『知識ゼロですがつみたてNISAとiDeCOをはじめたいです。』より一部抜粋
(本記事は、横山 光昭氏の著書『知識ゼロですがつみたてNISAとiDeCOをはじめたいです。』=インプレス、2021年11月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
<登場人物>
横山光昭先生(以降、横山と記載。):家計再生コンサルタント
藤田良朗さん(以降、藤田と記載。):投資について何も知らない会社員
まずはざっくり家計を把握しよう
投資でお金を増やすには、運用するための元本がないとはじまりません。まずは家計管理で投資に回すお金を準備するところから計画してみましょう。
藤田:毎月コツコツ投資をするということは、まとまった金額が最初からなくてもいいってことですか?
横山:そう、いいところに気づいたね。投資は大きな金額がないとはじめられない、と考える人もいるけど、そんなことはないよ。
毎月コツコツって具体的にいくらくらいなんですか?
横山:1000円でもいいし、1万円でもいい。金額自体に正解はないよ。じゃあどうやって決めるかというと、まずは家計簿をつけてみて、お金の流れを見える化してみること。
藤田:え、投資なのに家計簿?
横山:うん。毎月継続的に投資に回すお金をつくるには、足元の家計が安定していないといけない。自分の収入と支出を見直して、いくらなら投資を続けていけそうか、ざっくりイメージしてみることが大切なんだ。
藤田:でも、家計簿って面倒くさそう。
横山:別に1円単位で細かくつける必要はないよ。費目もざっくりでOK。それができたら、支出を「消費」「浪費」「投資」の3つに分類してみること。
藤田:消費、浪費、投資?
横山:そう。生活には必要がない浪費が多いなら、そこを削って家計のバランスを整える。そのうえで、投資に回すお金を増やしていくことを目標にしてみよう。
「元本」とは……投資は金融商品を売買するが、そのもととなる元金のこと。元金以上の利益を、投資用語ではリターンと呼ぶ。元本より少ない金額になる状態を元本割れという。
「ショウ・ロウ・トウ」とは……消費・浪費・投資をまとめた呼び方。家計管理の重要な分類方法として、横山光昭が提唱している。お金の流れを把握するための基本の作業。
投資額は無理のない金額ではじめよう
家計をチェックすれば毎月投資に回せるお金が見えてくるはず。ただ、その前に生活防衛資金を確保して、無理なく続けられる金額を計画しましょう。
横山:家計簿をつけてみれば、投資に回せるお金が見えてくることは理解してもらえたかな。
藤田:ええ。支出以外はすべて投資に回す、ということですよね。
横山:そこなんだけど、まずは臨時支出に備えた生活費として、いつもの生活費の1・5カ月分と、それとは別に最低6カ月分、貯蓄を作ることからはじめてほしいんだ。これは病気や事故で働けなくなったときなど、何かあったときに生活を守るためのお金として充てるため。人生には一時的に収入が途絶える可能性が誰にだってあるからね。
藤田:なるほど。老後の安心だけでなく、現役時代の安心も確保しておく、ということですね。
横山:いいこと言うじゃない。その通り、貯蓄のない人は、いきなり投資ではなく、まずは最低7・5カ月分を目標に貯蓄からはじめてみること。
藤田:投資スタートはそのあと?
横山:そうだね。家計のうち余った金額をすべて投資する、というのも間違いではないけど、大切なのは続けること。「今月は1万円余ったから」「今月は3000円だけ」と金額に変動があるのは避けたい。「消費・浪費・投資」の3つを意識して、無理のない金額で、まずは手取り月収の約6分の1を投資に回すことを目標にしよう。
「生活防衛資金」とは……病気や事故、リストラといった不測の事態に備えた貯蓄のこと。投資をはじめる前に、しっかりと準備しておき、このお金は投資には回さない。
「手取り月収」とは……会社から支給される給料の総額である「額面給与」から、各種税金、社会保険料が差し引かれた金額のこと。会社から実際に受け取る金額を指す。
<著者プロフィール>
横山 光昭
株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を得ている。これまでの家計再生件数は21,000件を突破。書籍・雑誌など各種メディアへの執筆・講演も多数。著書は、シリーズ累計90万部超の最新作『貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、計154冊、累計352万部となる。
『知識ゼロですがつみたてNISAとiDeCOをはじめたいです。』