老後生活が始まってからでも、資産運用をすると理想の暮らしを実現できる可能性があります。定年後の資産運用では、どのような金融商品が選ばれているのでしょうか。
本記事では、70代の金融資産別保有率や主な金融商品の特徴についてご紹介します。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(※)」によると、70代が保有する金融資産で最も多いのは預貯金です。以下では単身世帯と二人以上世帯に分けて、金融資産別保有率のランキングをまとめました。
(※)2023年6月~7月に行われた令和5年版の調査。単身世帯は全国2,500世帯、二人以上世帯は全国5,000世帯が調査対象。
<単身世帯のランキング>
順位 | 70代の保有率 |
---|---|
1位 | 預貯金(98.1%) |
2位 | 株式(33.5%) |
3位 | 積立型保険商品(30.4%) |
4位 | 投資信託(24.7%) |
5位 | 個人年金保険(13.4%) |
(参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和5年調査結果|知るぽると」)
<二人以上世帯のランキング>
順位 | 70代の保有率 |
---|---|
1位 | 預貯金(98.0%) |
2位 | 株式(39.1%) |
3位 | 積立型保険商品(38.1%) |
4位 | 投資信託(26.8%) |
5位 | 個人年金保険(17.5%) |
(参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和5年調査結果|知るぽると」)
ここからは各金融資産の概要や特徴をご紹介します。
給与の振り込みなどに使われる普通口座でも、預入金額に応じた利息を受けとれます。ただし、普通口座は金利が低い傾向にあるため、資産運用を目的に預貯金を始める場合は、定期預金や積立定期預金が選択肢になるでしょう。
以下では金融広報中央委員会の調査結果を参考に、預貯金の平均額をまとめました(※カッコ内は定期性預貯金の平均額)。
・60代単身世帯:637万円(310万円)
・60代二人以上世帯:885万円(438万円)
・70代単身世帯:676万円(378万円)
・70代二人以上世帯:774万円(446万円)
全体の平均額で見ると、預貯金のうち半分程度は定期性預貯金が占めています。
株式は売買による譲渡益のほか、配当金や株主優待も期待できる金融商品です。株価の下落による損失リスクはありますが、銘柄によっては一定数の株式を保有するだけでリターンを定期的に受けとれます。
ただし、配当金や株主優待がないケースもあるため、銘柄選定では事前の調査が欠かせません。譲渡益に期待する場合も、株価の推移や景気動向などを分析する必要があります。
積立型保険商品とは、貯蓄性がある損害保険や生命保険などを指します。これらの保険商品では何事もなく満期・解約を迎えたときに、満期返戻金または解約返戻金が支払われます。
万が一に備えながら貯蓄もできるため、病気や災害といった生活面でのリスクが不安な人に向いています。毎月の保険料や補償内容などを比較した上で、ご自身に合った保険商品を探してみましょう。
投資信託とは、投資家から集めた資金をまとめて、運用のプロが投資先を選ぶ金融商品です。購入したファンドの基準価額が上がると、売却したときに口数に応じた譲渡益を受けとれます。
また、ファンドによっては保有口数に応じた分配金が支払われるので、長期運用で定期的なリターンを受けとる手法もあります。ただし、分配金には「普通分配金」と「特別分配金」の2種類があり、このうち特別分配金は元本の払い戻しにあたるため、投資家の利益にはなりません。
個人年金保険は、保険料を一定の年齢まで払いこむことで、将来的に年金または一時金を受けとれる金融商品です。支払った保険料は生命保険料控除の対象であり、2012年以降に契約したものについては、最大で年間4万円の控除を受けられます。
個人年金保険には様々な種類があり、タイプによって毎月の保険料や受給開始年齢、受給方法などが異なります。契約時の予定利率で運用される定額個人年金保険のほか、外貨で運用されるもの、投資信託を運用できるものなどがあるので、ご自身の目的に合ったタイプを選びましょう。
預貯金を除くと、定年後の資産運用では株式や投資信託などが多く選ばれています。長期で運用する場合は、個人年金保険や積立型保険商品も選択肢になるでしょう。
長い老後生活に不安を感じている人は、これらの金融商品で資産形成することを検討してみてください。
※税務の詳細はお近くの税理士や公認会計士にご相談ください。
※本記事は資産運用に関わる基礎知識を解説することを目的としており、資産運用を推奨するものではありません。