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目次
データは、FRBがいつでも利下げを開始できる状況を示唆
景気にまつわる懸念がテクノロジー・セクターへの関心を高める可能性
今週のFRB会合における注目点
利下げ幅
FOMC声明の文言
ドットプロットその他の見通し
今週行われる世界の中央銀行の決定
結論
注目の日程
先週は、米国株を筆頭に世界的に株高となりました。米国株はテクノロジー・セクターに牽引され、ナスダック総合指数が1週間で6%近く上昇し、昨年11月以来の上昇幅を記録しました1 。これは一体なぜでしょうか?確かに、ここ数週間テクノロジー銘柄の価格が低迷しており、投資家が相対的に割安な銘柄を買いに走ったことも一因と考えられます。しかし私は、米連邦準備制度理事会(FRB)による大規模な緩和サイクルが始まることへの期待と、米国経済成長への懸念の2つが、主な牽引要因となったと考えています。
米国のインフレ懸念はほぼ落ち着いてきており、FRBが金融緩和を進める余地が生じています―その結果、テクノロジー株のような高バリュエーション資産へのプレッシャーが弱まる可能性があります。テクノロジー株は「ロング・デュレーション」の資産クラスと見なされますが、これはより長期の将来に渡る収益フローが織り込まれていることから、一般的に金利変動に対する価格感応度が高いことを意味します。
インフレ期待に関するマーケット指標から見ても、消費者調査から見ても、インフレがもはや重要な懸念ではなくなってきていることが示唆されています。これは、大規模な緩和サイクルへの扉を開く一助となるでしょう:
近年テクノロジー・セクターは、経済成長予想が低迷する中で、長期の成長を求める投資家に選好されるセクターとなってきました。経済成長への懸念は、これまで様々な形で顕在化しています:
市場は明らかに、景気減速への不安と目前に迫った利下げへの興奮とが相まった、複雑な感情を抱いています。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は、9月18日に政策金利に関する決定を行います。私が注目しているのは、以下の点です:
私はFRBが0.5%ではなく、0.25%の利下げを行うと予想しています。以前にも述べたように、0.5%の利下げを行えば、米国経済の現状に警鐘を鳴らすことになるためです。思い返せば2020年3月、FRBは世界的なパンデミックを目の当たりにして0.5%の利下げを行い、短期的な緩和サイクルを開始しました。現在、0.5%の利下げが必要なほど悲惨な状況にあると主張するのは非常に厳しいでしょう。
実際、前回の政策変更開始の際も、FRBは段階的な動きを見せました:
FRB自身が、インフレ対策が後手に回ったと認めた2022年3月の利上げ開始時でさえ、0.5%の利上げは行いませんでした。0.25%の利上げから始め、すぐにより大幅な利上げへと移行しました。とはいえ、今週の利下げが0.25%に留まったとして、FOMC出席者のうち一体何名が0.5%の利下げに賛成したかは興味深いところです。この人数が比較的多ければ、今後より積極的な緩和が予想されます。
今回と前回の声明を比較することで、文言の細かな調整具合が分かるでしょう。私は特に、前回に比べて、今回の声明で経済についてどのような表現がなされるかに関心があります。
例えば、7月のFOMC声明における経済についての評価では、GDP成長率を 「堅調」としつつも、FOMCは新規雇用が「緩やかになった」と認め、 失業率が「上昇した」と指摘しました5 。今回も似たような表現がなされるのではないかと考えています。より否定的な表現となれば、危険信号のサインかもしれません。
ただし今回は、FOMCメンバーによる「経済予測サマリー」において、失業率と国内総生産(GDP)成長率両方の見通しが出される予定のため、表現の重要性は比較的低いでしょう。
FOMCの「経済予測サマリー」には、ドットプロット(FOMCメンバーによる金利予測分布図)と、その他いくつかの見通しを示すチャートが掲載されています:
まとめると、FRBが今週利下げを決定するための道筋は整っており、間違いなく世界的な緩和サイクルが新たな局面を迎えることになるでしょう。しかし、そこからリスク資産が順風満帆に推移すると安直に想定するべきではありません。米政府機関閉鎖の可能性、米大統領選挙の行方、中央銀行による緩和の道筋、そしてもちろん、主要国でそれぞれどのような着地が見られるか等、市場のボラティリティを高める不確実性は依然として大きく残っています。そのため、経済の健全性に関して示唆を与えるデータが市場に与える影響は、今後はるかに大きくなり、短期的にはボラティリティを上昇させるだけでなく、投資スタイルや投資対象セクターのローテーションにも影響を与えると考えています。
公表日 | 指標等 | 内容 |
---|---|---|
9月16日 | ユーロ圏労働コスト指数 | 労働者の雇用に必要な総コストを 時間単位で追跡 |
9月16日 | ニューヨーク連銀製造業景気 指数 | ニューヨーク州の製造事業者についての 月次調査 |
9月17日 | ドイツZEW景況感指数 | 今後6カ月間のドイツの景況感を測定 |
9月17日 | 米国小売売上高 | 小売セクターの健全性を示す |
9月17日 | 米国鉱工業生産指数 | 鉱工業セクターの健全性を示す |
9月17日 | カナダCPI | インフレの動向を示す |
9月17日 | 米国住宅建築業者協会(NAHB) 住宅市場指数 | 住宅市場の健全性を示す |
9月17日 | ニュージーランドWestpac消費者 信頼感指数 | 経済活動に対する消費者信頼度の 変化を測定 |
9月18日 | 英国CPI | インフレの動向を示す |
9月18日 | ニュージーランド国内総生産 | 地域の経済活動を測定 |
9月18日 | 英国住宅価格指数 | 住宅市場の健全性を示す |
9月18日 | ユーロ圏CPI | インフレの動向を示す |
9月18日 | 英国PPI(生産者物価指数) | 生産者に対して支払われる財・サービスの 価格変化を測定 |
9月18日 | カナダ銀行会合議事要旨 | 中央銀行の意思決定プロセスについて更なる 洞察を与える |
9月18日 | FOMC 金融政策決定 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
9月18日 | ブラジル中央銀行金融政策決定 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
9月19日 | イングランド銀行金融政策決定 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
9月19日 | ノルウェー銀行金融政策決定 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
9月19日 | 南アフリカ準備銀行金融政策決定 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
9月19日 | 米国中古住宅販売件数 | 住宅市場の健全性を示す |
9月19日 | 英国GFK消費者信頼感指数 | 英国の消費者の足元と今後12か月間の家計と 経済に関する見方を追跡 |
9月19日 | 日本CPI | インフレの動向を示す |
9月19日 | 日銀金融政策決定 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
9月20日 | 英国小売売上高 | 小売セクターの健全性を示す |
9月20日 | ドイツPPI(生産者物価指数) | 生産者に対して支払われる財・サービスの 価格変化を測定 |
9月20日 | カナダ小売売上高 | 小売セクターの健全性を示す |
9月20日 | カナダ原材料価格指数 | カナダで操業する製造事業者が購入し加工する 原材料の価格変化を測定 |
9月20日 | ユーロ圏消費者信頼感指数 | 消費者の家計と経済に対する見方を追跡 |
クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
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MC2024-115