20代や30代に比べると、50代の場合は新NISAの運用期間が短くなります。定年退職が目前に迫っているので、将来の老後資金を減らさないことも意識しつつ投資をすることが必要です。実際に50代は、どのような点に注意して投資したらいいのでしょうか。
目次
ここからは、新NISAをきっかけに50代から投資を始める人に向けて、投資の注意点について3つに分けて解説します。
50代が新NISAの利用も含めて投資を始める場合、以下の3つを心がけましょう。
【1】老後も投資を続けることを意識する
【2】増やすことよりも減らさないことも意識する
【3】毎年安定したリターンが期待できる投資を行う
まず【1】は、老後になったら徐々に投資中の資産を取り崩していくことになりますが、資産を少しでも増やせれば、今後の生活の足しになります。そのため、60代70代になっても投資することを前提に新NISAを活用しましょう。
次に【2】は、投資で資産を増やすことばかりに意識が向いてしまい、リスクを考慮しないで投資をしてしまうことを避けることを心がけてください。あらゆる投資にはリスクがつくものなので、たとえローリスクといわれるものでさえ、きちんとリスクを把握しておきましょう。
最後に【3】は、毎年必ずリターンが出るとは限りませんが、できるだけ安定した利益を出せていることが大切です。小さな利益でも毎年あれば、利益を再投資に回すことで投資元本を増やせるので、長期的にリターンを増やせる可能性が高まります。
持っているお金を全額まとめて投資をすると、大きなリターンが期待できる一方で、同じ程度の損失を抱えるリスクもあります。投資先の価格が10%下落しただけでも、以下の金額を失うことになります。
投資金額 | 価格が10%下落時の損失額 |
---|---|
100万円 | 10万円 |
500万円 | 50万円 |
1,000万円 | 100万円 |
2,000万円 | 200万円 |
3,000万円 | 300万円 |
(※手数料や為替差益などは含まないで計算。)
上記の投資金額が生活費や急な出費に対応するための資金を除いた余剰資金であれば問題ありません。また、余剰資金であっても数百万円単位の損失は老後の生活費や精神的にもダメージを与えてしまうため、新NISAで年間360万円を投資できるからといって、投資枠をフルに使うのは避けましょう。
老後を迎えてから必要になるお金は、日々の生活費だけではありません。50代であっても、今後のライフイベントを見据えて現金を残しておく必要があります。
<50代以降のライフイベント>
・マイホームの購入
・自宅のリフォーム
・両親などの介護
・孫の出産祝い など
子どもがいる場合は、上記に加えて高校・大学への進学費用や、結婚をしたときのお祝い金なども必要になることがあります。将来のライフイベントを想定して、投資に回す金額を計算して正確に把握しておきましょう。
ここからは、50代向けに新NISAのポートフォリオ例を、リスクを軸に「高い・中ぐらい・低い」に分類して紹介します。このリスクの分類については今回紹介する3つのポートフォリオ例で比べた場合の一般的な評価であるため、相場や経済状況などによってリスクの程度が変動します。
50代は20代と比べると、大きな損失を出した場合、老後までに毎月の貯金などで補填できない可能性があります。その損失のリスクを抑えるために、全世界の株式に分散投資できる金融商品として、全世界株式に投資できる投資信託が活用できます。
<ポートフォリオ例>
全世界株式に投資している投資信託:100%
合計100%
全世界株式のベンチマークとして使われることが多い指数「MSCI ACWI」は、約50ヵ国の株式で構成されています。ただし、ポートフォリオの中身が特定のアセット(株式など)に集中していると、比較的大きいリターンを期待できるかもしれませんが、同程度のリスクも抱えることも把握しておきましょう。
また、上記のポートフォリオ例はリスクが高めであるため、大きな損失をできるだけ避けたい場合は以下2つのポートフォリオ例を参考にしましょう。
損失のリスクを抑えたい場合は、全世界株式と債券の投資信託を組み合わせるのが一つの選択肢になります。一般的に、債券は株式より相対的にリスクが低いとされるため、リスクを分散させるのに役立ちます。
<ポートフォリオ例>
全世界株式に投資している投資信託:50%
債券を中心に投資している投資信託:50%
合計100%
上記のように組み合わせると、全世界株式に集中投資をした場合と比べてリスクを抑えやすくなります。
バランス型の投資信託とは、株式や債券、不動産などのアセットに分散投資をしているファンドのことです。ファンドによっても異なりますが、一般的にミドルリスク・ミドルリターンといわれる不動産と、ローリスク・ローリターンといわれる債券を組み合わせることで、株式中心のファンドと比べてリスクを抑える効果が期待できます。
<ポートフォリオ例>
バランス型の投資信託:50%(※)
全世界株式に投資している投資信託:50%
合計100%
上記のポートフォリオは例2と比べると債券の比率が高くなり、株式の比率が下がっているため、相対的にリスクを抑えられると考えられます。
(※)株式・不動産・債券を3等分で投資をしているファンドを想定。
50代から新NISAを始める場合、10年程度は余剰資金の全額を運用できたとしても、定年退職後は老後の生活費として徐々に取り崩しながらの運用になります。大きな損失を出すと生活に悪影響を及ぼす可能性があるので、損失のリスクを抑えることが大切です。
そのため、特定の国や資産に集中投資している投資信託よりも、世界中の株式や債券などに分散投資をすることで損失の可能性を抑える効果が期待できます。いきなり数百万円単位から投資を始めると、相場によっては大きな損失を抱えることもあるので、最初は数十万円以下から始めて、うまく利益が出てから投資金額を増やしていくことも検討しましょう。
※本記事は新NISAに関わる基礎知識を解説することを目的としており、新NISAの活用を推奨するものではありません。
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