世界の太陽光発電市場は成長を続けており、近年は日本でも自家消費型の需要が伸びています 。この動きはさらに広がると考えられますが、現状はどれくらいの市場規模があり、どこまで成長する可能性があるのでしょうか。
米調査会社「REPORT OCEAN」によると、2020年時点での市場規模は約762.2億ドル(約9兆9,086億円)で、2021~2027年における世界の太陽光発電市場は、年平均20.5%以上 で成長すると予測されています。
2021〜2027年の期間で最も高い成長率が期待される地域としては、クリーンエネルギーへの投資が増加していることなどから、日本を含む「アジア太平洋地域」が挙げられました。
成長が期待されるアジア太平洋地域の中で、日本はどのような状況なのでしょうか。以下の表は、富士経済グループが「2035年度国内市場予測(2020年度比)」で紹介しているデータをまとめたものです。
データの種類 | 2021年度の見込 | 2020年度比 | 2035年度予測 |
---|---|---|---|
太陽電池の国内市場 | 2,819億円 | 107.9% | 1,509億円 |
自家消費型太陽光発電システムの市場 | 2,816億円 | 114.1% | 5,857億円 |
第三者所有モデルの市場(PPAモデルやリース) | 277億円 | 172.0% | 2,553億円 |
上記の中でも成長率が高いのは、第三者所有モデル(※)の市場です。2035年度の第三者所有モデル市場の予測は2,553億円となっており、2021年度比では9.2倍の成長が予測されています。
(※)サービス事業者が顧客の建物に太陽光パネルなどを設置し、その建物の所有者と電力購入契約を結んで発電電力を供給する仕組みのこと。
世界的に市場の拡大が進む太陽光発電ですが、現状では以下の課題があります。
<太陽光発電の課題>
・発電コストが比較的割高になる
・天候など自然状況に左右される
・森林伐採や不法投棄などの環境破壊
太陽光発電の発電量は天候に左右されるため、悪天候時のコストや安定性が懸念されています。一般的には環境にやさしいとされる太陽光発電ですが、設置スペースのために森林伐採をする、故障した太陽光パネルの不法投棄など、環境破壊につながっている側面もあります。
太陽電池の国内市場は、2021年度と比べると2035年度時点で1,509億円まで縮小すると予測されています。その他の「自家消費型太陽光発電システム」「第三者所有モデル」については、世界市場と同じように成長が予測されています。
まだ課題が残されている分野なので、その課題の解決が今後の成長のカギになるのではないでしょうか。
※為替レート:1ドル=130円
※本記事は太陽光発電に関わる基礎知識を解説することを目的としており、太陽光発電関連企業への投資や太陽光発電投資を推奨するものではありません。