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データが示す米国のディスインフレの継続的進展
ユーロ圏と英国でも大幅なディスインフレが進行
バンピーランディングが予想される
注目の日程
今週は、米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)と、三つの中央銀行の会合が開催される予定です。舞台裏では、これらの中央銀行の担当者たちは、互いにハイタッチし、パンチを飲み、ケーキを食べていることでしょう。というのも彼らは、各国経済を深刻な不況に陥れることなく、インフレを抑えることができる(まさに「ケーキを残しておき、なおかつ食べる」ことができる)との結論に達したからです(彼らは正し「かった」のです。多くの人が望んだほど短くはなかったにせよ、インフレは一時的なものでした)。 しかしマイクの前では、中央銀行当局は、利上げについてよりタカ派的な表情を保つだろうと私は予想しています。
ここ数年に渡り、欧米先進国の中央銀行の先陣を切ってきたカナダ銀行(BOC)に先週、まさにそのような動きが見られました。BOCは先週の会合で、金利の据え置きを決定しました(利上げは7月以来行われていません)。BOCは最近のインフレの進展に鑑み、声明文から「…物価安定に向けた進展は鈍く、インフレリスクは高まっている」との文言を削除しましたが、公の場ではタカ派的なトーンを維持し、「理事会は依然としてインフレ見通しに対するリスクを懸念しており、必要であれば政策金利を更に引き上げる用意がある」と警告しました。また「コアインフレの更なる持続的な下落」を望むとも付け加えました1。
私は、今週FRB、ECB、そしてBOEもこのようなやり方をすると予想しています。政策に変更はあないものの、ディスインフレのさらなる進展が見られなければ再び利上げを行う用意がある、とタカ派的な警告をふんだんに発するのです。彼らは金融環境の緩和を抑制するために、懸命に言葉を操ろうと努めています。
結論: 私は、利上げはこれ以上行われず、中央銀行はむしろ、利下げをいつ開始するかについて検討していくだろうと考えています。
なぜ私がそんなに自信を持って言えるのか、その鍵はデータにあります。特に米国では、経済成長は減速しているものの依然として底堅く、ディスインフレの継続的な進展を示しています。先週のデータでさえ、FRBが2024年春に利下げを開始するのを止めるような内容ではありませんでした:
ユーロ圏及び英国でも、大幅なディスインフレの進行という似たようなストーリーが展開しています。先週、タカ派の金融政策で知られるシュナーベルECB専務理事でさえ、「事実が変われば、私の考え方も変わる……直近のインフレ指標は、更なる利上げの可能性をむしろ低くしている……最近のインフレデータは、遅くとも2025年までに(インフレ率を)2%まで戻せるだろうとの確信を私に与えている」と述べたほどです4。
英国とユーロ圏の経済は、積極的な引き締めサイクルを経てきたにもかかわらず、持ちこたえています。先週発表されたS&Pグローバル/ハンブルグ商業銀行による11月のユーロ圏総合PMIは、4カ月ぶりの高水準となりましたが、依然として十分縮小領域にあります5 。特に、大きなプレッシャーにさらされているドイツの数値には勇気づけられました。ドイツの11月サービス業PMIは、10月の数値を大幅に上回り、49.6と拡大領域に近づく前向きなサプライズとなりました。英国のデータにも前向きなサプライズがあり、英国のサービス業PMIは50.9と、10月の49.5.を上回りました5。
とはいえ、2024年上半期には、最近の積極的な利上げのダメージが出てくることから、これらの国々の経済は大幅に減速すると予想しています。例えば、米国では破産件数が大幅に増加しています。2023年11月の米連邦破産法第11章に基づく申請件数は、2022年11月から141%の増加となりましたが、これは与信条件の厳格化が大きく関わっていると考えられます6 。しかし私は、ハードランディングではなく、「バンピー(でこぼこした)」ランディングを予想しており、2024年下半期に経済は再び加速していくと期待しています。(詳しくは私たちの「2024年のグローバル市場見通し」をご参照ください)。
しかしポイントは、欧米先進国の中央銀行が利上げを終了し、現在は利下げのタイミングを気にしていると考えられることです。とは言え私は、タカ派的な公の警告的発言に対しても心の準備ができています―たとえ内輪では(ケーキを残しておき、なおかつ食べながら)喜び祝っているとしても。
データレポートの勢いは止まりません。私が注目しているデータは、以下の通りです。12月13日にX(Twitter)で、米連邦公開市場委員会(FOMC)による政策金利の決定に関する私の見解と、パウエルFRB議長の記者会見からの重要なポイントをリアルタイムでお伝えしますので、ぜひご参加ください。
公表日 | 指標等 | 内容 |
---|---|---|
12月12日 | 米国CPI | インフレの動向を示す |
12月13日 | 英国国内総生産 | 地域の経済活動を測定 |
12月12、13日 | ユーロ圏鉱工業生産 | 鉱工業セクターの健全性を示す |
12月12、13日 | 米連邦公開市場委員会 | 金利の道筋に関する 最新の決定を発表 |
12月14日 | 欧州中央銀行決定会合 | 金利の道筋に関する 最新の決定を発表 |
12月14日 | 米国小売売上高 | 消費需要を測定 |
12月14日 | スイス国立銀行決定会合 | 金利の道筋に関する 最新の決定を発表 |
12月14日 | イングランド銀行決定会合 | 金利の道筋に関する 最新の決定を発表 |
12月15日 | 中国小売売上高 | 消費需要を測定 |
12月15日 | 米国鉱工業生産 | 鉱工業セクターの健全性を示す |
12月15日 | 米国S&Pグローバル購買担当者 景気指数(速報値) | 製造業とサービス業の 経済の健全性を示す |
クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
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MC2023-191