初心者が知っておくべき投資信託の「おすすめしない」ポイント 投資信託の選び方について解説

初めての投資では、先駆者達の実体験やアドバイスが気になるものです。しかし、インターネットで検索すると同じテーマでも賛否が分かれています。それぞれに説得力のある理由が添えられているため、どのように判断すべきか、かえって迷ってしまうこともあるのではないでしょうか。

そのようなときは、視点を変えて見ることがおすすめです。「どちらが正しいか」ではなく、「どの立場だとそう思うか」に注目するとよいでしょう。

投資信託はおすすめ?おすすめしない?どっち?

投資信託について情報を収集すると、やはり「おすすめ」と「おすすめしない」という記事がそれぞれいくつも見つかります。視点を変えて自分に必要な情報を見極めるために、まずは投資信託の仕組みをおさらいしておきましょう。

投資信託とはどのようなものか

投資信託とは、株式や債券、不動産などさまざまな投資商品を組み合わせたパッケージ商品のことで、ファンドとも呼ばれます。少額からでも投資でき、運用をプロに任せられるため、初心者でも投資しやすいのが特徴です。

-投資信託の運用はプロにおまかせ

投資信託は、投資信託を販売する「販売会社」、顧客の金融資産を管理する「信託銀行」、投資信託を運用する「運用会社」という3社の働きで成り立っています。

投資家の窓口は「販売会社」である証券会社や銀行などですが、実際の運用は「運用会社」に所属する専門家が行います。市場分析や銘柄選定、組み入れの比率や売買タイミングの調整などを行いながら、各分野の専門家がチームで運用しています。

投資信託には、多くの人が関わっているということです。

-投資信託の数は約6,000本

投資信託は、販売会社によって取扱商品が異なります。いくつもの会社が扱う人気の高い投資信託もあれば、証券会社の名前がついたオリジナルの投資信託もあります。

投資信託の数は、2021年1月末時点で約6,000本です。

投資信託は「分散」「積立」「長期運用」に適した商品が多い印象がありますが、短期間で価格が大きく変動するように組み合わされた投資信託など、上級者でないと扱いが難しいものもあります。

視点を変えると受け取り方が変わる 4つのポイント

「デメリットだと思っていたことも、視点を変えるとメリットになる」という例をいくつか紹介しておきましょう。

分配金の回数は多いほうがよい?少ないほうがよい?

投資信託を選ぶときに重要な項目に、分配金の有無と頻度があります。

投資信託の分配金とは、あらかじめ設定された決算ごとに、投資家に分配される運用成果のことです。投資信託によって分配金を出す頻度が異なり、1年ごとや半年ごと、中には毎月分配するものもあります。

-視点A:複利効果を狙う場合は分配金の頻度は少ないほうがいい

将来の資金形成のために長期で運用する場合は、複利効果を活かす視点に立って見ましょう。

複利とは、運用によって得られた収益を元本に組み込み、さらに運用する方法のことです。元本が増えることで、さらなる利益が期待できます。

分配金は、受取時に利益部分に税金がかかります。また、再投資する際にも別途手数料がかかる場合があります。始めから複利効果を狙っている場合は、コストを削減するために分配頻度が低いものを選ぶとよいでしょう。

-視点B:確実に利益を受け取りたい場合は、分配金が多いと嬉しい

将来に向けて資金を増やすよりも、得た利益を確実に受け取るという視点もあります。

成果は約束されたものではないため、運用状況によっては分配金を受け取れないこともあるでしょう。分配金を受け取ることを、「短期的な利益を確定できるというメリット」と考えることもできるわけです。

ただし、分配金には「利益から支払われる普通分配金」と「元本から支払われる特別分配金」があることに注意が必要です。運用利益が出ていないのに特別分配金が支払われると、その分元本が目減りします。これは複利効果の逆で、元本が減った分、利益が出にくくなってしまいます。ただし、下落する場合は、損せずに元本を守ることにもなります。特別分配金が支払われても、トータルで受け取った額が元本を超えることもあります。

分配頻度や方法はあらかじめ決まっているため、購入前に確認できます。したがって、「自分はどの視点で資産運用をしたいのか」をしっかり考えておくことが大切です。

手数料は安いほうがよい?なぜ高いものがあるの?

冒頭で投資信託には多くの人が関わっていることをお伝えしましたが、その分さまざまなタイミングでそれぞれに支払う手数料が発生します。

-投資信託のコストを知る

<投資信託にかかる主なコスト>

購入時手数料

時期 購入時
支払い方法(直接・間接) 直接支払います。
費用の内容 購入時に販売会社に支払う費用。申込価額の数%をその費用として支払います(まれに換金時に支払うこともあります)。ファンドや販売会社によってはこの費用がない場合もあります (ノーロード) 。

運用管理費用(信託報酬)

時期 保有時
支払い方法(直接・間接) 投資信託の信託財産から間接的に支払われます。
費用の内容 投資信託を保有している間、投資信託の保有額に応じて日々支払う費用。年率でいくら支払うのか、目論見書などに記載されています。

監査報酬

時期 保有時
支払い方法(直接・間接) 投資信託の信託財産から間接的に支払われます。
費用の内容 投資信託は原則決算ごとに、監査法人などから監査を受ける必要があり、その監査に要する費用。

売買委託手数料

時期 株式などの売買時
支払い方法(直接・間接) 投資信託の信託財産から間接的に支払われます。
費用の内容 投資信託が投資する株式などを売買する際に発生する費用。発生の都度、間接的に徴収されます。運用の結果発生する費用ですので、事前にいくらかかるのか示すことはできません。

信託財産留保額

時期 換金時
支払い方法(直接・間接) 直接支払います。
費用の内容 投資信託を購入または解約する際、手数料とは別に徴収される費用。販売会社が受け取るのではなく信託財産に留保される。投資信託によって差し引かれるものと差し引かれないものがある。

信託期間や手数料などは、投資信託の説明書である「目論見書」に記載されているため、購入前にしっかり確認することが大切です。

-信託報酬の高さには、理由がある

購入手数料や信託財産留保額は無料のものもあるため、うまく使い分けることでコストを削減できます。
しかし、信託報酬は一概に「安ければよい」とはいえません。その金額には、理由があるからです。

運用方針の違いと信託報酬の関係とは?どれを選べばよいの?

投資信託は、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの指数を基準として運用を行います。大別するとアクティブファンドとインデックスファンドに分けられ、それぞれ以下のような特徴があります。

-アクティブファンドとは?

目安となる指数よりも運用成果が上回ることを目指して運用する投資信託を、「アクティブファンド」と呼びます。

各分野の専門家が緻密な調査や分析を行い、市場平均よりも高い成果を目指して運用します。ハイリターンを望む場合はリスクも高くなるため、難しい運用になる分、信託報酬も高くなります。

-インデックスファンドとは?

目安となる指数に連動するような成果を目指して運用する投資信託を、「インデックスファンド(パッシブファンド)」と呼びます。

安定性を重視しているため大きなリターンは期待できませんが、その分リスクも抑えることができ、信託報酬は比較的安めです。

-リターンとリスクは背中合わせ

投資でいうリスクとは、利益と損失の「振れ幅」を指します。リスクとリターンは密接な関係にあり、高いリターンを得ようとするとリスクも高くなり、リスクを低く抑えるとリターンも小さくなります。

一般的に、アクティブファンドはハイリターンが期待できる分ハイリスクで、インデックスファンドはローリスクである分ローリターンです。リスクが高くなるほど信託報酬も高くなりやすい、と覚えておくとわかりやすいでしょう。

初心者のうちは、安定性のあるインデックスファンドを中心に投資するほうが安心かもしれません。

投資一任型はお得なの?

投資信託を探していると「投資一任」という言葉を見かけることがありますが、どのようなものなのでしょうか。

-ロボアドバイザー

いくつかのネット証券で扱っているサービスで、AIなどを利用した運用システムに資産運用を任せるものです。

ロボアドバイザーには、運用方針やおすすめ商品などの提案のみを行う「アドバイス型」から、投資信託を購入から運用、リバランス、資産管理まで行う「投資一任型」まで、さまざまな種類があります。ロボアドバイザー投資一任型は少額投資ができるものが多いため、気軽に利用できます。

-ファンドラップ

ファンドラップとは、金融商品の分析から投資判断などを含めた資産運用・管理を、信託銀行や証券会社などの金融機関にすべて任せるものです。

大手証券会社などで取り扱っており、資産運用の知識を備えた専門家に数百万円以上の資産運用を一任するラップ口座が一般的です。

-投資一任のメリットとデメリット

メリット:市場分析やリスク低減のためのリバランス、再投資などすべて行ってくれるため、投資の知識や時間がない人でも効率のよい資産運用が可能

デメリット:すべてを任せる分、手数料や成功報酬などの費用がかかる

「手数料を払って楽をする」か「自分でやって安く済ませる」か、どちらを選びたいと思うかはそれぞれの視点によって変わるでしょう。投資一任は、「自分で投資の勉強をして自分で選びたい」という人には向きません。

まずは、自分がどうしたいのかを見つけることが大切

同じ事柄でも、視点を変えることで受け取り方が変わることがあります。メリットとデメリットが入れ替わることもあるでしょう。視点を変えれば、自分の投資に必要な情報かどうかを判断できるようになるかもしれません。

まずは投資の目標額や期間、目的など、「自分がどうしたいのか」をしっかり考えておくことが大切です。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。

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