フィットネス市場はすでに1兆円を突破。AIパーソナルトレーナーに見るマーケット拡大の可能性

健康志向が高まり、エクササイズを習慣にする人が増えています。それにともなって、インターネットに接続するウェアラブルデバイスからデータを収集・分析するデジタル・エクササイズ市場が拡大しています。

最新のトレンドは、バーチャルコーチから本格的なパーソナルトレーニングの指導を受けられるAIアプリ。自宅での本格エクササイズも可能なため、新型コロナウイルスの影響下、より大きな注目を集めています。世界市場で1兆円を突破したとも言われるフィットネス市場を牽引するデジタル・エクセサイズツールについて解説します。

フィットネス関連商品市場が1兆円を突破

ひと昔前はスポーツ選手のトレーニング目的で開発されていたデジタル・エクササイズツールですが、近年は一般の人をターゲットとするツール、サービスが続々と登場しています。

ジムのマシーンやデバイスから顧客の運動量や健康に関するデータを収集・保存し、クラウドで管理したり、インストラクターなど専門家がデータを分析し、最適なアドバイスに役立てたりするといった利用方法があります。また、Fitbitなどのウェアラブルデバイスとフィットネスアプリを使い、自分のパフォーマンスを管理する個人利用者も増えているのです。

米国の市場調査企業グローバル・マーケット・インサイツのレポートによると、世界のデジタルデバイスを含むフィットネス関連用品市場は2017年に100億ドル(約1兆980億円)を突破しました。今後も成長は続く模様で、2024年には140億ドル(約1兆5,372億円)規模になると予想されています。

エクササイズにAIを活用するメリット

フィットネス市場の拡大には、エクササイズ人口の増加が欠かせません。この人口増加の障害になっているのが、時間、場所の制約、そして継続させるためのモチベーション維持となります。

このエクササイズ人口増、とりわけ継続者増を考えるとき、パーソナルトレーナーによる個別指導は成果もわかりやすく、モチベーションの維持に役立ちます。自宅やオフィス近くで対応してくれるサービスなら、時間や場所の制約からも解放されます。ただし、料金はジムの一般会員よりはるかに高額の場合が多いです。

このパーソナルトレーニング、自宅にいながら手頃な価格で受けることができるとしたらどうでしょう。始めるにあたっての障害も大幅に少なくなり、継続もしやすくなります。

このニーズに着眼し、自宅でも低コストで本格的なエクササイズができるアプリ開発が加速しています。このアプリ実現のカギとなっているのがAIの導入です。AIがパーソナルトレーナーの役割を果たし、トレーニングメニューやフィットネスマネジメントについて、個別に最適なものを提案してくれるのです。

人間顔負け?優秀過ぎるAIパーソナルトレーナー

ここからは、欧米で人気の商品をいくつかご紹介しましょう。

ユーザー数4,000万人を誇る欧州最大のAIフィットネスアプリ「Freeletics」は、AIがユーザーの目標とフィットネスレベルを分析し、カスタムメイドのトレーニングプランや食事プランを提案します。トレーニングを続ければ続けるほどデータが蓄積され、より精度の高い指導を受けることができます。

人間のパーソナルトレーナーのように、一流の科学的研究に基づいたアドバイスを受けられます。6~12週間と比較的短い期間で目に見える成果を出すことを目標に設計されている点も、モチベーションの維持に役立ちます。

その他、米国のフィットネス大手Nautilusが開発した、自社のトレーニングマシン専用AIバーチャルトレーナー「Bowflex JRNY」あるいはインドのBoltt SportsやロンドンのFitWellなど、AIエクササイズと健康管理に役立つツールが続々と市場に登場しています。

また、シリコンバレーのスタートアップTonalが開発した「COACH A.I.」は、自宅の壁に大きな液晶パネルを備えたユニークなトレーニングマシンを設置し、AIの指導を受けるという本格派。自宅が、自分専用の本格的なジムに早変わりします。

AIエクササイズ関連商品は、無料で提供されているものから、手頃な価格のサブスクリプションサービスまで様々です。「ジムに通うのは面倒だが、自宅にて1人で運動するのはモチベーションが上がらない」という人を獲得し、市場の拡大に大きく貢献しています。

AIエクササイズは、忙しい現代人が健康的な生活スタイルを習慣づける上で、重要な役割を果たす可能性を秘めています。近い将来、AIがパーソナルトレーナーの主流になる日が来るかもしれません。

※上記文中の個別企業はあくまで事例であり、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。

Recent Posts

  • マーケットビュー

弱含みか正常化か?大局的な視点で見る世界経済

※インベスコ・アセット・マネジ…

1か月 ago
  • マーケットビュー

FRBは景気後退を回避するために金融政策を再調整

※インベスコ・アセット・マネジ…

1か月 ago
  • マーケットビュー

日本:金融市場から見た石破新政権

※インベスコ・アセット・マネジ…

1か月 ago
  • マーケットビュー

中国:広範囲の金融緩和政策とその評価

※インベスコ・アセット・マネジ…

1か月 ago
  • お金の使い方

S&P500に100万円を投資! 10~30年後をシミュレーション

S&P500と連動する…

2か月 ago
  • 資産管理

新NISAのつみたて投資枠は貯金代わりになる? 5つの違いを解説

新NISAで安定運用を目指すと…

2か月 ago