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カナダ中銀が利上げを一時停止:先週、カナダ銀行(中央銀行)は主要政策金利の引き上げを0.25%にとどめ、利上げサイクルをいったん停止すると表明
他の中央銀行もこれに続くか?: 今週の大きな問いは、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)がこれに続くかどうか
米国では「条件付き一時停止」となるか?:これら3つの中央銀行の中で、早期の利上げ停止を行う余力が最もあるFRBは、カナダ銀行の対応を参考にする可能性
カナダ銀行が利上げを一時停止
他の中央銀行もこれに続くか?
FRBは「条件付き一時停止」を行えるか?
今週は、世界の金融政策にとって重要な週となります。世界中が、「いつ中央銀行が利上げを停止するか」と考えているさなかで、イングランド銀行(BOE)、欧州中央銀行(ECB)、そして米連邦準備理事会(FRB)3つ全ての金融政策決定会合が予定されているからです。これらの中央銀行が、カナダ銀行の対応からヒントを得ることを願うばかりです。
先週開かれた金融政策決定会合で、カナダ銀行は、2022年3月以来で最小の利上げ幅となる0.25%の主要政策金利の引き上げを決定しました。さらに重要なのは、利上げサイクルの一時停止を表明したことです。カナダ銀行のマックレム総裁は、「今回の小幅な利上げ決定をもって、利上げをいったん停止し、これまで行ってきた大幅な金融引き締めの影響の評価を行う」と述べました1 。
現時点でカナダのインフレ率は、中央銀行の目標である2%からまだはるか遠い水準にあります。カナダのヘッドライン消費者物価指数(CPI)は、12月に前年同月比6.3%、コアCPIは同5.3%でした2 。インフレが低下し始めたばかりにもかかわらず、カナダ銀行が早期に利上げの一時停止を表明したのはなぜでしょうか。
私は、カナダ銀行は、インフレが十分に低下しつつあるとの見方に、より確信を持ったのではないかと考えています。カナダ銀行は2023年末のインフレ率を、目標範囲の上限である3%と予測しています3 。彼らは積極的な引き締めがもたらすリスクにより敏感になっており、それが、これまで行ってきた金融引き締めの「影響」を評価する必要がある、との表現となって表れたのかもしれません。
今週の大きな問いは、FRB、ECB、BOEがこれに続くかどうか、という点です。これらの中央銀行には、それぞれ固有の経済状況や計算があることから、直ちにカナダ銀行の対応に続くにはまだ早いのではないかと思われます。
上述した3つの中央銀行のうち、早期に利上げの一時停止に踏み切る余力が一番あるのは明らかにFRBです。その場合FRBは、カナダ銀行の対応を参考にすることで、インフレ対策を終えていないとの懸念にも対処できるでしょう。カナダ銀行はこの措置が「条件付き一時停止」であり、「経済状況の進展がおおむね我々の…見通しに沿って展開する」か次第だと明確に表明しました9 。またカナダ 銀行は、「インフレ率を目標の2%に戻すために、必要があればさらに政策金利を引き上げることもありうる」と明言しました9 。
私はこのように、経済データが満足のいくものでなければ利上げを再開する、という厳しい文言を含む「条件付き一時停止」の対応が、FRBのタカ派やボルカーの亡霊の抱く恐れを和らげられることを期待しています。私が望み、またより強い確信をもって展望しているのは、FRBが今週の金融政策決定会合で0.25%の利上げを決定し、3月にさらに0.25%の利上げ決定を行うが、3月の同会合では「条件付き一時停止」への言及があるとのシナリオです。
市場は今後も、特にECBとBOEによるさらなる政策金利の引き上げに対応していかなければなりません。しかし、これはそれほど驚くことではありませんし、予想を上回るユーロ圏の成長率や中国経済の再開により、世界的な景気後退の短期的リスクが大幅に軽減されているという明るい材料もあります。世界的な景気回復への期待からドル安がさらに進行し、収益への逆風が吹く中でリスク資産価格を下支えすると、私は考えています。
クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
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MC2023-012