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テーマ1:財政保守主義
テーマ2:金融政策
テーマ3:地政学的リスク
テーマ4:技術革新
今後の展望
注目の日程
2024年の当レポートの発行は今回で最後となります。しかし休暇に入る前に、2025年の世界市場を牽引すると思われる4つの主要テーマについて強調しておきたいと思います:それは、財政保守主義の高まり、金融政策の継続的重要性、地政学的リスクに対する懸念の高まり、そして技術革新です。
私は、2025年には財政保守主義がより顕著になると考えています。最近、世界の市場が財政赤字拡大に対する懸念的反応を示した事例がいくつか見られました:
米国を含め、2025年にはさらに予算をめぐる対立が繰り広げられると予想されます。米国では債券自警主義の脅威が大きく、共和党・民主党ともに、政策立案者は財政赤字を削減しつつ各々のアジェンダを追求することを目指しています。例えば、スコット・ベッセント次期米財務長官は、2028年までに財政赤字を対GDP比で3%に抑えるとの目標を掲げました。新年を迎えるにあたりマーケット・ウォッチャーは、超党派の国家財政責任改革委員会(通称シンプソン=ボウルズ委員会)の状況を見ることで示唆を得られるかもしれません。同委員会は財政改革に果敢に取り組みましたが、その結果、連邦予算のほとんどあらゆる支出項目が、いずれかの政党によって「聖域」とされていることが分かりました。しかし委員会からの提言は思慮深く信頼に足るものであり、連邦予算と予算編成プロセスを新たに管理・改革する上で基礎となることが期待されます。市場の信認を確保し、債券自警主義を避ける上で、今後は真摯な取り組みが必要となるでしょう。
私は、2025年には金融政策が―株式、債券、通貨といった―市場の重要な牽引力になると予想しています。というのも、中央銀行はますます自身を主治医の立場として自覚するようになってきているからです。中央銀行は、現在進行中の病気を治療するだけでなく、将来予想される問題の予防薬の提供も行っています(過剰処方のリスクもありますが)。中央銀行が金融政策を通じて現下の経済課題に対処しつつ、将来の逆風に立ち向かおうとしているのを、直近で私たちは目の当たりにしています。
2025年は、特に中国に関しては財政政策も重要となることを強調しておきたいと思います。中国共産党の中央政治局は先週、予想されたとおり、中国の景気刺激策が非常に大きなものになると発表しました。財政刺激策は、消費者支援を含む包括的なものとなり、低金利寄りの金融刺激策を伴うものとなるでしょう。これは、私たちが2025年のグローバル市場見通しにおいて言及した、世界の成長と市場にとってプラスになると思われるスウィング・ファクターの1つです。
2025年には、地政学的リスクが高まるでしょう。 2024年は多くの主要な選挙を控え、大きな不確実性を抱えたまま始まりました。しかしこれらの選挙が終わったからといって、地政学的な不確実性やリスクが無くなったわけではありません。むしろ2025年は、戦争が続き、予算をめぐる対立が激化し、民主主義がプレッシャーにさらされる中で、不確実性やリスクが高まる可能性が高いでしょう。このような環境下では、暗号通貨の継続的な人気だけでなく、米ドルや金などの「セーフヘイブン」資産クラスへの定期的な逃避の準備をも整えておく必要があります。
人工知能(AI)を2025年、そしてもちろんその先の重要なテーマとして取り上げないわけにはいきません。今日は、技術革新への投資が生産性の飛躍的な向上につながった、1990年代後半を彷彿とさせます。
このテーマはそれ自体で1つのレポートに値しますが、ここでは、AIがますます産業や経済全体の生産性を、さまざまな方法で向上させていると言及するに留めておきます。これには、AIが生産工程を最適化し、石油の掘削や汲み上げに用いられる機器の効率を向上させていることも含まれます。またAIのコーディング・コパイロットの利用により、企業がコーディングに費やす時間を何千時間も節約できていることも含まれます。私はAIを、特に中小企業にとって、収益と効率の向上に役立つツールだと考えています。
今週は米連邦準備制度理事会(FRB)、イングランド銀行、日銀の金融政策決定が予定されています。
こうしたことから、2025年のグローバル市場見通しで述べたように、米ドルがユーロやカナダドルなどの通貨に対して相対的に上昇し、英国ポンドや日本円に対して相対的に中立あるいは下落する環境が醸成されると考えられます。
公表日 | 指標等 | 内容 |
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12月16日 | ユーロ圏購買担当者景気指数 | 製造業とサービス業の経済の健全性を示す |
12月16日 | 英国購買担当者景気指数(速報値) | 製造業とサービス業の経済の健全性を示す |
12月16日 | ユーロ圏賃金上昇率 | 時間当たり賃金の変化を測定 |
12月16日 | ユーロ圏労働コスト指数 | 雇用者の労働コストの変化を測定 |
12月16日 | 米国購買担当者景気指数(速報値) | 製造業とサービス業の経済の健全性を示す |
12月17日 | 英国失業率 | 労働市場の健全性を示す |
12月17日 | ドイツZEW景況感指数 | 今後6カ月間のドイツの景況感を測定 |
12月17日 | カナダCPI | インフレの動向を示す |
12月17日 | 米国鉱工業生産指数 | 鉱工業セクターの健全性を示す |
12月17日 | 米国小売売上高 | 小売セクターの健全性を示す |
12月6日 | ミシガン大学消費者調査 | 消費者心理とインフレ期待に関する指数 |
12月18日 | 英国CPI | インフレの動向を示す |
12月18日 | 英国PPI | 生産者に対して支払われる財・サービスの |
12月18日 | FOMC(米連邦公開市場委員会) | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
12月18日 | ユーロ圏CPI | インフレの動向を示す |
12月18日 | 日銀金融政策決定 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
12月18日 | 米国建築許可件数 | 建設業の健全性を示す |
12月18日 | 米国住宅着工件数 | 住宅市場の健全性を示す |
12月19日 | ドイツ GfK消費者信頼感指数 | ドイツの経済活動に対する消費者信頼感の |
12月19日 | イングランド銀行金融政策決定 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
12月19日 | 米国国内総生産 | 地域の経済活動を測定 |
12月19日 | 米国中古住宅販売件数 | 住宅市場の健全性を示す |
12月19日 | メキシコ銀行金融政策決定 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
12月20日 | 英国小売売上高 | 小売セクターの健全性を示す |
12月20日 | 米国PCE(個人消費支出)価格指数 | インフレの動向を示す |
12月20日 | インド準備銀行金融政策委員会 | 中央銀行の意思決定プロセスについて更なる |
12月20日 | 米国個人所得
| 賃金や給与、政府からの社会的給付などあらゆる |
12月20日 | カナダ小売り売上高 | 小売セクターの健全性を示す |
12月20日 | ミシガン大学消費者調査 | 消費者心理とインフレ期待に関する指数を提供 |
12月20日 | ユーロ圏消費者信頼感指数 | ユーロ圏の消費者心理を追跡 |
クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
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MC2024-152