なるので、本シミュレーションでは考慮していません。物価の変動についても考慮していないため、将来的にインフレによってシミュレーション通りの生活が送れなくなる可能性があります。
7億円の資産で何年暮らせるのかは、生活水準や家族構成などによって変わります。以下では、「平均的な暮らし」「余裕のある暮らし」「裕福な暮らし」の3パターンに分けて、単身世帯と二人以上世帯が暮らせる年数をシミュレーションしました。
各パターンの生活費については、総務省統計局の家計調査をもとに計算しています。
<各パターンの計算方法>
・平均的な暮らし
→家計調査(2023年分)の平均支出額から計算
・余裕のある暮らし
→「平均的な暮らし+月10万円の支出」で計算
・裕福な暮らし
→「平均的な暮らし×2倍」の生活費で計算
<単身世帯の生活費>
消費支出の内訳 | 1ヵ月あたりの平均支出額 |
---|---|
食料 | 4万2,049円 |
住居 | 2万3,799円 |
光熱・水道 | 1万3,045円 |
家具・家事用品 | 5,760円 |
被服及び履物 | 4,447円 |
保健医療 | 7,367円 |
交通・通信 | 2万1,654円 |
教育 | 2円 |
教養娯楽 | 1万8,794円 |
その他の消費支出 | 3万704円 |
合計 | 16万7,620円 |
(参考:e-Stat「家計調査 家計収支編 単身世帯用途分類 001 用途分類(総数) 全国 | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口」)
<二人以上世帯の生活費>
消費支出の内訳 | 1ヵ月あたりの平均支出額 |
---|---|
食料 | 8万1,738円 |
住居 | 1万8,006円 |
光熱・水道 | 2万3,855円 |
家具・家事用品 | 1万2,190円 |
被服及び履物 | 9,297円 |
保健医療 | 1万4,645円 |
交通・通信 | 4万2,693円 |
教育 | 1万446円 |
教養娯楽 | 2万8,630円 |
その他の消費支出 | 5万2,498円 |
合計 | 29万3,997円 |
(参考:e-Stat「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯用途分類 001 用途分類(総数) | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口」)
ここからは、実際のシミュレーション結果をご紹介します。
7億円の資産で何年暮らせるかは、以下の式で計算できます。
<暮らせる年数の計算式>
保有資産÷(毎月の生活費×12ヵ月)=暮らせる年数
※小数点以下は切り捨て、以下同様。
前述のデータをもとに、単身世帯・二人以上世帯が暮らせる年数を計算してみましょう。
<単身世帯>
7億円÷(16万7,620円×12ヵ月)=348年
<二人以上世帯>
7億円÷(29万3,997円×12ヵ月)=198年
いずれの世帯でも、一世代が暮らすには十分な資産であることがわかりました。
余裕のある暮らしを想定した場合、単身世帯では月26万7,620円、二人以上世帯では月39万3,997円の生活費が必要です。したがって、7億円の資産で暮らせる年数は以下となります。
<単身世帯>
7億円÷(26万7,620円×12ヵ月)=217年
<二人以上世帯>
7億円÷(39万3,997円×12ヵ月)=148年
平均的な暮らしよりは短くなりましたが、余裕のある暮らしでも十分に生活できる結果となります。
裕福な暮らしをする場合、単身世帯では月33万5,240円、二人以上世帯では58万7,994円の生活費がかかります。したがって、シミュレーション結果は以下となります。
<単身世帯>
7億円÷(33万5,240円×12ヵ月)=174年
<二人以上世帯>
7億円÷(58万7,994円×12ヵ月)=99年
7億円の資産があれば、二人以上世帯でも約100年は暮らせることがわかりました。
7億円の資産があると、銀行預金の利息だけでは何年暮らせるのでしょうか。以下では普通預金と定期預金に分けて、利息だけで暮らせる年数をシミュレーションしました。
日本銀行の資料(預金種類別転倒表示金利の平均年利率等)によると、普通預金(国内)の平均金利は2022年3月時点で年0.001%です。銀行によっては年0.02%程度の場合もありますが、平均金利で見ると2017年1月から同じ水準が続いています。
以下では適用金利を年0.001%または年0.02%として、普通預金に預け入れた場合の利息を計算してみます。
<1年間の利息の計算式>
預け入れる金額×適用金利=1年間の利息
<1年間の利を計算>
7億円×0.001%=7,000円(年0.001%の場合)
7億円×0.02%=14万円(年0.02%の場合)
年0.02%の金利が適用されたとしても、1年間に受けとれる利息は14万円ほどです。生活費を節約したとしても、国内の普通預金だけで暮らすことは難しいでしょう。
また、普通預金の金利が変動することによって利息も増減する可能性がある点について考慮しておく必要があります。
参考:日本銀行「預金種類別転倒表示金利の平均年利率等」
日本銀行の同じ資料によると、2022年3月時点における定期預金の平均金利は年0.002%~0.003%です(※預入金額1,000万円以上、預入期間6ヵ月~10年の場合)。なかには適用金利が年0.1%を超える銀行もありますが、平均金利については普通預金とそれほど変わりません。
以下では3パターンの適用金利で、7億円を定期預金に預け入れた場合の利息を計算してみます。
<1年間の利を計算>
7億円×0.002%=1万4,000円(年0.002%の場合)
7億円×0.003%=2万1,000円(年0.003%の場合)
7億円×0.1%=70万円(年0.1%の場合)
適用金利が年0.1%の定期預金でも、1年間に受けとれる利息は70万円です。月に換算すると約5万8,333円となるため、利息だけでの生活は難しいことがわかります。
また、普通預金と同じく定期預金も金利が変動する可能性ついても考慮しておきましょう。
参考:日本銀行「預金種類別転倒表示金利の平均年利率等」
株式投資の配当金で運用する場合、7億円の配当生活だけでは何年暮らせるのでしょうか。日本取引所グループによると、有配会社(配当金をだしている銘柄)の平均配当利回りは以下の通りです。
<市場別の平均配当利回り>
プライム市場:年2.24%
スタンダード市場:年2.49%
グロース市場:年1.65%
(※上記は2024年5月末時点のデータ)
参考:日本取引所グループ「その他統計資料」
以下では3つの市場に分けて、7億円の配当生活をシミュレーションしてみます。
こちらは、わかりやすいように配当金が一定であることを前提にして計算しているため、実際に運用する際は受けとれる金額が変動することを考慮しましょう。さらに、投資の損益については株価の変動にも左右されるため、シミュレーション通りに運用できない点も
1年間に受けとれる配当金は、次の式から計算できます。
<1年間の配当金の計算式>
投資資金×配当利回り=1年間の配当金
プライム市場の平均配当利回りを想定した場合、期待できる配当金は以下の通りです。
<1年間の配当金を計算>
7億円×2.24%=1,568万円
プライム市場で期待できる配当金は、年間1,568万円になりました。平均的な暮らしを送った場合に、この資金で何年暮らせるかを計算してみましょう。
<年間1,568万円で何年暮らせるのか>
1,568万円÷(16万7,620円×12ヵ月)=約7.7年(単身世帯の場合)
1,568万円÷(29万3,997円×12ヵ月)=約4.4年(二人以上世帯の場合)
なお、税制優遇制度を使わずに株式投資をする場合は、運用益に対して20.315%の税金(所得税や住民税)がかかります。年間1,568万円の配当金があると仮定して、実際の税額を計算してみましょう。
<配当金に対する税金を計算>
1,568万円×20.315%=318万5,392円
参考として税金を計算しましたが、税制優遇制度の利用状況は人によって異なります。そのため、以降のシミュレーションは税金を考慮しない形で行います。
次に、スタンダード市場で運用する場合のシミュレーションを行います。
<1年間の配当金を計算>
7億円×2.49%=1,743万円
スタンダード市場の平均配当利回りを想定した場合、期待できる年間配当金は1,743万円になりました。プライム市場と同じく、この年間配当金で暮らせる年数を計算してみましょう。
<年間1,743万円で何年暮らせるのか>
1,743万円÷(16万7,620円×12ヵ月)=約8.6年(単身世帯の場合)
1,743万円÷(29万3,997円×12ヵ月)=約4.9年(二人以上世帯の場合)
グロース市場についても、同じ流れでシミュレーションを行います。
<1年間の配当金を計算>
7億円×1.65%=1,155万円
<年間1,155万円で何年暮らせるのか>
1,155万円÷(16万7,620円×12ヵ月)=約5.7年(単身世帯の場合)
1,155万円÷(29万3,997円×12ヵ月)=約3.2年(二人以上世帯の場合)
なお、本シミュレーションはあくまで平均値を想定したものであり、実際の配当利回りは銘柄ごとに異なります。また、株式投資のリターンは株価にも左右されるため、上記の結果は参考程度に留めてください。
平均寿命を想定した場合、7億円の資産があると毎月いくら使えるのでしょうか。厚生労働省の「令和4年簡易生命表」によると、男性の平均寿命は81.05歳、女性は87.09歳とされています。
以下では「20歳・30歳・40歳・50歳」を開始年齢として、4パターンでのシミュレーションを行いました。
平均寿命まで毎月使える生活費は、以下の式で計算できます。
<毎月使える生活費の計算式>
保有資産÷(平均寿命-現在の年齢)÷12ヵ月=毎月使える生活費
男性の平均寿命を81歳、女性の平均寿命を87歳として、それぞれの生活費を計算してみます。
<毎月使える生活費を計算>
7億円÷(81歳-20歳)÷12ヵ月=95万6,284円(男性)
7億円÷(87歳-20歳)÷12ヵ月=87万646円(女性)
男性は月に約95万円、女性は約87万円まで使える結果になりました。7億円を20歳から使い始める場合でも、裕福な暮らし(平均水準の2倍)は十分に送れることがわかります。
次に、30歳から7億円で生活するシミュレーションを行います。
<毎月使える生活費を計算>
7億円÷(81歳-30歳)÷12ヵ月=114万3,790円(男性)
7億円÷(87歳-30歳)÷12ヵ月=102万3,391円(女性)
30歳を開始時点とした場合は、男女ともに毎月100万円以上を使える計算になります。平均的な暮らしを想定すると、二世帯や三世帯で生活することも可能です。
40歳から7億円で生活する場合は、どれくらいの生活費を使えるのでしょうか。
<毎月使える生活費を計算>
7億円÷(81歳-40歳)÷12ヵ月=142万2,764円(男性)
7億円÷(87歳-40歳)÷12ヵ月=124万1,134円(女性)
男性は月に約142万円、女性は約124万円まで使える結果になりました。平均的な二人以上世帯を基準にすると、3倍~4倍程度の生活費を使える計算です。
最後に、50歳から7億円で生活するシミュレーションを行います。
<毎月使える生活費を計算>
7億円÷(81歳-50歳)÷12ヵ月=188万1,720円(男性)
7億円÷(87歳-50歳)÷12ヵ月=157万6,576円(女性)
毎月使える生活費は、いずれの性別でも150万円以上になりました。平均的な二人以上世帯を基準にすると、5倍~6倍程度の生活費は使えると考えられます。
平均的な生活を想定した場合、7億円の資産があると単身世帯では約350年、二人以上世帯では約200年まで暮らせます。ただし、高額な買い物をしたり贅沢な暮らしをしたりすると、生活資金が大きく減るかもしれません。また、配当狙いで株式投資を行った場合、配当利回りは確定されたものではなく、元本が損失を被るリスクもあります。さらに最近では物価が上昇してきており、インフレが進展していることで、最後にご紹介した平均寿命から考える毎月使える生活費で、計算通りに生活できるとは限らない状況です。
様々なリスクや変化にも対応し、ライフプランの修正が必要にならないように、7億円の資産があっても計画的な生活や運用を心がけましょう。
※過去の実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。