物価が高くて辛い今だからこそ知りたい税金の豆知識

『元国税局芸人が教える わかる、得する!超やさしい税金の教科書』より一部抜粋

(本記事は、さんきゅう倉田氏の著書『元国税局芸人が教える わかる、得する!超やさしい税金の教科書』=Gakken、2023年6月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

【所得税の内容】所得税ってどんなもの?

❖所得税は、所得が多い人ほどたくさん支払うしくみになっています。賛否はあるかと思いますが、「税は公平に負担する」という考え方が根本にあります。

所得税は収入に課税されるわけではない

所得税は、会社からもらう給与や自分で商売をして稼いだお金などにかかる税金です。

課税対象になるのは、収入ではなく所得に対してです。所得は収入から必要経費を引いたものであることは前項で述べましたが、必要経費は収入を得るために発生した支出のことをいいます。

具体的には、パソコンやスマートフォンの購入費・通信費、取引先の元へ行くための交通費などが含まれます(必要経費については80ページをご覧ください)。収入と必要経費が同額だった場合は、所得は0円となります。

『元国税局芸人が教える わかる、得する!超やさしい税金の教科書』より

努力しても損するばかり? 累進課税制度ってどうなの

日本では、高所得の方ほど多くの税金を支払う「累進課税制度」を採用しています。正確にいうと、所得が一定の基準を超えた分について税率が上がっていく「超累進課税」で、所得税、相続税、贈与税がこの方式です。

これは「所得に応じて公平に課税する」という応能負担の考え方がベースになっていて、富の格差が生じにくいという利点があります。

しかし、努力してたくさん稼いでもその分、税金も高くなってしまうことで労働意欲が損なわれ、経済活動が弱まるという声も一部にあります。

また、実質的な所得が変わらなくても、結果として納税額が増えてしまうといった問題もあります。

『元国税局芸人が教える わかる、得する!超やさしい税金の教科書』より

「申告納税制度」と「源泉徴収制度」

所得税の納付方法は、申告納税制度と源泉徴収制度の2種類があります。

申告納税制度は、税金を納める方ご自身が税務署に所得などを申告して税金を納付する方法です。所得税や法人税、相続税、贈与税などの国税と、法人住民税などの地方税で採用されています。

申告納税制度は、納税者自身が正しい申告と納税をすることが前提になっていますが、実際は納税者が申告しなかったり(し忘れたり)、意図的に所得をごまかして申告したりする人もいます。そのため、青色申告制度や各種の加算税制度、租税罰則制度などが設けられるとともに、適切な税務調査などを行うことによって、適正な申告納税が確保されるようになっています。

『元国税局芸人が教える わかる、得する!超やさしい税金の教科書』より

源泉徴収制度は、事業者が従業員の給与からあらかじめ所得税を天引きして納付する方法です。会社員の場合は、源泉徴収制度で所得税を納付しています。

事業者が本人の代わりに納めた所得税のことを源泉所得税といいます。給与以外にも、利子や配当、退職金、一部報酬などは源泉徴収の対象です。

天引きした所得税は税務署へ納付され、税金を多く納めていれば年末調整でその分が戻ってきます(還付)。反対に、納税額が少ないときはその分を支払うこともあります(追徴)。給与明細書を見てもらえば、所得税が差し引かれていることがわかるはずです。

『元国税局芸人が教える わかる、得する!超やさしい税金の教科書』より
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<著者プロフィール>

さんきゅう倉田

芸人。ファイナンシャルプランナー。1985 年神奈川県生まれ。
大学卒業後、国税専門官採用試験を受けて東京国税局に入局。同局退職後、吉本興業の養成
所 NSC に入学し、芸人となる。X(旧 Twitter)などで発信した税やお金の情報が話題とな
り、執筆や講演等の仕事を増やす。以来、芸人として活動しながら、現在は税理士会、法人
会などでの講演に加え、『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』『ダイヤモンド・オンライ
ン』『プレジデント・オンライン』『マイナビニュース』『税と経営』などでも税や経済につ
いての記事を執筆、好評を得ている。
2023 年東京大学文科二類に合格し、東京大学に在学中。
著書に『元国税局芸人が教える わかる、得する!超やさしい税金の教科書』(Gakken)の
ほか、『元国税職員のお笑い芸人がこっそり教える 世界一やさしいお金の貯め方増やし方
たった 22 の黄金ルール』(東洋経済新報社)、『元国税芸人が教える! フリーランスで生き
ていくために絶対知っておきたいお金と税金の話』(あさ出版)、『お金リテラシー超入門だ
まされて大損しないために! 15 歳から知っておきたい』(主婦と生活社)などがある。

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