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50代からの投資で絶対にしてはいけない2つのこと

50代からの投資で絶対にしてはいけない2つのこと

近年、新NISAなどの制度拡充により、投資が身近なものとなり、今まで投資をしてこなかった50代の方も投資に興味を持たれている人も増えてきていると思います。しかし、50代の方が投資を始める際に注意しておくことが2つあります。

それは、「ネット上にある若い人向けの情報を鵜呑みにしないこと」と「いきなり大きい金額を投資しないこと」です。

若い人向けの情報は50代には当てはまらない

最近だとYouTubeやInstagramなどのSNSで投資の勉強をする人が増えています。しかし、僕が見ていて感じることは「若い人向けの、増やすことだけにフォーカスした情報が多い」ということです。

50代の方の場合は、増やすだけではなく将来的に使うことを視野に入れておく必要があるため、どちらかと言えば使うことを軸にして、どうやって増やすか? を考える必要があります。

この点について具体的に考えてみましょう。

投資の情報で多いのは、全世界株式(オルカン)やS&P500に連動するインデックスファンドを買うというアドバイスです。しかし、現実的に考えて株式のみのポートフォリオはハイリスクハイリターンです。

例えば、リーマン・ショックでS&P500が50%以上も下落した事実があるように、大暴落する可能性があります。もし、あなたが2,000万円を投資している場合、1年間で1,000万円になるということです。この時、若い人は働く期間が長く、老後まで時間があるので、売らず耐え忍ぶことで暴落を乗り切ることができるかもしれません。

しかし、58歳の人だとどうでしょうか? リタイアを60歳と考えている場合、同じように考えることができるでしょうか? おそらく58歳の人の方が心理的な負担が大きいと思います。

もしかすると、60歳で辞められると思っていた仕事を続けないといけないかもしれない。自分は働く時間がないから、市場の回復を待っていられない。ある程度下がっているけど、これ以上損をする前に売った方が良いかもしれない、などと考えてしまうかもしれません。

つまり、若い人向けの投資アドバイスには「長く働くことができる」という語られない背景があるのです。しかし、50代はそうではないため、債券などのローリスクローリターンの資産をポートフォリオに入れた分散投資をするのがセオリーです。

一般的に株式の比率は「100 − 自分の年齢」と言われます。また現在アメリカの確定拠出年金(401k)のデフォルト商品に設定されていることが多いターゲットイヤーファンドなどは自動的にリタイア時期に向けて債券比率を高める設計がされています。

つまり、リタイアが近い人ほど株式の比率を下げるのが一般的です。50代の人がネットで情報収集するときに気をつけるべきことは、自分向けの情報かどうかをチェックすることです。

債券のリターンに魅力を感じられない?

分散投資でよく言われる組み合わせは株式と債券の組み合わせです。そして、ここ15年ほどは株式のリターンが高く、債券のリターンは低いため、債券に魅力が感じられないのも事実です。

しかし、債券で大きく稼ぐと思わないでよいと考えています。僕はよくポートフォリオをサッカーチームに例えます。株式はフォワードです。債券はディフェンダーです。それぞれの役割があるわけです。あなたが監督ならディフェンダーに攻撃の役割を強く求めるでしょうか?

多分しないと思います。なぜなら、チーム全体で勝てば良いからです。つまり、債券を入れることでポートフォリオ全体のリターンは低下するわけですが、それがチームの勝率を高める事に繋がると考えればよいのです。

そのため、債券部分は国内債券のファンドや個人向け国債の変動10年などを利用すると良いと思います。為替リスクを取ってでもリターンを高めたいなら、先進国債券などでも良いと思います。

圧倒的に勝つチーム作りと負けないチーム作りは違います。50代の人が意識したいことは、負けにくく試合に勝てるチームを作ることです。

50代から投資する人は、いきなり大きい金額を投資しないこと

次に注意したいことは、投資の経験がない50代の方がこれまで貯めてきた貯金をいきなり投資に回さないことです。これもまたネット上でよく聞く「インフレ対策をしないとお金の価値が下がるから、一日でも早く投資をした方がいい」という主張ですが、注意が必要です。

インフレ対策として投資をすることは非常に重要ですが、とはいえ投資には慣れが必要です。投資の怖さは金額に比例する部分があります。例えば、1万円の投資額が50%下落することと、1,000万円が50%下落することは同じではないはずです。

そして、50代の方の場合、投資経験はないけれども、財産はそれなりの保有している方が少なくありません。インフレでお金の価値が減っていくから投資すべきと言われると、早く保有資産の多くを投資しないといけないと思うかもしれません。

しかし、焦って多くの資産を投資して下落相場で怖くなって売却してしまえば、インフレで価値が目減りする以上に投資で損失を出す可能性があります。そのため50代の方でも、まずは焦らずゆっくり毎月の収入から一定金額を投資することから始めることをお薦めします。

ある程度投資に慣れてきたら保有している財産を3年前後を目安に少しずつ預金から投資資金へ移動させていくとよいでしょう。例えば、1,500万円を保有しているのであれば、まず生活防衛資金と車の買い換えなどの大きい支出が予想されるお金は現金で残します。

その結果投資に回せる資金が900万円だったとします。これを3年で分割投資するなら毎年300万円ずつ投資していきます。金額が大きいと思う場合は、5年で分割するなど調整をするとよいですね。

大切なことは、お金に対する価値観は人それぞれであり、1万円がどれくらい大切かも人によって違います。だからこそ、投資する際も自分事で考える必要があるので、50代の方で早く投資をしないといけないと焦っている方もおられると思いますが、焦らずゆっくり投資をしていくことが大切です。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
※本稿は著者の見解に基づくものであり、Wealth Roadの運営会社の見解を示すものではありません。


著者:井上ヨウスケ
役者から転身した異色のファイナンシャルプランナー。演劇で培った「伝える力」を活かし、「誰よりもわかりやすく」をモットーにお金の知識を発信。27歳でFP資格を取得し、独立系FPとして講演や相談業務を展開。動画講座やYouTubeでも活動し、「どこでも働ける」を実現。投資や保険の知識に加え、価値観を軸にした柔軟なお金の使い方も提案する。現在は高知県在住。

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