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目次
FRBの独立性への懸念が再燃
ベネズエラ情勢にもかかわらずエネルギー市場は安定を維持
最高裁が関税判決を先送り
グリーンランドをめぐる欧州への関税圧力
米国銀行は好決算も、クレジットカード規制リスクで下落
データが示す米国経済の回復力
私たちの見通しは変わらない
注目の日程
「元旦に何も変わらない。」1983年のU2の楽曲に込められたこの有名な一節は、金融市場でしばしば見過ごされがちな真実を捉えています——カレンダーがめくられて新しい年に変わっても、根底にあるマクロ経済や市場のトレンドが一夜にして劇的に変化することは稀です。2026年は、2025年の終わりとほぼ同じような状態で幕を開けました:力強い収益成長見込み2、安定的なインフレ期待3、そして中央銀行による政策的緩和の可能性をめぐる楽観的な見方4に支えられ、世界的に株式市場が上昇軌道を続け1、市場の拡大が継続しました。
しかし昨年同様、投資家はいわゆる「不安の壁」に直面しています。私たちは、これらの懸念のいずれについても、市場の上昇を阻害する可能性は低いと見ています。不安材料には、持続的な地政学的緊張及び、ベネズエラ、グリーンランド、イランに関する情勢等の新たな火種、米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性をめぐる懸念、トランプ政権の関税措置の適法性等が含まれます(が、これらには限られません)。
一方、米国経済は堅調な基盤と回復力を保ち、生産性改善の重要な兆候を示しつつ、新年のスタートを切りました5。
トランプ政権の司法省は、FRBに対する調査を開始し、ジェローム・パウエル議長によるFRBのビル改修に伴う費用超過に関する証言に関連して、刑事訴追の可能性を提起しました。パウエル議長は、ビル改修費用は単なる口実に過ぎないと主張する動画を公開し、公に強く反論しました。
中央銀行の独立性は、極めて重要です。これは大胆な主張でも、論争の的になるような発言でもありません。現代のマクロ経済運営の基本原則であり、金融市場の信頼の礎です。この報道に対し、市場の反応は控えめでした。株価は概ね安定的に推移し6、米ドルは今週、予想外に上昇しました7。市場が政権の口先介入に慣れてきていることから、今のところこうした控えめな反応も妥当と思われます。またこれにより、パウエル議長が任期終了後も米連邦公開市場委員会(FOMC)に留まる可能性が高まっています。その場合、慣例に反して残留する元議長としては3人目となります。皮肉なことに、その結果、FRBはそれまで予想されていたよりもタカ派的となる可能性があります。この点は、重要かつ流動的です。私たちはインフレ期待を注視していきます。インフレ期待は、週の初めには大幅な上昇が見られたものの8、依然として FRB が「許容範囲(コンフォートゾーン)」と見なすレンジに留まっています。
ベネズエラおよびイランにおける最近の情勢は大きな注目を集めています。世界的にどのような影響が及び得るのかについて、疑問が提起されています。一般に、地政学的な動きが市場を大きく揺さぶるのは、それが(成長ショックや供給ショックを通じて)世界経済活動に打撃を与える場合、あるいは主要中央銀行の政策転換を招く場合に限られます。ベネズエラのケースでは、いずれの展開も起こりそうにありません。中東についても、ホルムズ海峡が開放されたままである限り、同様です。
ベネズエラの石油生産能力の低下と9、世界全体の石油供給が概して堅調であることにより10、エネルギー市場は安定を保っています。ベネズエラはサウジアラビアを上回る石油埋蔵量を有すると報じられているものの、ベネズエラの生産が大幅に増加する可能性は、よくても今後数年は低いと見られます。従って、石油市場の反応が控えめであるのは、私たちには妥当だと考えられます。
当然ながら、投資家が潜在的なセーフヘイブン(安全資産)を求めたことで、金や銀を含む貴金属は上昇しました11。 私たちは、イランやグリーンランドに関するものも含め、地政学的懸念が続く場合、両者ともさらに上昇する可能性があると考えています。
米最高裁は、トランプ大統領が昨年、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて発動した関税の適法性について、判断を先送りしました。判決は今後数週間以内に示される見通しです。いずれにせよ、IEEPA関税が違法と判断されたとしても、米国の関税水準全体が大幅に低下する可能性は低いでしょう。別の法令で、大統領に関税を課す広範な権限が認められているため、IEEPAに基づいて導入された関税は、別の法的枠組みの下で再発動される可能性があります。
週末、トランプ大統領は、グリーンランドの米国への完全売却を支持しない場合、複数の欧州諸国に追加関税を課すと発表しました。その後、月曜日にノルウェー首相宛ての書簡が送付され、売却をめぐるトランプ大統領の発言はさらにエスカレートしました。書簡では、「グリーンランドの完全かつ全面的な購入」に関する合意が成立するまで、2月1日以降、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランドから米国へ輸出される全てのモノに対し10%の関税を課すと警告されました。また合意に至らない場合、2026年6月1日に関税率を25%へ引き上げるとも述べられました。これは既存の関税に上乗せされる形となります。ユーロ圏首脳は対応策を協議していますが、選択肢の一つとして、「反威圧措置(ACI)」の発動が考えられます。これにより、EUは米国による欧州単一市場へのアクセスを遮断することが可能になります。
市場は比較的落ち着いた反応を示しており、現時点では、それはおそらく妥当で想定された反応だと私たちは考えています。米政権がグリーンランドの取得を望んでいることは周知の事実であり、トランプ大統領には高関税を脅威として提示した後、撤回するという明確な前例があります。こうした動きは、米ドル安、貴金属価格の上昇、米国以外の株式のアウトパフォームの可能性といった私たちのコアな見通しを裏付けるものです。
米国の銀行株は先週、米国で最もパフォーマンスの悪いセクターとなりました。堅調な決算を発表し、米国の消費者が底堅く、トレーディング収益も強いことを示す内容だったにもかかわらずです12。下押し圧力となったのは、トランプ大統領がクレジットカード金利に10%の上限設定を要求したことです。平均クレジットカード金利が10%まで低下したことはこれまで一度もありません13。 米政権がこの変更を実現できるのか、また銀行の与信がどう反応するのかは不透明です。しかし、この発想自体が一定のメッセージを発しています。米政権は今年、極めて強い経済を実現したいと考えており、そのために非伝統的な手段も試みるでしょう。
最近公表されたデータは、米国経済が2025年末の状態をほぼそのまま引き継いで2026年を迎えたこと―すなわち堅調な基盤を持ち、成長には回復力があり、むしろ改善傾向にあること―を改めて示しました。
穏やかな年末年始の休暇は遠い昔のように感じられ、変化が多いように思われますが、私たちは、コアな見方が変わっていないことに満足しています。むしろ、それらはより強固なものとなっています。私たちは、世界的に成長が改善し、米国以外の市場とシクリカルセクターに牽引され、株価には上昇余地があると引き続き考えています。
| 公表日 | 国・地域 | 指標等 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1月19日 | 中国 | 第4四半期国内総生産(GDP)、鉱工業生産、小売売上高 | 中国の成長の主要指標 |
| 1月19日 | カナダ | 12月消費者物価指数(CPI) | カナダのインフレ動向 |
| 1月20日 | 中国 | 中国人民銀行(PBOC)政策金利決定 | 金融政策のシグナル |
| 1月20日 | 英国 | 雇用統計 | 労働市場の健全性 |
| 1月20日 | ユーロ圏 | 銀行貸出調査 | 与信条件 |
| 1月21日 | 英国 | 消費者物価指数(CPI) | 英国のインフレ動向 |
| 1月22日 | オーストラリア | 雇用統計 | 雇用の健全性 |
| 1月22日 | ドイツ/ユーロ圏/英国 | 購買担当者景気指数(PMI)(速報値) | 経済モメンタム |
| 1月22日 | 米国 | 第3四半期国内総生産(GDP)及び個人消費支出(PCE) | 成長とインフレ |
| 1月23日 | 日本 | 日銀政策金利決定 | 金融政策スタンス |
| 1月23日 | 英国 | 小売売上高 | 消費者の力強さ |
| 1月23日 | 米国 | 購買担当者景気指数(PMI)(速報値) | 経済活動 |
ブライアン ・レヴィット
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
ベンジャミン ・ジョーンズ
ヘッド・オブ・グローバル・リサーチ
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MC2026-011