株式を保有していると配当を得ることがありますが、このお金をどのように使うかによって運用パフォーマンスは大きく変わります。配当金はなるべく再投資して複利効果を得たほうが、資産形成は成功しやすいでしょう。
今回は、配当の使い道の種類や複利効果の意味、再投資と長期投資の親和性、再投資と増配企業の親和性、再投資の注意点などについて解説します。
目次
配当には、どのような使い道があるのでしょうか。以下の3つの選択肢を確認していきましょう。
日々の生活費のほか、趣味や娯楽にお金を投じることも、このカテゴリに入るでしょう。
貯金は生活費に回すよりは資産形成につながりますが、現在の銀行金利は非常に低いため、資産形成の効率は悪いと言えます。
投資元本から得た配当を再投資に回す方法です。例えば、配当利回り3%の株式Aを100万円購入したとします。配当は年3万円ですので、この3万円で再び株式Aを購入するのが再投資です(例ですので税金や手数料などは考慮していません)。
株式は「3万円を使い切って購入する」といった金額指定の購入ができませんので、配当を綺麗に使い切れない場合も多いでしょう。また、株式Aの年間配当だけでは、株式Aの最低購入金額に届かない場合も想定されます。端数の現金が残ってしまったり、一時的に現金と保有しておき、毎年の配当の合計額が株式Aの最低購入金額に届いたときに購入したりするケースも、このカテゴリに入ります。
資産形成の効率という観点では、再投資がおすすめです。生活費に回さないと生活が成り立たない場合はやむを得ませんが、できる限り運用益を再投資に回すことによって、効率的な資産形成を実現できます。
運用益を再投資に回すことによって効率的な資産形成を実現できる理由は、「複利効果」があるからです。複利効果(複利運用)とは、投資元本を運用して得られた利益を再投資することで元本が増え、得られる利益が増えることです。利益を再投資せず、当初の投資元本を変えずに利益を受け取ることを「単利」と呼びます。複利運用をすることで、単利運用よりも資産を早く大きく増やすことができます。
例えば、投資元本100万円を年5%の利回りで10年間運用するとします。税金や手数料などを考慮しない場合、単利運用だと150万円(投資元本100万円+年間利益5万円×10年分)になりますが、複利運用だと約163万円に増えます。10年で約13万円の差がつくのです。
複利効果は、長期投資と相性が良いと言えます。上記の設定の運用期間が20年・30年に伸びた場合のシミュレーションは以下のとおりです。
<投資元本100万円を年5%利回りで運用> ※税金や手数料などは考慮せず
10年間単利運用した場合:150万円
10年間複利運用した場合:約163万円(10年間単利運用に比べて+約13万円)
20年間単利運用した場合:200万円
20年間複利運用した場合:約265万円(20年間単利運用に比べて+約65万円)
30年間単利運用した場合:250万円
30年間複利運用した場合:約432万円(30年間単利運用に比べて+約182万円)
運用期間が20年の場合、複利運用は単利運用に比べて約65万円多く、運用期間が30年の場合、複利運用は単利運用に比べて約182万円多く得られるのです。このように、投資期間が長くなればなるほど複利効果は大きくなります。効率的な資産形成には、複利効果を活用しながら長期投資を行うのが有効です。
複利効果と長期投資を組み合わせることで効率的な資産形成を実現できますが、投資対象が連続増配企業だった場合は、さらに大きな効果を得られます。
増配とは、株主に還元する配当金を増やすことです。中には、30年以上連続で増配を続けている企業もあります。
増配できるということは原則として業績が好調であり、連続増配ができるということは原則として業績が右肩上がりということです。そのような銘柄は、中長期的には株価も上昇する可能性が高いと言えます。
株式の配当には、20.315%の税金がかかります。したがって、税金を支払った後の金額を再投資することになります。
配当を再投資して複利効果を得る運用は効率的ですが、万能ではありません。再投資した資産の価格が大きく下がると、配当と売買益を合わせたトータルリターンはマイナスになる可能性があります。
配当の再投資する方法は優れているものの、「投資対象をよく見極める」という投資の大原則は忘れないようにしましょう。
ここまで、配当金の使い道の種類や複利効果の意味、再投資と長期投資の親和性、再投資と増配企業の親和性、再投資の注意点などについて解説しました。
効率的な資産形成を実現するためには、配当を再投資して複利効果を得ることをおすすめします。「配当再投資(複利効果)+長期投資」をコツコツ続けていくことで、いずれ大きな資産形成が期待できるでしょう。
※上記は参考情報であり、特定ファンドの売買を推奨するものではありません。