老後の資産運用の方法と売却タイミングを徹底解説

『知識ゼロですがつみたてNISAとiDeCOをはじめたいです。』より一部抜粋

(本記事は、横山 光昭氏の著書『知識ゼロですがつみたてNISAとiDeCOをはじめたいです。』=インプレス、2021年11月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

<登場人物>

横山光昭先生(以降、横山と記載。):家計再生コンサルタント

藤田良朗さん(以降、藤田と記載。):投資について何も知らない会社員

老後もできれば運用を続けよう

老後のためにコツコツ資産運用を続けてきた場合、いざ老後を迎えたらどうすればいいのでしょうか?運用を続ける選択肢について解説します。

藤田:つみたてNISAやiDeCoで長期間投資を続けたら、老後をすでに迎えていたり、もうすぐ迎えたりする人も多いですよね。そこからさらに運用する意味はあるんですか?

横山:今は人生100年時代といわれるくらい、長寿化が進んでいるよね。つまり、老後は想像以上に長いんだ。その長い老後を豊かに暮らすには、健康寿命だけでなく、資産寿命も考えなくてはいけない

藤田:資産寿命……。でも、下手に運用するのもやっぱり怖いですよね。働いて収入を得ることが限られている老後は、現役時代より資産が減ることについて心理的なダメージも大きそう。

横山:確かにね。でも、老後に運用するといっても、別に新規で積み立て続けるという選択肢だけではないよ

藤田:あ、そうか。それまでに積み立てた金額を引き続き運用するだけで、現役時代のように毎月追加投資しなくてもいいのか。

横山:そうそう。余裕があれば、現役時代と同じように追加投資したり、あるいは金額を減らしたりして家計や資産計画に合った運用を続ければいい。

藤田:運用の選択肢も人それぞれってことですね。

横山:その通り。無理のない範囲で続けてみよう。

「健康寿命」とは……WHO(世界保健機関)が新たに提唱した指標。「寝たきり」「認知症」といった介護を要する期間を除いた、健康に過ごすことができる寿命のこと。

「資産寿命」とは……保有している資産を老後に取り崩していった場合に何年持つかを示す期間。平均寿命が伸びるにつれ、健康寿命とともに関心が高まっている。

保有資産の売却は複数回に分けよう

もし投資信託を売却するとき、相場が下落していたら?そんな悩みの対策として覚えておきたいのが、保有資産を複数回に分けて売却することです。

藤田:ところで、これまでコツコツ積み上げてきた投資信託の資産ですが、いざ売却するときに必ず値上がりしているとは限らないですよね?

横山:うーん、購入するタイミングを分けていれば、投資元本を下回る成績となっていることは考えにくいね。ただ、過去最高の基準価額となっているかというと、それはわからない。

藤田:じゃあ、売却するタイミングを日頃から狙っておかないといけないってことですか?

横山:いや、そんなことはしなくていい。むしろしないほうがいい

藤田:じゃあ、投資信託はいつ売ればいいんですか?

横山:お金は必要なときのために使うものなので、旅行や子どもの学費、結婚祝いなどライフイベントで必要が生じたら売却すればいいと思うよ。あとは、売却するタイミングを複数回に分けることかな。

藤田:あ、購入時と同じように?

横山:そう。購入タイミングを分けることで資産は安定しやすいように、売却のタイミングも分けることで売却価格も安定するよ。タイミングを狙わず、定期的に淡々と定額、または500万円のうち2%とか、資産全体に対する一定の割合(定率)で売却することも考えてみるといいよ。

藤田:淡々と、がコツなんですね!

「ライフイベント」とは……人生における大きなイベントのことで、「就職」「結婚」「出産」などを指す。ライフイベントには出費がつきもの。事前にしっかりと準備しておきたい。

「残口数」とは……資産を売却したあとの残りの口数。資産寿命を安定させるためには計画的な取り崩しが必要。

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<著者プロフィール>

横山 光昭
株式会社マイエフピー代表。お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、家計の確実な再生をめざし、個別の相談・指導に高い評価を得ている。これまでの家計再生件数は21,000件を突破。書籍・雑誌など各種メディアへの執筆・講演も多数。著書は、シリーズ累計90万部超の最新作『貯金感覚でできる3000円投資生活デラックス』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、計154冊、累計352万部となる。

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