老後資金はいくら必要?夫婦と単身に分けて徹底シミュレーション!

老後は、最低限の生活を送るための蓄えだけでなく、医療費・介護費・葬儀費などについても頭に入れておかなければなりません。しかし現役を引退した後の収入は、年金をはじめとした社会保障給付がメインとなり、収入には限りがあります。それではどのくらいあれば老後資金として安心できるのか、夫婦と単身に分けてシミュレーションします。

老後の生活にはいくらかかる?

総務省の「2019年家計調査報告」を基に、夫婦世帯と単身世帯における、老後の生活に必要な金額を紹介します。

夫婦の場合

夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯における平均支出は27万929円です。主な内訳は以下のようになっています。

食費6万6,458円
住居費1万3,625円
水道光熱費1万9,983円
家事・家事用品費1万100円
被服費6万65円
保険・医療費1万5,759円
交通・通信費2万8,328円
教育・教育娯楽費2万4,804円
その他(交際費・仕送りなど)5万4,806円
非消費支出(税金・社会保険料など)3万982円

単身の場合

65歳以上の単身無職世帯における平均支出は15万533円です。主な内訳は以下のようになっています。

食費3万5,477円
住居費1万3,110円
水道光熱費1万2,973円
家事・家事用品費5,573円
被服費3,608円
保険・医療費8,469円
交通・通信費1万2,672円
教育・教育娯楽費1万6,155円
その他(交際費・仕送りなど)3万586円
非消費支出(税金・社会保険料など)3万5,477円

老後にもらえるお金はどのくらい?

総務省の「2019年家計調査報告」では、リタイア後の平均収入も分かります。夫婦世帯と単身世帯の平均支出と内訳は以下の通りです。

夫婦の場合

夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯における平均収入は22万395円です。内訳は以下のようになっています。

社会保障給付21万6,910
その他3,485円

単身の場合

65歳以上の単身無職世帯における平均支出は12万1,759円です。内訳は以下のようになっています。

社会保障給付11万8,274円
その他3,485円

結局老後資金はいくら必要?

2019年の日本人の平均寿命は、女性が87.45歳、男性が81.41歳です。以下の収支シミュレーションでは、男女の中間をとって老後を84歳までとし、65歳からの19年間で試算します。

また、老後の健康不安に対し、医療と介護にかかる費用を考慮することも重要です。医療費と介護費に関しては、「高額医療・高額介護合算療養費制度」を利用できます。年齢や世帯の所得により、自己負担額が細かく設定されています。例えば、住民税課税所得が380万円以上690万円未満の被保険者がいる世帯なら、自己負担限度額は67万円です。

厚生労働省の「平成29年度 生涯医療費」によると、生涯にかかる医療費のうち、約半分は70歳以降に費やしています。したがって、当シミュレーションでは、70歳から84歳までにかかる毎年の医療費と介護費を、高額医療・高額介護合算療養費制度適用後の67万円に設定しました。

これらの数値や、前述した収支に関する数値を使い、夫婦・単身のそれぞれで必要な老後資金を、以下のようにシミュレーションしています。

夫婦の場合

夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では、平均支出が27万929円、平均収入が22万395円であるため、ひと月あたり5万534円不足することになります。84歳までの19年間では、5万534円×12ヵ月×19年=1,152万1,752円足りません。

また、医療費と介護費の自己負担額が67万円だとすると、70歳から84歳までにかかる医療費と介護費は、67万円×14年=938万円です。したがって、老後に必要な資金は、1,152万1,752円+938万円=2,090万1,752円と算出できます。

なお、高額医療・高額介護合算療養費制度は、世帯単位で適用されるため、夫婦であっても数値を倍にする必要はありません。

単身の場合

65歳以上の単身無職世帯では、平均支出が15万533円、平均収入が12万1,759円であるため、ひと月あたり2万8,774円不足することになります。84歳までの19年間では、2万8,774円×12ヵ月×19年=656万472円足りません。

また、医療費と介護費に関しては、夫婦の場合と同様に938万円です。したがって、老後に必要な資金は、656万472円+938万円=1594万472円と算出できます。

老後資金をシミュレーションすれば増やすべき金額が分かる

今回のシミュレーションでは、近年の平均データを基に計算しています。自分に当てはめてみることで、老後資金がどれくらい必要なのか、目安がわかるでしょう。

退職金や私的な積み立て年金など、公的年金以外の収入が見込めない場合は、今のうちから老後資金を準備するための備えが必要です。iDeCoや積み立てNISAを若い頃から始めれば、運用期間を長くできる分お得だといえるでしょう。

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