暗号資産氷河期でも急成長中「GameFi」の魅力とは?

ゲームとDeFi(Decentralized Finance/分散型金融)を組み合わせた「GameFi(ゲームファイ)」の市場規模が拡大しています。しかし、GameFiと言われてもピンとこない人も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、GameFiの概要や急成長している理由、成長しているサービス例などについて紹介します。

ビットコインなどの暗号資産の価値が下落しているにも関わらず急成長を遂げている理由について探ってみましょう。

「GameFi」とは?

DappRadar(ダップレーダー)が2022年6月20日に発表したGameFi市場に関するレポートによると、暗号資産の時価総額は2020年以来初めて1兆米ドル(約135兆円)を下回りました。分散型アプリ業界の活動も2021年9月以来の低水準に落ち込んでいます。ところがGameFiは、このような市場の逆風に負けず新規プレーヤーを獲得し続けているのです。

市場調査企業Reportlinker(レポートリンカー)は、GameFiの市場規模が今後10年間にわたり年間23.7%のペースで成長し、2031年には2021年の約8.3倍に値する74億2,000万ドル(約1兆17億円)へ拡大すると見込んでいます。

「ゲーム×ファイナンス」という組み合わせに違和感を覚える人もいるかもしれません。しかし、「ゲームをマネタイズ(収益化)する」というコンセプトは、決して新しいものではありません。近年は、ゲーム内で獲得したポイントを換金できるゲームアプリなどが人気となっています。このコンセプトにブロックチェーン技術を活用した「DeFi」の仕組みを取り入れたものがGameFiです。

従来の金融サービスが金融機関などは、中央管理者を必要とする「中央集権型金融(Centralized Finance)」ですが、DeFiでは通貨の代わりにブロックチェーン基盤のトークンを利用して取引を行い、ユーザーが取引記録を管理します。DeFiのプロジェクトには、唯一無二の価値と所有権を証明する「NFT(Non-Fungible Token/非代替性トークン)」を採用したものもあります。

GameFiでもゲーム内のアイテムやキャラクターの発行・売買などにNFTが利用されているため、GameFiは「ブロックチェーンゲーム」や「NFT(非代替トークン)ゲーム」と呼ばれることもあります。代表的なゲームは、以下の通りです。

Axie Infinity(アクシー・インフィニティ) モンスターを集めて対戦するゲーム
Alienworld(エイリアンワールド) 仮想空間の惑星や土地でトークンやアイテムをマイニング(採掘)するゲーム
Farmers World(ファーマーズワールド) 農業NFTゲーム

急成長を続けている理由

GameFiが急成長を続けている主な理由は、以下の2つです。

・インセンティブ性が高い
・メタバースとの融合も追い風に

それぞれの理由について、以下で解説します。

インセンティブ性が高い

GameFiでは、ゲーム内でオリジナルのキャラクターやアイテムを作成し、「NFTマーケットプレイスで販売」「獲得したキャラクターやアイテム、土地、イベントのチケットなどの売買」ができるものもあります。その他にも「ゲーム内のタスク達成で報酬を得る」「トークンをゲーム内で利用して再投資できる」など、インセンティブ性が高い特徴があります。

メタバースとの融合も追い風に

GameFiの持続的な成長でカギを握っているのが3D仮想空間「メタバース」との融合です。インターネット上に構築された「もうひとつの世界」のメタバースで自らのアバターを使ってゲームを楽しみながら収益化するコンセプトが幅広い層から共感を呼んでいます。GameFiの台頭は「将来的に新たなバーチャル経済圏を確立する」との期待が高いメタバースでも重要な役割を果たすことが予想されます。

GameFiで成長しているサービス例

2022年6月にビットコインが「37.3%以上下落」という2011年以来で最大の下落幅を記録した一方で、GameFiはメタバースなどのポジティブな材料が追い風となり、顕著な成長ぶりを示しています。例えば、以下の3つのサービスがあります。

Illuvium(イルビウム)

オープンワールドでモンスターを捕獲・育成するゲーム「Illuvium(イルビウム)」は、2022年6月に7,200万ドル(約97億2,000万円)相当を調達しました。「Illuvium(イルビウム)」では、ゲーム内の仮想土地を競売形式でプレーヤーに販売することができます。

STEPN(ステップン)

「STEPN(ステップン)」は、Solan(ソラナ)のブロックチェーンなどを利用したウォーキングやジョギングをして報酬を得る「M2E(Move to Earn)」と言われるサービスです。NFTスニーカーを購入して活動することで利益を得たり売却して利益を得たりすることができます。

Splinterlands(スプリンターランズ)

遊びながら稼げる「P2E(Play to Earn))のNFTトレーディング・カードゲームが「Splinterlands(スプリンターランズ)」です。2022年7月13日現在、過去30日間のユーザーは、約37万9,280人となっています。

大型投資の加速も成長促進剤に

大型投資が加速している点もGameFiの成長促進剤のひとつです。Dapper Labsのデータによると、2022年2022年1~5月のブロックチェーンゲーム関連への投資は、2021年の投資総額の15%増にあたる46億ドル(約6,210億円)以上を記録しました。その半分以上がインフラとメタバース関連のプロジェクトに投じられています。

さらに5月中旬には、米ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)が6億ドル(約810億円)を投じてゲームファンド「Games Fund One」の設立を発表しました。一方で、Dapper Labsは自社のNFTに特化したブロックチェーン「Flow」の拡張に7億2,500万ドル(約978億7,500万円)を投じる計画を明らかにしました。

ちなみに「Flow」は、NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)やNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)などの米スポーツリーグブランドとも提携しています。このような潮流もGameFiをメインストリームへと押し上げるポジティブな要因のひとつです。

将来的に独立した領域を確立し、独自の付加価値を提供する新たなセクターに成長を遂げる可能性を大いに秘めているといえるでしょう。Wealth Roadでは、今後もGameFi市場の成長と動向をレポートします。

※上記は参考情報であり、特定企業の株式や暗号資産の売買及び投資を推奨するものではありません。

※為替レート:1ドル=135円

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