1億円の金融資産を保有している場合、2人以上世帯の生活費としては約30年分にあたるため、必ずしも一生暮らせるとは限りません。本記事では具体的な数値を用いて、「1億円で何年暮らせるか」「何億あれば一生暮らせるか」や資産1億円を達成するためのシミュレーションを紹介します。
今回のシミュレーションは将来の物価変動を考慮していないため、ライフスタイルや家族構成が同じでも想定通りの生活を続けられるとは限らない点には注意しましょう。
目次
一般的な生活費の2人以上世帯を想定すると、1億円の資産で暮らせるのは約30年です。30歳の夫婦が平均寿命まで暮らす場合は、約1億8,848万円の資産が必要になります。
以下の表は、本記事で行ったシミュレーションの結果をまとめたものです。シミュレーションの詳細は、後ほどご紹介します。
世帯構造 | 1億円で暮らせる年数 |
---|---|
単身世帯 (一般的な生活費) | 年金あり:51.5年 年金なし:60.4年 |
単身世帯 (平均以上の生活費) | 年金あり:39.4年 年金なし:46.1年 |
2人以上世帯 (一般的な生活費) | 年金あり:28.6年 年金なし:38.5年 |
2人以上世帯 (平均以上の生活費) | 年金あり:24.4年 年金なし:32.8年 |
世帯構造 | 一生暮らすのに必要なお金 |
---|---|
単身世帯 (一般的な生活費) | 20歳:1億2,400万円 30歳:1億400万円 40歳:8,500万円 |
単身世帯 (平均以上の生活費) | 20歳:1億6,200万円 30歳:1億3,700万円 40歳:1億1,100万円 |
2人以上世帯 (一般的な生活費) | 20歳:2億2,300万円 30歳:1億8,800万円 40歳:1億5,300万円 |
2人以上世帯 (平均以上の生活費) | 20歳:2億6,100万円 30歳:2億2,000万円 40歳:1億7,900万円 |
上記はあくまで目安であり、実際の年数・金額は家族構成などで変わります。
1億円で暮らせる年数は、生活水準と家族構成によって変わります。それぞれ以下4ケースに分けて、シミュレーションをまとめています。
<生活水準・家族構成別4ケース>
①単身世帯(一般的な生活費)
②単身世帯(平均以上の生活費)
③2人以上世帯(一般的な生活費)
④2人以上世帯(平均以上の生活費)
上記4ケースについて、細かくシミュレーションしていきます。
細かくシミュレーションをするために、まずは生活費などの前提条件を整理しましょう。
<単身世帯の生活費>
消費項目 | 1ヵ月あたりの支出金額 |
---|---|
食料 | 3万9,069円 |
住居 | 2万3,300円 |
光熱・水道 | 1万3,098円 |
家具・家事用品 | 5,487円 |
被服及び履物 | 5,047円 |
保険医療 | 7,384円 |
交通・通信 | 1万9,303円 |
教育 | 0円 |
教養娯楽 | 1万7,993円 |
その他の消費支出 | 3万1,071円 |
合計金額 | 16万1,753円 |
<2人以上世帯の生活費>
消費項目 | 1ヵ月あたりの支出金額 |
---|---|
食料 | 7万7,474円 |
住居 | 1万8,645円 |
光熱・水道 | 2万4,522円 |
家具・家事用品 | 1万2,121円 |
被服及び履物 | 9,106円 |
保険医療 | 1万4,705円 |
交通・通信 | 4万1,396円 |
教育 | 1万1,436円 |
教養娯楽 | 2万6,642円 |
その他の消費支出 | 5万4,817円 |
合計金額 | 29万865円 |
(参考:総務省統計局「家計調査(家計収支編) 調査結果」)
総務省統計局の家計調査によると、2022年の平均的な生活費は上記の通りです。
また、地域やライフスタイルによっては生活費が多くかかることもあるので、本シミュレーションでは「平均以上の生活水準」についても考えます。
以下の「平均以上の生活水準」は、「平均の生活水準」に月5万円を加算して計算しています。
<平均以上の生活水準>
単身世帯:21万1,753円
2人以上世帯:34万865円
ここからは4つのパターンに分けて、1億円で何年暮らせるのかをシミュレーションします。以下、小数点第二位以下は切り捨てて計算しています。
まずは、老後に受けとれる年金を含めない形で計算をしてみましょう。一般的な生活費については、家計調査(2022年)の平均金額をそのまま用います。
<計算式>
1億円÷(一般的な生活費×12ヵ月)=暮らせる年数
<年金なしで暮らせる年数>
1億円÷(16万1,753円×12ヵ月)=51.5年
次に、65歳から年金を受けとるケースについて考えます。厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和3年度)」によると、国民年金と厚生年金を合わせた平均受給額は月額14万3,965円です。仮にこの半額を20年間受けとると想定して、1億円で暮らせる年数を計算してみます。
<受けとる年金の計算式>
(平均受給額÷2)×12ヵ月×20年=受けとる年金
<受けとる年金を計算>
7万1,982円×12ヵ月×20年=1,727万5,680円
<年金ありで暮らせる年数の計算式>
(1億円+受けとる年金)÷(一般的な生活費×12ヵ月)=暮らせる年数
<年金ありで暮らせる年数>
(1億円+1,727万5,680円)÷(16万1,753円×12ヵ月)=60.4年
年金なしのケースと比べると、9年ほど長く生活できることが分かりました。
次に、平均以上の生活費で暮らす単身世帯のシミュレーションを行います。
<年金なしで暮らせる年数>
1億円÷(21万1,753円×12ヵ月)=39.4年
<年金ありで暮らせる年数>
(1億円+1,727万5,680円)÷(21万1,753円×12ヵ月)=46.1年
年金なしで暮らせる年数は39.4年、年金ありの場合は46.1年になりました。一般的な生活費のケースと比べると、暮らせる年数が7年ほど短くなっています。
2人以上世帯についても、まずは年金なしで暮らせる年数から計算をしてみます。
<年金なしで暮らせる年数>
1億円÷(29万865円×12ヵ月)=28.6年
次に、65歳から年金を受けとるケースについて考えます。ご家庭によって受給額は異なりますが、ここでは夫婦それぞれが月額7万1,982円を20年間受けとると仮定して、暮らせる年数をシミュレーションします。
<年金ありで暮らせる年数>
2人分の受給額×12ヵ月×20年=受けとる年金
14万3,965円×12ヵ月×20年=3,455万1,600円
<年金ありで暮らせる年数の計算式>
(1億円+受けとる年金)÷(一般的な生活費×12ヵ月)=暮らせる年数
<年金ありで暮らせる年数>
(1億円+3,455万1,600円)÷(29万865円×12ヵ月)=38.5年
単身世帯と比べると、暮らせる年数が20年ほど短くなっています。
次に、平均以上の生活費で暮らす2人以上世帯のシミュレーションを行います。
<年金なしで暮らせる年数>
1億円÷(34万865円×12ヵ月)=24.4年
<年金ありで暮らせる年数>
(1億円+3,455万1,600円)÷(34万865円×12ヵ月)=32.8年
毎月の支出が5万円増えると、1億円で暮らせる年数は4年~6年ほど短くなることが分かりました。
何億円あれば一生暮らせるかについて、今回も以下4ケースに分けてシミュレーションを行なっていきます。
<生活水準・家族構成別4ケース>
①単身世帯(一般的な生活費)
②単身世帯(平均以上の生活費)
③2人以上世帯(一般的な生活費)
④2人以上世帯(平均以上の生活費)
以下の前提条件をもとにシミュレーションしていきます。
<シミュレーションの前提条件>
開始時の年齢:30歳
終了時の年齢:84歳(※)
一般的な生活費:単身世帯は16万1,753円、2人以上世帯は29万865円
平均以上の生活費:単身世帯は21万1,753円、2人以上世帯は34万865円
(※)男女の平均寿命を平均し、小数点以下を切り捨てた年齢。
一生暮らすのに必要なお金は、以下の式で計算できます。
<必要なお金の計算式>
1年あたりの生活費×寿命までの年数=必要なお金
<必要なお金を計算(30歳からの場合)>
(16万1,753円×12ヵ月)×(84歳-30歳)=1億481万5,944円
シミュレーションの開始を30歳とすると、約1億円の資産が必要になりました。ほかの年齢から始めた場合の結果についても、以下で簡単にご紹介しましょう。
開始時の年齢 | 一生暮らすのに必要なお金 |
---|---|
20歳 | 1億2,422万6,304円 |
25歳 | 1億1,452万1,124円 |
35歳 | 9,511万764円 |
40歳 | 8,540万5,584円 |
45歳 | 7,570万404円 |
50歳 | 6,599万5,224円 |
65歳から年金を受けとれる人は、20歳から収入がなくても安定して暮らせる可能性があります。ただし、上記は一般的な生活費を想定しているため、ライフスタイルが変わったり想定外の支出が増えたりすると、安定した生活が難しくなるかもしれません。
次に、平均以上の生活費で暮らす単身世帯のシミュレーションを見てみましょう。
<必要なお金を計算(30歳からの場合)>
(21万1,753円×12ヵ月)×(84歳-30歳)=1億3,721万5,944円
開始時の年齢 | 一生暮らすのに必要なお金 |
---|---|
20歳 | 1億6,262万6,304円 |
25歳 | 1億4,992万1,124円 |
35歳 | 1億2,451万764円 |
40歳 | 1億1,180万5,584円 |
45歳 | 9,910万404円 |
50歳 | 8,639万5,224円 |
毎月の生活費が5万円増えると、一生暮らすのに必要なお金は2,000万円~4,000万円ほど多くなります。特に20代前半の人は、年金を含めても安定した生活が難しいかもしれません。
2人以上世帯については、同じ年齢の夫婦を想定してシミュレーションを行います。まずは、一般的な生活費で暮らす30歳の夫婦から考えてみましょう。
<必要なお金を計算(30歳からの場合)>
(29万865円×12ヵ月)×(84歳-30歳)=1億8,848万520円
年金を受けとると仮定しても、1億円の資産では足りないことが分かります。夫婦それぞれが年金を20年間受けとる場合、総受給額は平均で3,455万1,600円となるため、残りの約5,000万円を増やさなければなりません。
ほかの年齢から始めた場合のシミュレーションも、以下で確認しておきましょう。
開始時の年齢 | 一生暮らすのに必要なお金 |
---|---|
20歳 | 2億2,338万4,320円 |
25歳 | 2億593万2,420円 |
35歳 | 1億7,102万8,620円 |
40歳 | 1億5,357万6,720円 |
45歳 | 1億3,612万4,820円 |
50歳 | 1億1,867万2,920円 |
上記の結果を見てみると、現在の年齢が45歳以上の人は、1億円の資産と年金収入で暮らせる可能性があります。
次に、平均以上の生活費で暮らす2人以上世帯のシミュレーションをご紹介します。
<必要なお金を計算(30歳からの場合)>
(34万865円×12ヵ月)×(84歳-30歳)=2億2,088万520円
開始時の年齢 | 一生暮らすのに必要なお金 |
---|---|
20歳 | 2億6,178万4,320円 |
25歳 | 2億4,133万2,420円 |
35歳 | 2億42万8,620円 |
40歳 | 1億7,997万6,720円 |
45歳 | 1億5,952万4,820円 |
50歳 | 1億3,907万2,920円 |
一般的な生活費のケースと比べると、必要なお金が2,000万円~4,000万円ほど増えています。約3,500万円の年金収入を想定すると、1億円の資産で暮らせるのは50歳以降が現実的でしょう。
どれくらいの生活水準を維持すれば、1億円の資産で一生暮らせるのでしょうか。平均寿命までの生活を想定した場合、1年間に使える生活費は以下のように計算できます。
1億円÷暮らす年数=1年間に使える生活費
例として、20歳から84歳まで暮らすケースで計算をしてみましょう。
1億円÷(84歳-20歳)=156万2,500円
以下の表は、同じ流れで年齢別にシミュレーションした結果をまとめたものです。
開始時の年齢 | 1年間に使える生活費 | 毎月使える生活費 |
---|---|---|
20歳 | 156万2,500円 | 13万208円 |
25歳 | 169万4,915円 | 14万1,242円 |
30歳 | 185万1,851円 | 15万4,320円 |
35歳 | 204万816円 | 17万68円 |
40歳 | 227万2,727円 | 18万9,393円 |
45歳 | 256万4,102円 | 21万3,675円 |
50歳 | 294万1,176円 | 24万5,098円 |
55歳 | 344万8,275円 | 28万7,356円 |
60歳 | 416万6,666円 | 34万7,222円 |
(※小数点以下は切り捨て)
毎月使える生活費を見てみると、単身世帯の人は35歳からであれば、1億円の資産で平均水準の生活を続けられます。また、二人以上世帯が平均水準の生活を送るには、56歳から(※)が現実的なラインになることが分かりました。
(※)56歳から1億円の資産で暮らす場合、1年間に使える生活費は約357万円、月換算では29万7,619円になる。
現時点で資産が不足している人は、仕事などを辞める前に対策を考えておく必要があります。以下ではその選択肢として、資産1億円で暮らせる年数を増やす方法をご紹介します。
1億円の資産で暮らせる年数は、毎月の生活費によって変わります。実際にどれくらい変わるのか、2人以上世帯(一般的な生活費)を基準にシミュレーションをしてみましょう。
<毎月の生活費を1万円減らした場合>
1億円÷(28万865円×12ヵ月)=29.6年
<毎月の生活費を3万円減らした場合>
1億円÷(26万865円×12ヵ月)=31.9年
<毎月の生活費を5万円減らした場合>
1億円÷(24万865円×12ヵ月)=34.5年
毎月の節約額 | 2人世帯が1億円で暮らせる年数(年金なし) |
---|---|
0円 | 28.6年 |
1万円 | 29.6年 |
3万円 | 31.9年 |
5万円 | 34.5年 |
生活費を毎月1万円ずつ節約すると、1億円で暮らせる年数は1年延びます。1ヵ月あたりは少額でも、長い目で見ると大きな節約になることが分かります。早いうちから節約を始めれば、生活水準を大きく下げる必要はありません。日々の支出や家計簿を見直して、節約できる出費がないか探してみましょう。
前述でご紹介した生活費は、日本全国の平均値をとったものです。そのため、生活費がより安い地域に引っ越すと、1億円の資産で暮らせる年数を延ばせます。
たとえば、2022年の家計調査のデータを見てみると、東京都八王子市における二人以上世帯の平均生活費は月31万693円です。一方で、沖縄県宜野湾市や名護市の平均生活費は月20万円を下回るため、都市部とは月10万円以上の差があります。
また、世界には1世帯あたりの平均生活費が月10万円を下回るような国もあります。このような地域に目を向けると、20代や30代からのリタイアが現実的になるかもしれません。
老後に備える制度は、国民年金保険や厚生年金保険だけではありません。今では様々な選択肢があり、複数の制度や保険を活用すると、効率的に資産形成できる可能性があります。
<iDeCo(個人型確定拠出年金)>
iDeCo(イデコ)とは、ご自身で設定した掛金を毎月積みたてて、その資産から金融商品を運用する制度です。公的年金とは別に年金資産を形成するための制度であり、原則60歳以上になると運用した資産を受けとれます。
また、iDeCoには以下のような節税効果も期待できます。
<iDeCoの節税効果>
拠出時:全ての掛金が小規模企業共済等掛金控除の対象になる
運用時:金融商品から得たリターンが非課税になる
給付時:一時金には退職所得控除、年金には公的年金等控除が適用される
ただし、どのような金融商品にも値下がりのリスクがあるため、運用すれば資産が増えるとは限りません。損失がでることも想定しながら、慎重に運用方法を考えてください。
<企業型DC(企業型確定拠出年金)>
企業型DCは、勤め先の会社が導入している場合に加入できる確定拠出年金です。基本的な仕組みはiDeCoと似ていますが、厳密には以下のような違いがあります。
制度の種類 | iDeCo | 企業型DC |
---|---|---|
対象者 | 国民年金の被保険者 | 導入している企業の会社員 |
積立期間 | 原則65歳まで | 原則70歳まで |
掛金の拠出 | 加入する個人 | 事業主 (※加入者による上乗せも可能) |
掛金の税制措置 | 全額が所得控除 | 加入者本人の負担分のみ所得控除 |
運営費用の負担 | 加入する個人 | 事業主 |
運用商品 | 自分が選んだ金融機関のラインナップから選択 | 事業主が委託した金融機関のラインナップから選択 |
簡単にまとめると、企業型DCでは勤め先が掛金や費用を負担し、その資産で金融商品を運用します。運用時や給付時の税制はiDeCoと同様なので、節税しながらの資産形成を目指せます。
<個人年金保険>
個人年金保険は、年金資産を形成できる、死亡保障を合わせ持つ金融商品です。決められた保険料を一定年齢まで毎月支払うと、一時金または年金形式で積みたてた資産を受けとれます。
個人年金保険には様々な種類があり、商品によって保険料や支払い期間、年金の受けとり期間などが異なります。また、「変額個人年金保険」と呼ばれる商品では、積みたてた保険料で投資信託などを運用することも可能です。
積極的に資産を増やしたい場合は、資産運用(投資)の選択肢もあります。早い年齢から投資を始めると、コツコツと資産を増やせるかもしれません。ただし、投資には必ずリスクがあるため、十分な情報収集や分析の上で判断することが大切です。
以下では参考として、代表的な3つの金融商品をご紹介します。
<株式投資>
株式投資は、企業が発行する株式を取引する投資です。株価が安いときに購入し、高くなってから売却すると、その差額分のリターンを受けとれます。また、銘柄によっては保有株式数に応じて、配当金や株主優待もあります。証券会社を利用すると、世界中の上場株式を取引できるため、投資先の選択肢も多い方法です。
<投資信託>
投資信託とは、投資家から集めた資金を専門家が運用する金融商品です。保有中に基準価額が値上がりすると、売却したときに差額分のリターンを受けとれます。投資信託はひとつのファンドで様々な地域・資産に投資できるものが多いため、リスクを分散させやすい特徴があります。
<債券投資>
債券とは、国や自治体などが資金を借りるときに発行する金融商品です。購入した債券が満期を迎えると、元本に上乗せする形で利息が支払われます。株式や投資信託に比べるとリスクが低いと言われますが、保有中に価格変動や為替変動が起こると、元本割れになる場合もあります。
前述の通り、56歳までに資産1億円を達成すると、二人以上世帯でも平均寿命まで一般的な暮らしを送れます。55歳や60歳までに1億円を貯める場合、毎月どれくらいの積みたてが必要になるでしょうか。
以下では年齢別に、資産1億円を達成するシミュレーションを行いました。実際の計算については、金融庁の「つみたてシミュレーター」を使用しています。
参考:金融庁「つみたてシミュレーター」
20歳から積立投資をする場合、資産1億円を貯めるのに必要な積みたて金額は以下の通りです。
55歳を目標にする場合 | 60歳を目標にする場合 | |
---|---|---|
利回り3.0% | 毎月14万円(1億382万円) | 毎月11万円(1億187万円) |
利回り5.0% | 毎月9万円(1億225万円) | 毎月7万円(1億682万円) |
利回り7.0% | 毎月6万円(1億806万円) | 毎月4万円(1億449万円) |
(※必要な積みたて金額は1万円単位で記載。カッコ内は将来の運用資産額。以下同様。)
次に、30歳から積みたてる場合のシミュレーション結果を見てみましょう。
55歳を目標にする場合 | 60歳を目標にする場合 | |
---|---|---|
利回り3.0% | 毎月23万円(1億258万円) | 毎月18万円(1億489万円) |
利回り5.0% | 毎月17万円(1億124万円) | 毎月13万円(1億819万円) |
利回り7.0% | 毎月13万円(1億531万円) | 毎月9万円(1億980万円) |
40歳から積みたてる場合は、以下のシミュレーション結果になりました。
55歳を目標にする場合 | 60歳を目標にする場合 | |
---|---|---|
利回り3.0% | 毎月45万円(1億214万円) | 毎月31万円(1億177万円) |
利回り5.0% | 毎月38万円(1億157万円) | 毎月25万円(1億276万円) |
利回り7.0% | 毎月32万円(1億143万円) | 毎月20万円(1億419万円) |
最後に、50歳から積みたてるシミュレーションの結果もご紹介します。
55歳を目標にする場合 | 60歳を目標にする場合 | |
---|---|---|
利回り3.0% | 毎月155万円(1億20万円) | 毎月72万円(1億61万円) |
利回り5.0% | 毎月148万円(1億65万円) | 毎月65万円(1億93万円) |
利回り7.0% | 毎月140万円(1億23万円) | 毎月58万円(1億39万円) |
40歳や50歳から積みたてを始めると、7.0%の利回りでも資産1億円の達成は難しくなります。運用期間が延びるほど、必要になる毎月の積立金額を減らせるので、早めに資産形成を始めることがポイントになるでしょう。特に20代から始めておけば、毎月数万円の積立投資でも資産1億円を達成できる可能性があります。
1億円で金融商品を運用し、そのリターンだけで一生暮らすことはできるのでしょうか。以下では、株式投資の配当利回りを2.26%(※1)、債券の利回りを0.625%として(※2)、資産運用で得られるリターンをシミュレーション(※3)してみます。
<1年間に受けとれる配当金(株式)の計算>
投資金額×配当利回り=1年間に受けとれる配当金
1億円×2.26%=226万円
<1年間に生じる利息(債券)の計算>
投資金額×債券の利回り=1年間に生じる利息
1億円×0.625%=62万5,000円
2人以上世帯の生活費(平均29万865円)で考えると、年間3.5%以上の利回りがないとリターンだけで暮らすことはできません。したがって、国内株式の配当金や債券だけで生活をする場合は、徐々に1億円の資産は減っていくと考えられます。
もちろん利回りは日々動くため、生活費を賄うだけのリターンがあることもあれば、期待していたリターンを大幅に下回ることも踏まえた上で、資産運用を検討しましょう。
(※1)2023年8月15日時点での東証プライムの予想平均配当利回り。
(※2)2023年9月1日時点での新発10年物国債の利回り。
(※3)株式と債券どちらも分かりやすいように税金と取引手数料、価格変動を考慮していないため、実際に運用する際は運用コスト等を踏まえて損益を計算する必要がある。
1億円の資産があっても、30代や40代から一生暮らすことは難しいと言えます。特に生活費が高い都心に住んでいる人や、生活費が平均を超えている世帯は、老後になってからお金に苦労するかもしれません。
また、人によってはライフプランを変更したり、想定外の出費が重なったりすることもあります。シミュレーション通りになるとは限らないので、生活費については多少の余裕を持たせることも考えましょう。
※税務の詳細はお近くの税理士や公認会計士にご相談ください。
※本記事は資産形成に関わる基礎知識を解説することを目的としております。投資などを推奨するものではありません。