ブロックチェーン技術を基盤とする分散型インターネットWeb3.0の開発・普及が加速する中、その一歩先を行くWeb4.0の構想・開発が注目されています。本記事では、最初にWeb3.0について解説してから、Web4.0に関して現在までに明らかになっていることや、予想される「インターネットの未来」についてレポートします。
目次
近年、世界中でさまざまなプロジェクトが進行しているWeb3.0は、「ブロックチェーン技術を活用し、セキュリティ性能の高い非中央集権型エコシステムの構築を目指す」という新しいインターネットの概念です。Web3.0を活用した代表的なものとして、暗号資産やNFT(非代替性トークン)、メタバースなどが挙げられます。
現時点では広範囲に普及していないものの、世界のWeb3.0市場は2022年に22億ドル(約3,168億円)規模に達しており、2032年までに819億ドル(約11兆7,936億円)規模に成長すると、インドの市場調査企業Acumen Research And Consulting(アキュメン・リサーチ・アンド・コンサルティング)は見込んでいます。
Web.3.0が急成長する中、「インターネットの未来」として注目されているのがWeb4.0です。
Web4.0は「ブロックチェーン技術を活用したユーザー主導のインターネット」というWeb3.0のコンセプトを引き継ぐ一方で、AI(人工知能)やビッグデータなどの多様な技術を駆使した「人間と機械の共生ウェブ」を目指している点が特徴です。
Web.4.0によって、実際に何が可能になるのでしょうか。現時点で期待されていることを見てみましょう。
Web4.0ではハードとソフト、データのスムーズな統合が可能になることが予想されます。これにより、ユーザーはあらゆる場所から多様なデバイスやサービスに簡単にアクセスできるだけではなく、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などのデバイスを利用して、リアルタイムで仮想世界を楽しめるようになるでしょう。
アクセス性が向上することにより、メタバースやVR/AR関連機器・サービスの発展にも貢献する可能性があります。
AIや機械学習(※1)は、Web4.0 の発展において極めて重要な役割を担う技術です。Web4.0では、AI技術によって状況に応じたデータ処理を自動的に行えることで、ユーザーがよりパーソナライズ化(※2)されたサービスやコンテンツを利用できるようになることが予想されます。
(※1)大量のデータを取得し、そのデータのパターンやルールを解析する技術のこと。
(※2)一人ひとりに合わせたサービスにカスタマイズすること。
双方向のユーザー体験が強化されることにより、ユーザーはさまざまなプラットフォームを通じて情報やアイデア、意見を簡単に共有することが可能になると考えられます。コミュニケーションがより活発になることで、新たなコミュニティやコラボレーションが拡大し、独創的なイノベーションが生まれることが期待されます。
Web4.0は、マーケティングやビジネスモデルにも大きな影響を与える可能性があります。
例えば、企業はWeb4.0上でよりパーソナライズされたコンテンツや広告を提供するなど、顧客一人ひとりに最適なアプローチを行うことで、顧客満足度の向上や新たな顧客の開拓といったメリットを得られます。
また、マーケティングや広告、サービス、イベント、プロモーションといった多様な領域でメタバースやVR/ARの活用が加速するなど、インタラクティブ性(※)とエンターテイメント性の高いアプローチが増えることも予想されます。
AI技術によるプロセスの自動化で業務効率が向上することによって、労力やコスト削減効果も期待できます。
(※)利用者がパソコンなどのデバイスを利用する際に、一方通行ではなく、双方向で対話できる機能のこと。
Web4.0はまだ開発初期の段階にあるため、それによって社会がどのように変化するのかを予想することは困難です。しかし、Web4.0は将来性があり、インターネットの未来を創る上で重要な役割を担う可能性は高いでしょう。Wealth Roadでは、今後もWeb4.0市場の動向をレポートします。
※為替レート:1ドル=144円
※本記事はブロックチェーン技術や暗号資産に関わる基礎知識を解説することを目的としており、ブロックチェーン関連資産等への投資を推奨するものではありません。