投資信託には、指数に連動することを目的とするインデックス・ファンドのほかに、市場平均を超えるリターンを目指して運用されるアクティブ・ファンドがあります。
この2つのファンドの売り時について今回は考えていきたいと思いますが、売り時に違いはあるのでしょうか?
巷で言われているアクティブ・ファンドは、信託報酬が高いから保有コストが高くつき、長い間持っているとインデックス・ファンドよりコストで損をする、という話を解説している人を見たことがあります。
確かに、長く持てば持つほどアクティブ・ファンドの方が期間中のコストはかかるかもしれませんが、インデックス・ファンドと比べて損をするとは言えません。
なぜなら、最終的に運用実績、パフォーマンスがすべてで、そこからさらにコストがかかってくることはないからです。
つまり、アクティブ・ファンドとインデックス・ファンドどちらが得をするかは、運用結果次第となります。
つぎに、価格変動の大きさを考えるとアクティブ・ファンドのほうが相場局面によっては大きく動くので、先にアクティブ・ファンドを売った方が良いという話を聞いたことがありますが、これもファンドや相場局面によって変わってきます。
インデックス・ファンドは市場全体の動きを表すので、全体が下がった場合に、アクティブ・ファンドであれば、逆に上がるような銘柄を持っていることもあり、下落局面であればインデックス・ファンドに対してアクティブ・ファンドが負けるわけではありません。
こうしてみると、アクティブ・ファンドないしインデックス・ファンドだからこその売り時があるわけではなく、ファンドを持った場合にどういう売り時を考えるべきなのか、ということが重要です。
目次
ファンドの売り時5選
売り時1.目標利益が実現できる時
購入する時点で目標利益額を設定しておき、それを達成した時が売却のタイミングです。上昇局面では「まだ上昇するかもしれないから売却しないでおこう」などと踏ん切りがつかず、売り時を逃して逆に損失を被ってしまうこともあります。最初から目標金額や節目となる金額を決めておけば、基準価額の動きに心惑わされずに、機械的に利益確定をしていくことが可能となるでしょう。
売り時2.運用予定期間が到来した時
住宅の購入や子供の進学、さらに老後の生活資金など、まとまった資金が必要になる時期に備えて運用する場合は、そのタイミングまでが運用期間となります。運用期間が到来すれば、ファンドを売却して現金化することになります。
ただし、売却時に基準価額が大きく下落している場合も考えられますが、その後の上昇や回復が見込まれるのであれば、まずは必要となる金額分のみ売却するという方法もあります。
売り時3.より魅力的な投資先がある時
相場によっては、株式や債券、不動産といったほかの投資対象の方がパフォーマンスが良好な時期が訪れるかもしれません。よりパフォーマンスがよい新たな投資対象に乗り換えるためには投資資金が必要です。投資資金を準備するために、保有しているファンドの売却を検討しましょう。
売り時4.ファンドの成長性が期待できなくなった時
購入した当初は良好なパフォーマンスであっても、時間経過とともに経済環境や社会情勢が変化すると、将来のパフォーマンスが期待できなくなることがあります。
たとえば、急激に円安が進行して輸入物価が上昇し、海外の製品・食料を輸入している小売業は値上げできない経済環境だった場合、利益が圧迫され、株価にまで影響を与えるかもしれません。このような銘柄が多く含まれているファンドの場合は、将来のパフォーマンスを悪化させる可能性があります。該当ファンドの成長性が期待できなくなったら、値動きに影響を与える情報やデータを収集した上で売却を検討してみましょう。
【売り時5】ポートフォリオをリバランスする時
複数の金融商品に分散して投資する場合、自身の投資目的やリスク許容度に適した資産配分(ポートフォリオ)にすることが大切です。時間経過とともに各資産の価格が変動し、当初定めた資産配分比率から乖離していくことがあります。資産配分を定期的に調整することで、当初のポートフォリオに戻す作業をリバランスといいます。ポートフォリオ内のファンドの基準価額が他の資産と比べて上昇していくと、当初予定していた配分比率を上回ることになりますので、一部を売却することでリバランスが行われることになります。
まとめ
購入タイミングと同様に、売却タイミングも重要です。
投資家各々の置かれている状況や投資の目的によって最適な売り時は異なるので、買い時よりも判断が難しいといえるでしょう。いざ売却しなければならなくなった時に初めて売却するタイミングを考えるのではなく、最初に保有する時点で「どういう状況になったら売却するか」を考えておくことで、ファンドの売り時に悩むことは少なくなるかもしれません。
※本記事はファンドに関わる基礎知識を解説することを目的としており、ファンドへの投資を推奨するものではありません。