今回は、老後不安を解消するための具体的な方法を紹介します。まず不安には、「解消できる不安」と、「解消できない不安」の二つに分けられるということを説明します。
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解消できない不安は、とてもわかりやすいです。例えば、あなたの知人が「ある日突然、自分が透明人間になってしまうかもしれない」という不安を抱えていたとしましょう。この不安を解消することは可能でしょうか? おそらく不可能ですよね。
少し極端な例を利用しましたが、解消できない不安というものは、自分が行動することによって解決できないものです。
一方で、解消できる不安は、自分が行動をすることによって解決できるものです。老後の不安は具体的に考えることによって、解消できる部分が多いため、今日はその不安要素を減らすための老後資金の考え方についてお話をしていきます。
「老後の資金が不足するかもしれない」という不安を持っているのであれば、単純に老後に必要なお金の金額を算出することをお薦めします。ただ漠然と「老後のお金が足りないかもしれない」と思っている人より、具体的に「老後にいくらあれば大丈夫」と思っている人の方が、老後不安が少ないというのは想像できると思います。
では、どのように試算すればいいかというと、
①老後の収入である年金の金額を試算すること
②老後の生活費を試算すること
です。
年金額は、公的年金シミュレーターを活用すると簡単に計算することができます。
ご自身の働き方を入力するだけで年金の受給見込額を試算することができます。例えば、22歳まで大学生、22歳から65歳まで会社員(平均年収400万円)として働く場合で試算すると、年金見込額は180万円/年となりました。
このように、ほんの数分で自分の年金見込額を試算できるので、まずは収入部分を確認してみましょう。
次に、老後の生活費について考えてみましょう。生活費は自分ごとで考えることが重要ですが、目安としては家計調査の65歳以上無職世帯の統計データを利用するといいでしょう。
統計データの消費支出額は、2人世帯の場合25.7万円であり、単身世帯は14.9万円となっています。この数値をそのまま活用するよりは、ご自身のライフスタイルと比較して考えると良いと思います。
例えば、この統計データでは、夫婦2人で食費を7.6万円ほど使っています。しかし、あなたの家庭の食費がそれほど高くなければ、マイナスの補正をするべきです。実際我が家の夫婦2人の食費は6万円以下ですので、この統計データより食費は抑えられると考えています。
他には住居費も、老後には住宅ローンの返済が終わる人と、賃貸に住んでいる人では考え方も異なるため、あくまでも目安と考え、自分ごとで老後に必要な生活費を考えてみましょう。
老後の収入と支出を考えることができたら、あとは差し引きして毎月の赤字額を計算し、必要な年数を考えると生活費で不足する合計金額を計算できます。仮に毎月3万円が不足し、30年間分を見積もると、合計1,080万円となります。
さらに、生活費以外で必要になる医療費やリフォーム費用、介護費用などを考え、別途500〜1,000万円程度が必要と思っておくと十分だと思います。
ここまでできたら、次は今すでに貯蓄や投資で準備している金額で過不足がないかをチェックしてください。
計算した結果、1,000万円ほど不足するとしましょう。この場合、残りの運用できる期間を考えるとおおよそ毎月の追加で準備が必要な金額を把握できます。
仮に30年間5%で運用できる場合だと毎月のつみたて必要額は1.2万円ほどです。もし、預金(0.2%)だと毎月の必要な金額は約2.7万円と倍以上になるので、できる限り運用で準備することをお薦めします。
このように試算し、追加の必要額を見て「頑張れば、老後の必要な資金準備ができる!」と思える人は、お金が足りないかもしれないという漠然とした老後の不安は解消できるはずです。
それでも不安が残る場合は、もう少し多めに資金を用意することで安心できるのか、それともお金の量では解決できないのかを考えてみましょう。
お金の量では解決できない、つまり行動で解決できないのであれば、冒頭でお話した通り、解消できない不安の部分なのかもしれません。
作家のロバート・グリーンは「確実を望むのは、心の最大の病だ」と言いました。
私達は確実や安心を好みますが、未来はどうなるかわからない以上、確実を求めるものではありません。そして、不確実なものに確実を求めると、いつまでたっても不安は消えないので、その不安は手放すべきでしょう。
不安のない人生はありませんが、行動で解決できるものも多く、老後不安の原因である資金不足については具体的に計算することで解決できる部分が多いので、ぜひ一度計算してみてはいかがでしょうか。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
※本稿は著者の見解に基づくものであり、Wealth Roadの運営会社の見解を示すものではありません。