『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』より一部抜粋
(本記事は、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社の著書『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』=ベストセラーズ、2023年5月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
それでは、資産形成をする上で重要な点は何なのでしょうか。それは、「時間分散」「資産分散」「地域分散」の3つの分散に配慮することです。分散投資は資産運用に伴う価格変動リスクを低減させて、より高いリターンを目指す有効な方法です。
つみたてNISAによる投資が増加していることなどから、少額・定期定額の投資を行うことで、短期的な値下がりなどによる損失軽減のメリットを享受できている人が増加しているように見受けられます。「時間分散」を大きく味方につけることができる20〜30代の若年層の投資家が急増しているのも、頼もしいことです。
「株式」「債券」「不動産」など異なる値動きをする傾向のある資産を組み合わせることでリスクの軽減が期待されます。資産形成をする上で、リスクを比較的抑えた「守り」の投資と、余裕資金などを充てて多少のリスクを取りつつも高いリターンを得るための「攻め」の投資があります。すべてを「守り」の投資に配分すると、インフレ率を上回るようなリターンが得られないこともあります。そのため、「攻め」の投資では、指数との連動を目指す低コストのインデックス・ファンドだけでなく、指数を上回ることを目指し、企業調査や分析を徹底的に行い優良な銘柄を厳選するアクティブ・ファンドも、高いリターンを狙ったり、損失を抑制したりするための重要な選択肢になり得るでしょう。
投資対象の国・地域を分散することで、政治・経済状況の変化による資産の急激な値動きのリスクを軽減することが期待されます。昨今の公募投信の設定状況をみると、上位には「米国株式」「全米」「US」といったファンド名が並び、米国資産への投資が多い傾向にありました。NYダウと日経平均株価を30年間で比較すると、日経平均の約1.5倍に比べてNYダウは約10倍※という米国の力強さは相対的に魅力的です。また、米国の企業は認知度も高く、他の国と比較してもニュースや情報は入手しやすいため、身近に感じられるのかもしれません。米国にグループ本社をもつ弊社でも、米国の株式、債券、不動産に投資しているファンドが多くあります。
一方2022年、世界を牽引していた米国のGAFAM(米国の大型テクノロジー企業である、アルファベット[Google]、アップル[Apple]、メタ・プラットフォームズ[Facebook]、アマゾン・ドット・コム[Amazon]、マイクロソフト[Microsoft]の5社を表す)の株価が下落しました。現在急成長の曲がり角に立つこれらの企業が次の一手を打ち、今後の株価が回復することを期待したいものですが、投資先としては、米国一辺倒ではなく、さらに広い地域分散を検討する必要が出てきたのかもしれません。日本経済は全体では低成長が続いていますが、優秀な日本企業が数多く存在することは事実であり、私たち日本人の誇りです。それら日本企業も当然のことながら世界株式投資の対象の一角を占めます。世界の広い地域に分散した世界株式の投資信託は資産形成のゴールにたどり着くためのエンジンの1つとして、個人では見つけづらい優良企業への投資を可能とし、これからの資産形成における選択肢の1つとなり得るのです。
<著者プロフィール>
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社
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