2026年の市場見通し「世界経済の回復力と金融市場のリバランス」

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〔要旨〕

  • 市場見通し:2025年は不確実性に彩られた年だったが、市場や経済は非常に堅調だった。2026年を見据え、株価が潜在的に上昇する条件は整っていると考えられる
  • 経済の再加速:米国の金利引き下げと欧州・日本・中国における政府支出の拡大が、世界経済を景気サイクル半ばの減速から押し上げることに寄与するはずだ
  • 投資への示唆:世界の経済活動の回復は、米国以外の市場、小型株、米国のシクリカル株を含め、より幅広いセクターで価値を引き出す可能性がある

2026年の経済見通しは楽観的

2026年の主な経済・投資に関する示唆

分散投資:AI関連企業へのエクスポージャー管理

欧州:政策が域内で良い影響をもたらしつつある

日本:財政支援とインフレが名目成長を押し上げる可能性

インド:地政学的課題の中で見通しが改善

新興国市場:持続的な強さの兆候

プライベート・クレジット:分散投資の可能性

2025年は不確実性に彩られた年でしたが、経済は大いに堅調さを示し、市場は高いリターンを上げました1。2026年を見通すにあたって、グローバル株式がさらに上昇する条件が整っていると考えられます。私たちの2026年の市場見通し「世界経済の回復力と金融市場のリバランス」には、以下の2つの主要テーマが反映されています:

  • 回復力:企業は、経済的ショックを吸収する強い能力を示してきました。この回復力は、米国の利下げや欧州・日本・中国における政府支出などの財政支援によりさらに強化されると予想されます。これらの措置が、世界経済を減速から押し上げるのに寄与すると考えられます。
  • リバランス:米国株式市場、特にAI主導のテクノロジーセクターは割高と見なされていますが、私たちは他のセクターに魅力的な機会があると見ています。米国以外の市場、小型株、米国シクリカル株(経済成長時に好調となる傾向のある銘柄)の価格帯は魅力的となっていると考えています2

2026年の経済見通しは楽観的

2026年を迎えるにあたって私たちは、企業の持続力を確信し、中央銀行の政策的方向性と財政支援に勇気づけられ、分散投資の必要性についての認識は持った上で、楽観的に見ています。

2026年の主な経済・投資に関する示唆

分散投資:AI関連企業へのエクスポージャー管理

投資家の間では、人工知能(AI)投資ブームが過熱しバブル状態にあるのではとの懸念が高まっています。私たちは現時点では、AI投資テーマはさらに進展するとみており、過去のバブルとの類似点として挙げられているものの中には、必ずしもそうではないものも含まれていると考えています。ただし高まるリスクを乗り切る上で、ポートフォリオのリバランスを推奨します。

私たちは、例えば中国のテクノロジー株など、より魅力的な価格帯にあるAI関連の投資機会が存在すると考えています。AIテーマは、他の角度からも進展を見せる可能性があります。例えばAI導入企業は、コスト効率化や新製品開発を行う可能性があります。つまり、エクスポージャーを伝統的な時価総額加重型アプローチ以外にも拡大する投資戦略は、少数の巨大AI銘柄への過度のエクスポージャーを軽減する、賢明な方法となるかもしれません。

欧州:政策が域内で良い影響をもたらしつつある

ユーロ圏の成長は、ここ数年低迷してきました。しかし、ドイツが軍事・インフラ支出の拡大期に入ったことで、こうした状況は変化しつつあると考えられます。また、多くの国々における軍事費増強、購買力の持続的な成長、直近の利下げが、域内全体でこうした状況をさらに下支えすると予想されます。

私たちは、英国についての悲観論は過剰だと考えています。イングランド銀行にはさらなる利下げ余地があると考えられ、小売売上高も上昇傾向にあると見られます。2026年には経済成長が予想を上回る可能性があり、英国市場を支えるでしょう。

日本:財政支援とインフレが名目成長を押し上げる可能性

日本は構造的にインフレに回帰しつつあり、これが名目賃金上昇とともに消費が上向く好循環を生み出しました。労働市場は引き続き逼迫しており、設備投資はほとんどの国々と比べて一貫して堅調です。

2026年には、大幅な財政刺激策の助けもあり、日本の成長は引き続き改善し、トレンドを上回ると予想されます。日銀は、金利を緩和的な水準を維持しながら、段階的に利上げを実施すると予想され、それが成長と投資を支えるはずです。

インド:地政学的課題の中で見通しが改善

2026年、インドでは現行改革の継続が見込まれ、米印関係の改善とともに潜在的成長改善が見込まれるでしょう。これらがインド株の上昇に寄与する可能性があります。インドは引き続き世界で最も急速に成長する経済大国のポジションを維持し、インド準備銀行の利下げによって成長は緩やかに加速すると予想されます。国内経済改革は、将来の成長と回復力にとって依然として重要と考えられ、政治的制約があることから、漸進的な進展が見込まれます。

新興国市場:持続的な強さの兆候

新興国市場の株式は、2025年に突出して高いリターンを記録しましたが3、このアウトパフォーマンスが2026年も継続し得ると考えられる理由が、引き続きいくつか存在します。

  • 主な要因は米ドル安が予想されることであり、これが新興国市場の株価にプラスに作用し得ると見込まれます。
  • 米国の利下げは、新興国の中央銀行が利下げを継続する余地を生み、国内需要と株式市場を支えると考えられます。
  • 多くの新興国は、人口動態の有利さ、消費の拡大、投資の流入に牽引され、国内総生産(GDP)成長率で先進諸国を上回ると予想されます。
  • さらに、新興国は世界的なAIインフラ整備の恩恵を受ける可能性が高いと考えられます。中国はAI及び関連技術に巨額の投資を行っており、これが株式市場のパフォーマンスの強力なエンジンとなり得ます。

プライベート・クレジット:分散投資の可能性

従来型のクレジット資産以外の多様な収益源を求める投資家にとって、プライベート・クレジットは依然として魅力的な選択肢だと考えられます。基準利回りはパンデミック前の水準を上回っており4、ミドルマーケット(中堅企業)の借り手の不動産担保やキャッシュフローの見通し改善を受け、プライベート・クレジットは2026年にかけて良好なパフォーマンスを示すと見込まれます。

さらに、リスク環境の緩和、成長改善、安定的なインフレは、米国の金融政策緩和とともに、プライベート・クレジットを後押しする条件だと私たちは考えています。

  • 1.出所:国際通貨基金(IMF)およびブルームバーグL.P.、2025年11月12日。IMFの推計では、2025年の世界経済成長率を3.2%と予測。MSCIオールキャップ・ワールド指数は、米ドル建てトータルリターンベースで、年初来21.98%のリターンを記録
  • 2.出所:ブルームバーグL.P.、2025年11月12日。S&P 500種指数の株価収益率(P/E)(22.7倍)と比べた、ブルームバーグ・マグニフィセント・セブン・トータル・リターン指数の予想12ヶ月株価収益率(33.2倍)、MSCIオールキャップ・ワールド指数(米国除く)の予想12ヶ月株価収益率(15.2倍)、S&P400種ミッドキャップ指数の予想12ヶ月株価収益率(15.7倍)、S&P500種バリュー指数の予想12ヶ月株価収益率(18.5倍)に基づく
  • 3.出所:ブルームバーグL.P.、2025年11月12日。MSCIエマージング・マーケット指数は、米ドル建てトータルリターンベースで、年初来33.72%のリターンを記録
  • 4.出所:ブルームバーグL.P.、2025年11月17日。FF金利は4.0%(パンデミック前は1.75%)、英国基準金利は4.0%(パンデミック前は0.75%)、欧州中央銀行(ECB)預金ファシリティー金利は2.0%(パンデミック前は-0.5%)。世界保健機関(WHO)は2020年3月11日にパンデミックを正式に宣言した

ブライアン ・レヴィット
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト

ベンジャミン ・ジョーンズ
ヘッド・オブ・グローバル・リサーチ

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