新NISAを活用した一括投資と積立投資の違いを詳しく解説し、それぞれのメリットとデメリットを比較します。さらに、過去のデータをもとに、一括投資が有利になるシチュエーションなど、投資判断に役立つ情報を詳しく解説している記事をご紹介します。
目次
2024年6月22日 お金の使い方
新NISAで手持ちの余剰資金200万円を投資信託で運用する場合、一括投資と積立投資はどちらが有利になるのでしょうか。本記事ではそれぞれのメリット・デメリットを比較しながら、一括投資が有利になる局面をまとめました。
国内のシンクタンク「ニッセイ基礎研究所」は、2000年から2023年11月までのデータをもとに、毎年1月に一括投資を行うのと、毎月の積立投資のどちらが有利だったのかを調査しています。本レポート(※)では、「TOPIX」「S&P500」「MSCI-ACWI」の配当込み指数を投資対象とした場合に、毎月1月の一括投資のほうが有利だったという結果が示されました。
(※)参考:ニッセイ基礎研究所「新NISA、「毎月投資」か「1月一括投資」か 基礎研REPORT(冊子版)2月号[vol.323]」
ただし、1年単位では積立投資が有利な時期もあるので、必ずしも一括投資が優れているわけではありません。ここからは、一括投資が有利になると考えられる局面を解説します。
株式市場が上昇基調にある局面では、個別株式に一括投資をすると有利になる可能性があります。資産構成の大部分が株式である投資信託も、ポートフォリオに組み込まれている銘柄の株価に大きな影響を受けて基準価額が上昇する可能性があります。
ただし、株式市場全体が上昇基調でも、購入したファンドが値上がりするとは限りません。個別株式や投資信託の価格は、金利や為替の動向、企業の業績によっても変わるため、購入前には様々な情報を分析することが重要です。
次に、一括投資よりも積立投資のほうが有利になると考えられる局面を解説します。
「ニッセイ基礎研究所」の同レポートを確認すると、2002年と2008年の2回(年)だけが毎月の積立投資が毎年1月の一括購入よりもよい結果を出しています。これはこのふたつの年がITバブルの崩壊やリーマンショックなどの下落相場に見舞われたため、年初よりも株価が下がったことが原因です。
このような株価に悪影響を与える出来事があったとしても、必ず年初の一括購入が不利になる訳ではありません。2020年前半で起きたコロナショックでは大幅な下落が発生してからすぐに回復し始め、2020年後半は上昇基調が続きました。
株価を下落させそうな悪材料が出たとしても反射的に取引を行わず、現状の経済や相場の分析を行なってから取引の判断を下すことが重要です。
2024年4月19日 資産管理
新NISAの成長投資枠では、1年間に240万円までの金融商品を購入できます。さまざまな投資手法がある中で、240万円の一括投資は有効といえるのでしょうか。本記事では、新NISAで240万円を一括投資する効果や、損失リスクなどの注意点について解説します。
積立投資などと比べて、新NISAでの一括投資はどのような点が異なるのでしょうか。以下では、成長投資枠で240万円を一括投資する3つの効果を解説します。
金融商品が値上がりしたときの利益幅は、投資金額に比例して増えます。そのため、新NISAで240万円を一括投資すると、相場状況によっては大きなリターンを期待できるかもしれません。参考として、以下では保有商品の価格が10%上がったケースを想定して、投資資金で利益幅がどれくらい変わるのかをまとめました。
投資資金 | 10%値上がりしたときのリターン |
---|---|
80万円 | 8万円 |
120万円 | 12万円 |
160万円 | 16万円 |
200万円 | 20万円 |
240万円 | 24万円 |
単純計算をすると、同じ条件で投資資金を2倍増やした場合は、期待できるリターンも2倍になります。
一括投資と積立投資では、短期間で期待できるリターンにも違いがあります。
たとえば、240万円分の金融商品が1%値上がりすると、売却時には2万4,000円のリターンを得られます(※手数料などは除く)。一方で、毎月少額ずつを購入する積立投資では、数百円から数千円のリターンになることが予想されます。つまり、240万円の一括投資は値動きの影響を受けやすくなるため、数日や数週間でまとまったリターンを期待できるかもしれません。
新NISAの対象商品には、1月時点での一括投資が有利な傾向にある金融商品も含まれます。ニッセイ基礎研究所のレポート(※)によると、2000年1月から2023年11月にかけては、下記の投資対象で1月での一括投資が有利というデータが紹介されています。
・TOPIX(東証株価指数)
・S&P500(スタンダード・アンド・プアーズ500種指数)
・MSCI-ACWI(MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス)
比較対象は毎月1万円の積立投資であり、いずれの投資対象でも1月一括投資が有利な結果となりました。最も資産効率が高いのはS&P500であり、年平均では7.5%の利回りを記録しています。
ただし、投資対象が下落傾向にある時期は、積立投資のほうが有利になることもあります。相場状況によって適した手法は変わるため、上記のデータはあくまで参考程度に留めてください。
(※)参考:ニッセイ基礎研究所「新NISA、「毎月投資」か「1月一括投資」か 基礎研REPORT(冊子版)2月号[vol.323]」
2024年1月1日 資産管理
2024年1月から始まる新NISAは、非課税投資枠の範囲内で運用益が非課税になる制度です。投資手法や目的に合わせて2つの投資枠が用意されていますが、それぞれ積立投資と一括投資のどちらに適した制度なのでしょうか。
新NISAの非課税投資枠を活用するには、資金や目的に合わせて積立投資と一括投資を使い分けることが重要です。非課税投資枠は最大で年間360万円ですが、仮に投資手法を一括のみに限定すると、年間240万円(成長投資枠)までしか消費できません。
積立投資のみを行う手法についても、相場状況によっては期待できるリターンが減ってしまう可能性があります。場面に応じて積立投資・一括投資を使い分けるために、新NISAの仕組みを確認しておきましょう。
2023年12月26日 お金の使い方
新NISAでは「一括投資」と「積立投資」という2通りの投資方法があります。本記事では、成長投資枠を使った「一括投資」について、メリット・デメリットを交えて説明します。
集中投資は今後も価格上昇が続くと予想する銘柄がある場合、その銘柄に絞って、年間投資上限額240万円分を投資する方法です。1銘柄に集中投資しますので、パフォーマンスを高められる可能性があります。投資する銘柄が決まれば、全額を一度に購入しても良いですし、何度かに分けて購入しても構いません。
ただし、一括投資は積立投資と比べてもリスクが大きくなりやすく、適切な投資判断が求められますので、投資経験豊富で銘柄選択に自信がある投資家に有効な方法となるでしょう。
分散投資は、1つの銘柄に絞らず複数銘柄に投資する方法です。銘柄を分散することで、1銘柄への集中投資よりリスクを抑えることができます。株式なら単元未満株で数千円から購入可能で、投資信託なら数百円から購入可能なので、年間240万円の投資枠で100銘柄以上を購入することも可能です。
実際に分散投資を行う際は、同じ業界・業種などに集中させず、できるだけ相互に価格が連動しない銘柄を選ぶことが大切です。
特定口座や一般口座などの課税口座で保有している資産をいったん売却し、新NISAの成長投資枠で一括で買い直すも選択肢の1つです。
今後の価格上昇を予想している場合、含み益があっても課税額が小さいうちに売却し非課税の新NISAに移行することで、トータルの課税額は小さくなります。
一方、含み損がある場合は売却時に損失が発生しますが、他の課税口座の利益と相殺できる損益通算(新NISAでは利用不可)という仕組みを利用できます。課税口座で生じた損失を最長3年まで繰り越して、他の課税口座の利益と損益通算することで課税額を抑えられます。
2023年5月5日 お金の使い方
2024年から始まる新NISAでは、年間360万円の非課税投資枠が設けられる予定です。現行制度より投資枠が拡大されますが、最大限に活用する場合はどのような点に注意すれば良いのでしょうか。
新NISAには、積立投資を対象にした「つみたて投資枠」と、一括購入もできる「成長投資枠」があります。これらの投資枠は併用できますが、以下のように年間投資枠や保有限度額の制限が異なります。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
非課税投資枠 | 年間120万円 | 年間240万円 |
非課税保有限度額 | 2つの投資枠で1,800万円まで (※成長投資枠は1,200万円まで) |
合計では年間360万円の枠を使えますが、一方の投資枠だけで使い切ることはできません。2つの投資枠を合わせて1,800万円が保有限度額となるため、毎年360万円ずつ投資をすると5年間(1,800万円÷360万円)で保有上限に達します。
なお、新NISAの投資枠を活用して保有している金融商品を売却すると、その分の投資枠を再利用できます。
一括投資と積立投資の違いをしっかりと理解することで、より有利な投資判断が可能になります。新NISAを上手に利用し、将来の資産形成に向けた第一歩を踏み出すことを検討してはどうでしょうか?
これらの記事を参考に自分に合った投資戦略を見つけてください。
※本記事は資産運用に関わる基礎知識を解説することを目的としており、資産運用を推奨するものではありません。また、過去の実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。