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投資家がFRBに好意を持ち、そして恐れる理由

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投資家はFRBの金融緩和政策を歓迎する一方で、今後の政策変更を警戒

〔要旨〕

FRBを警戒する投資家たち:インフレ率が実際に上昇した場合のFRBの行動への懸念から、株式市場の変動が続く

ただし、投資家はFRBの緩和政策には好意的:株式投資家はFRBを警戒するものの、緩和的な金融政策については好意的

投資家にうまく伝わらないFRBのメッセージ
FRBは、当面、金融緩和政策を維持し、一時的と見なすインフレ率の上昇は静観するとの方針を示してきたにもかかわらず、投資家はFRBの次なる行動を警戒

FRBの実際の行動を見定める状況が継続
長期の時間軸を持つ投資家は、株式市場の下落を戦略的な株式購入の機会として捉える姿勢で臨むべきだろう

今後の注目点
①欧州での新型コロナウイルスの感染状況、②中国経済の動向、③米ヘッジファンドの保有株売却を受けた株式市場の動揺、④3月の米雇用統計—に注目

FRBの金融緩和政策を好感し、投資家はFRBと結びつきを強めてきた

現在の投資家と米連邦準備理事会(FRB)の関係を端的に表すとすれば、「複雑」という言葉が適当でしょう。最近、インフレへの懸念、すなわち、インフレ率が上昇した場合にFRBがとりうる行動への懸念から、株式市場は上下を繰り返しており、市場のリーダーシップ(けん引役)も変化を見せています。ただし、株式投資家はFRBの動向を警戒すると同時に、FRBが過去に行ってきた金融緩和政策については好意的に受け止めてきました。振り返れば、2009年3月からの株式市場の急回復は、FRBの超緩和的な金融政策、特に量的緩和政策によるものでした。そして2020年3月からの株式市場の回復局面でも、FRBの金融緩和政策が大きな支援材料となっており、投資家はFRBとその結びつきを強めてきたと言えます(ただし、それは依存とも言えるかもしれません)。

投資家にうまく伝わらないFRBのメッセージ

FRBは、当面、金融緩和政策を維持し、一時的と見なすインフレ率の上昇は静観するとの方針を示してきたにもかかわらず、投資家はFRBの次なる行動を警戒

現状、FRBが、投資家の心配事を意識していることは、好ましいこと言えるでしょう。パウエルFRB議長は、株式投資家が不安を抱くことを望んでいません。議長はことあるごとに、FRBは当面、金融緩和政策を維持し、インフレ率の上昇が見られたとしても、それを一時的なものとみなすとして、投資家を安心させようとしています。先週にも、パウエル議長は議会証言で、足元の長期債利回りの上昇は景気回復期待の現れであるとの見方を示しました。「利回りの上昇は、ワクチン接種や成長期待に関するニュースに反応したようだ 1 」とし、長期金利の上昇は秩序あるプロセスであり、FRBは秩序のない時にのみ行動を起こすと強調しました。

また、パウエル議長は、直近の財政刺激策、サプライチェーンのボトルネック(制約)、または経済再開により年後半に期待される消費者需要の急増により、長期的な物価トレンドが変化するとは考えていないとの従来の見方を繰り返しました。そして、物価への上昇圧力は存在するものの、それは一時的なものと考えていると述べました。パウエル議長は、「四半世紀にわたって世界中で見られた物価トレンドは本質的に変化していないと考える。足元、需要不足と非常に低いインフレ水準が続いているが、この傾向はすぐには解消されないだろう。」との見通しを強調しました 1 。しかし、その発言があった日の株式市場の反応を見ると、投資家はパウエル議長の発言を信じ切れていないようです。投資家は、実際にインフレ率が上昇すれば、FRBが金融引き締めに動くことを依然として警戒しています。

パウエル議長の長期的な時間軸での利上げに関するコメントに、市場関係者は動揺

市場参加者は、FRBが起こしうる最悪の決定を警戒しているようです。つまり、パウエル議長の金融緩和の継続を示唆する発言に対する市場関係者の反応は薄く、反対に、金融引き締め的な発言には鋭い反応を示しています。先週の木曜日、パウエル議長は米公共ラジオNPRのインタビューで、議会証言での発言を繰り返して市場を落ち着かせようとし、また、2021年の米国経済への楽観的な見通しも示しました。ただし、同時に、「われわれの目標に向かってさらに大きく前進すれば、徐々に米国債や住宅ローン担保証券(MBS)の購入額を縮小していくだろう 2 。」とし、長期的な時間軸での利上げについて、時間をかけて非常に漸進的かつ高い透明性をもって実施するだろうとも述べました。株式投資家は、この後者の発言に大きく動揺し、ナスダック総合指数、S&P500種指数、ダウ工業株30種平均はすべて一時的に急落したのです。

FRBの実際の行動を見定める状況が継続

長期の時間軸を持つ投資家は、株式市場の下落を戦略的な株式購入の機会として捉える姿勢で臨むべきだろう

私の投資家の方々への最良のアドバイスは、自身の長期的な投資目標は、FRBや中央銀行の動向に過度に振り回されてはならない、というものです。FRBはパウエル議長の公約を尊重すると考えますが、現状、多くの市場参加者はそれについて明らかに懐疑的です。実際にインフレが急上昇し、FRBがそれを本当に静観する姿を見るまで、市場が同議長の発言を信じることは難しいのでしょう。FRBが予防的な金融引き締めを本当に放棄したかどうかは、実際にその環境が訪れるまで確信されないということです。

このような非常に多くの人々がFRBの動向に振り回されている環境下では、投資家は「FRBの発言」を受けた株価下落を利用する、すなわち、長期の時間軸を持ち、株価の下落を戦略的な投資機会として捉える姿勢で臨むべきでしょう。そして、市場が無秩序に下落した場合には、パウエル議長は何らかの行動を起こすと思われます。

実際、FRBの行動だけが投資家の悩みの種ではないはずです。パウエル議長や他の要人からの発言を聞いてパニックを起こすのではなく、投資家はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と長期的な投資目標に集中することに、より時間を費やすべきでしょう。

今後の注目点

①欧州での新型コロナウイルスの感染状況、②中国経済の動向、③米ヘッジファンドの保有株売却を受けた株式市場の動揺、④3月の米雇用統計—に注目

今後の数週間については、まず、欧州での新型コロナウイルスの感染状況を注視していきます。欧州では、新型ウイルスの感染が再び深刻化しており、非常に厳しい状況、つまり、米国が数カ月前に直面した第3波と似た事態に陥る恐れがあります。残念ながら、欧州ではワクチンの普及が進んでおらず、感染力がより高い変異ウイルスの感染が急速に拡大しています。政府当局者は医療がひっ迫していると警告していることから、都市封鎖(ロックダウン)が延長され、より厳しい措置がとられる可能性があります。ワクチンの供給が遅れている中、それは欧州の景気回復をさらに遅らせることになります。今の欧州では、新型ウイルスの感染拡大を抑えられるかが大きな課題です。

政府機関および民間の製造業と非製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表される中国経済にも注目します。2021年の中国の景気回復はこれまでのところ力強いものですが、ネガティブなサプライズがないかを確認したい考えです。

ヘッジファンドのアルケゴス・キャピタル・マネジメントが保有株を処分したことによる株式市場の急落にも注視しています。ただし、これは年初に起きたGameStopなどの個人投資家が生み出したボラティリティと同じ性質のものと言えるでしょう。短期的に一部の銘柄の株価が大きく変動する可能性はありますが、これが市場に広く影響を及ぼすことはないとの考えです。

そして最後に、4月2日発表の米雇用統計に注目しています。3月の非農業部門雇用者数は非常に強く、市場予想を上回ると予想していますが、これが10年国債利回りの上昇とインフレの懸念、そして株式市場の下落を引き起こす可能性があり、投資家はFRBの動向を再び警戒するかもしれません。

1.出所:The Wall Street Journal、“Powell Says Rise in Long-Term Bond Yields Reflects Economic Optimism”、2021年3月24日。
2.出所:NPRインタビュー内容、2021年3月25日。

クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト

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