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アベノミクスの「3本の矢」
安倍元首相のビジョンが現在の日本に与える影響
日本株がさらに上昇し得る3つの理由
注目の日程
まるで1980年代後半に戻ったかのようです。リーボックのハイカットスニーカーやGuessのジーンズを履き、エスプリのジャケットを着ているからでも、メン・アット・ワークやイエスを聴いているからでもありません。日本経済について多くの熱狂が見られ、日本株がこの1年で力強く上昇したからです1。
これはつかの間のトレンドに過ぎないのでしょうか、それとも「ジャパネサンス」の到来なのでしょうか。
日本の経済と株式市場は、パンデミック時に実施された強力な財政・金融刺激策の恩恵を確かに受けています。しかし私の見解では、その下地は、10年以上前に故安倍元首相が打ち出した野心的な経済計画「アベノミクス」によって築かれたと考えられます。
アベノミクスは、日本経済を数十年にわたる停滞から脱却させるべく立案されました。この計画には、「3本の矢」として知られる3つの重要なイニシアチブが含まれていました:
これは、金融及び財政刺激策によって日本経済をデフレから脱却させ、構造改革によって信頼感を改善しつつ、経済成長をより長期に持続可能なものとする、という強力な組み合わせから成るものでした。
さて、現在に話を戻しましょう。構造改革が定着しつつあるように見え、日本は安倍元首相のビジョンの多くを実現しつつあると言ってよいように思います。日本の春闘賃金交渉は、予想以上の結果となりました。日本最大の労働組合グループである連合と企業は、5.28%の賃上げで合意しました。これは昨年の3.8%の賃上げを大幅に上回り、最近のブルームバーグ調査におけるエコノミスト予想の4.1%をも上回りました2 。
10年前に開始されたコーポレートガバナンス改革によって、東証上場企業の資本効率は改善され、東証は更なる改善を推進しています。また、日本は安倍元首相の3本の矢のうち2本について、推進を続けています:岸田首相は追加的な大幅な財政刺激策を実施し、構造改革も引き続き支持しています。また最近、国内外からの投資を促進するため、規制を緩和し、外国人投資家が政府申請を英語で行えるようにするなどビジネス慣行を合理化しました。
過去1年の日本の株式市場の力強い上昇により、日本経済の改善は全て織り込まれたとの見方もあるかもしれません。しかし私は、日本株を今後さらに上昇させる可能性のある理由が、更にあると考えています。
昨年12月、私の同僚であるチーフ・インベストメント・オフィサー兼日本株式運用部長の小澤大二は、日経平均株価が1989年につけたピークを上回るだろうと正確に予測しました。 彼は、日銀による金融政策正常化に向けた慎重な取り組みと投資連鎖全体を強化する政府の改革に裏打ちされ、名目GDPの持続的な成長が実現すれば、日本の株式市場は好調を維持するだろうと予想しました。私はこの評価に大いに賛成であり、日本経済と株式市場の更なる好展開を楽しみにしています。
今週は、中央銀行-特に日銀、イングランド銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)に注目が集まります。いずれの中央銀行も金融政策の変更が近いと目されていますが、日銀が先に動き、今週または4月に金融政策の正常化を開始すると予想されています。春闘交渉により、日銀の正常化に向けた確信が早晩高まると見られるためです。
また、直近でいくつか意外なデータが出た後の今週は、FRBとイングランド銀行がいつ利下げを開始するかについても貴重なガイダンスが得られそうです。特に、今年の利下げ回数が2回にとどまるとの予想が示され得ると囁かれており、FRBのドットプロット(FOMCメンバーによる金利予測分布図)に注目したいと考えています。実際そうなったとしても、慌てないでください。以前も申し上げたように、ドットプロットは非常に不正確な場合があります―2021年12月のドットプロットを見れば、神経を落ち着かせることができるでしょう。
公表日 | 指標等 | 内容 |
---|---|---|
3月18日 | ユーロ圏CPI | インフレの動向を示す |
3月18日 | 米国NAHB住宅市場指数 | 住宅市場の健全性を示す |
3月18日 | 日銀金融政策決定会合 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
3月18日 | オーストラリア準備銀行 金融政策決定会合 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
3月19日 | ドイツZEW景況感指数 | 今後6カ月間の景況感を測定 |
3月19日 | ユーロ圏ZEW景況感指数 | 今後6カ月間の景況感を測定 |
3月19日 | 米国住宅建築許可件数、 住宅着工件数 | 住宅市場の健全性を示す |
3月19日 | カナダCPI | インフレの動向を示す |
3月20日 | 英国CPI | インフレの動向を示す |
3月20日 | ドイツ生産者物価指数 | 生産者に対して支払われるモノ・サービスの価格変化を測定 |
3月20日 | 米連邦公開市場委員会 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
3月21日 | スイス国立銀行金融政策 決定会合 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
3月21日 | イングランド銀行金融政策 委員会 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
3月21日 | 英国PMI | 製造業とサービス業の経済の健全性を示す |
3月21日 | ユーロ圏PMI | 製造業とサービス業の経済の健全性を示す |
3月21日 | 米国PMI(S&Pグローバル) | 製造業とサービス業の経済の健全性を示す |
3月21日 | 日本CPI | インフレの動向を示す |
3月21日 | 英国小売売上高 | 消費需要を測定 |
3月21日 | カナダ小売売上高 | 消費需要を測定 |
クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
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MC2024-037