不動産投資信託と訳される「REIT(リート)」には、さまざまな種類の銘柄があります。その中でも、近年はヘルスケアリートが注目されていることをご存じでしょうか。
ヘルスケアリートとは、ヘルスケア施設(介護施設や医療施設など)への投資割合が50%を超えるREITのことです。
米国ではベビーブーマー世代の加齢に伴ってシニア向け住居や介護サービス付き住居の需要が高まると期待されており、投資対象の一つとしてヘルスケア施設が注目されています。
また、オペレーターとの長期リースを締結することからキャッシュフローが安定していることもヘルスケアリートの特徴の一つとして挙げられます。
金融庁のレポート(※)によると、2015年9月末時点のヘルスケアリートの市場規模は合計961億ドル(約13兆4,540億円)です。最も規模が大きいのは米国で、世界全体の時価総額に対するシェアは90%を超えています。
日本の時価総額の合計は3億ドル(約420億円)で、2015年9月時点で3銘柄のヘルスケアリートが上場しています。
(※)参考:金融庁「海外におけるヘルスケアリートに関する調査研究報告書」
不動産証券化協会の「世界のREIT市場2021」によると、2021年3月時点のヘルスケアリートは米国が圧倒的なシェアを誇っています。国別のシェアは、以下の通りです。
国名 | シェア |
---|---|
米国 | 84% |
英国 | 6% |
ベルギー | 3% |
豪州 | 2% |
カナダ | 2% |
シンガポール | 2% |
ニュージーランド | 1% |
米国以外の国では、シェアが10%を割っているのが現状です。世界のヘルスケアリートの時価総額の合計は15兆円なので、米国は約12.6兆円の規模になっています。
金融庁の「海外におけるヘルスケアリートに関する調査研究報告書」によると、米国でヘルスケアリートが成長できた理由としては、「金融危機後の業界再編を好機として、上位のリートが企業買収を伴う物件取得を活発に行い、急速に大型化した」ことが挙げられます。
介護保険制度や年金制度など、ヘルスケアリートは介護制度の影響を受ける可能性があります。例えば、介護サービスの利用につながる介護保険制度が手厚くなると、介護施設のニーズが高まることでヘルスケアリートがさらに注目されるかもしれません。
※為替レート:1ドル=140円
※本記事はヘルスケアリートに関わる基礎知識を解説することを目的としており、ヘルスケアリートへの投資を推奨するものではありません。