日本円が強い時代は終わり?日本人の投資の実態

『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』より一部抜粋

(本記事は、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社の著書『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』=ベストセラーズ、2023年5月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

日本人の投資の実態

少しずつ資産形成の選択肢に積極姿勢がみられるようになっていますが、現在、日本人の投資の実態はどのようになっているのでしょうか。

行動経済学で、ホームカントリー・バイアスといわれる傾向があります。これは自国の資産に投資が集中するというもので、どの国でもみられます。自国の企業や経済の情報あるいはそれが及ぼすリスクなどの情報が入手しやすいことや、自国への投資を積極的に選択するというのは誰もが理解できることでしょう。しかし、そのバイアスにより海外に資産が分散できず、かえって単一国で生じるリスクを抱えてしまうこともあります。

日本円のみで資産を持つこと

2018年、弊社は金融資産5000万円以上の60〜80代で投資信託を保有する11組計15名を対象に、これまでどのように資産を築いたかのインタビュー調査を実施しました。調査協力者のほとんどが日本経済を支え牽引してきた日系大手メーカーをリタイアした元会社員で、海外赴任経験者が多いことが特徴的でした。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」時代の中心におり、強い日本円を持ちながら海外での赴任生活を過ごした方々は、海外経験があるにもかかわらず日本株式への投資比率が意外と高く、数年の海外赴任が終わって日本に戻ると預金が知らないうちに増えていたという話や、若手会社員時代に従業員持株制度でなんとなく保有していた自社株が退職時に何倍にもなっていたという話を聞かせていただきました。

このように、日本の経済成長の中心にいてその成長を体感し享受してきた世代にとっては、日本円のみで資産を持つことが豊かになるための解の1つだったといえるでしょう。日本に資産を持っていれば安心できると信じられていたことは想像に難くありません。日本企業も日本人も日本円資産もともに成長した時代だったのです。

日本証券業協会の調査「保有株式の種類」を見ると(図表1‐6)、保有株式は今もなお国内上場株式が圧倒的に多いことが分かります。これにはホームカントリー・バイアスだけではなく、海外の株式を取引するには取り扱い証券会社が限られていることや、取引口座の開設、取引時間や為替、税制の対応など、外国証券取引特有の手続きが面倒といった点も背景にあるかもしれません。

『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』より

2023年1月に発表された一般社団法人投資信託協会「2022年投資信託に関するアンケート調査報告書」によると、投資信託の保有種類については2021年より外国株式投資信託の保有が最も多く、次に国内株式投資信託、分散型投資信託(バランス型)と続きます(図表1‐7)。なお「外国株式投資信託」の保有率は若年層ほど高く、年齢が上がるほど「分散型投資信託(バランス型)」「外国債券投資信託」「国内不動産投信(J リート)」の保有率が増加します。外国証券取引は先述した理由から個人が扱うにはハードルが高いですが、投資信託を活用すれば海外資産への投資は容易に実現できます。

『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』より

一方で、保有率ではなく保有金額で平均購入額をみてみると(図表1‐8)、「分散型投資信託(バランス型)」が312.5万円で最も高く、「外国債券投資信託」の303.6万円と「国内不動産投信(Jリート)」がそれに続き、また異なった傾向がみえてきます。

『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』より
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<著者プロフィール>

インベスコ・アセット・マネジメント株式会社
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社は、独立系資産運用会社インベスコの日本拠点です。

インベスコ・アセット・マネジメント株式会社は、内外の公的年金・企業年金、事業法人、銀行や保険会社など機関投資家を対象に、株式や債券などの伝統的な投資戦略からオルタナティブなど非伝統的な投資戦略まで幅広い商品およびサービスを提供しています。
また、銀行・証券会社・保険会社などを通じて個人投資家向けの投資信託およびサービスを提供しています。

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