株式・債券・不動産:投資信託の資産別特徴:基本の3ポイント

投資信託は投資家から集めた資金をまとめて専門家が運用する金融商品で、投資信託の運用方針に基づき投資対象が決められます。今回は投資信託の投資対象になっている代表的な資産の特徴を解説します。

投資信託の投資対象

投資信託には、どのような種類のファンドがあるのでしょうか。まずは、主に単一の資産クラスで運用しているファンドの特徴について、「株式」「債券」「不動産」に分けて解説します。

株式の特徴

株式を中心にして運用している場合は株価の変動率が大きくなりやすいため、大きな利益を期待できる反面、その分だけ損失のリスクもあります。株価の変動要因には、企業の業績や各国の景気、金利などが挙げられます。株式中心のファンドでは組入銘柄を複数の国や業種に分散することで、価格変動リスクを抑えることができます。

債券の特徴

債券は国や地方公共団体、企業などが資金調達のために発行するものです。債券は返済義務があり、固定金利であれば返済時期や利息が事前に決められているため、安定的な利息収入が期待できます。

債券は種類によって安全性(※)や収益性が異なります。金利が高い債券ほど安全性は比較的低く、最悪の場合は発行者の財務状況の悪化により支払不能となるリスクもあります。投資信託では複数の債券に分散投資することで、そのリスクを抑えています。

債券の価格は市場金利と密接な関係があり、金利が上昇すると債券価格が下落、金利が下落すると債券価格が上昇する関係になっています。

債券からの収益は利息からも得られているので、債券価格が下落していてもファンドの収益全体はプラスになることもあります。債券の金利と価格どちらも確認して、債券中心のファンドを運用することが大切です。

(※)元本の保証や利息の支払いの確実性を表す程度のこと。

不動産の特徴

投資信託が投資対象にしている不動産の中には、国内外のオフィスビルや商業施設、マンションなどが含まれています。不動産は現物資産としてインフレに強いといわれ、資産価値が下がりにくく、物件からの賃貸収入や譲渡益によって、比較的安定した分配金が期待できます。

一方で、景気後退期や不況期には入居率や賃料の低下により、不動産の収益性が低下するリスクがあります。

バランス型投資信託

どれか一つの資産だけに投資するのは心配だという場合は、複数の資産に分散投資できるバランス型の投資信託もあります。その中にはこれら3つの資産に分散して投資を行なっているものもあります。

相対的にリスクが大きい株式の比率が高いほど、リターンが大きくなりやすく、逆に債券の比率が高いほどリスクが低く、リターンも低くなりやすい傾向があります。これを組み合わせることでリスクとリターンの関係を自身に合ったものにすることが可能となります。

例えば、以下のようなポートフォリオの投資信託があります。

・国内不動産25%
・海外債券50%
・国内株式25%

この他にも、さまざまな組み合わせの投資信託があるので、ご自身の運用方針や相場の状況を踏まえて運用するファンドを選ぶことが大切です。

バランス型のメリット

最大のメリットは、資産の分散によって損失のリスク低減効果が得られることです。

国内資産だけではなく海外資産も対象になっていれば自動的に資産と地域が分散されるので、手間を掛けずに分散投資を実現できます。資産の分配比率を一定にすることを運用方針として定めているファンドの場合は、定期的にリバランス(※)を行うので、基本的に資産の比率が大きく変動することはありません。

また、個人で複数の資産に分散して投資しようすると、まとまった資金が必要となります。しかし、バランス型の投資信託であれば、比較的少額から幅広い国や地域・複数の資産に投資することによる分散効果を享受することが可能となる点も魅力です。

(※)適切な資産の配分比率を維持するために、資産の再配分を行うこと。

バランス型のデメリット

分散効果を効かせることでリスクを抑える代わりに、リターンが小さくなる可能性があります。また、基準価額(※)が大きく変動したとき、どの資産の値動きなどが影響したのかが分かりづらく、価格変動の要因を分析しにくい点もデメリットといえます。

(※)投資信託の値段のこと。

まとめ

投資信託が投資対象とする資産には、それぞれ特徴があり、経済環境や金利などの要因によってパフォーマンスも変わってきます。各資産のリスクと価格変動の要因、その他の利益(不動産の譲渡益・株式の配当金など)を理解し、基準価額の変動要因を確認しておく必要があります。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、特定のファンドの売買や投資を推奨するものではありません。

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