ワインやウイスキーに続き、バーボンの人気が再燃しています。その市場規模は2027 年までに43億ドル(約5719億円)を上回ると期待されており、インフレ環境におけるリアルアセット(実物資産)としての注目も高まっています。
バーボンとは
バーボンはスコッチウイスキーやアイリッシュウイスキーと並ぶ「世界の5大ウイスキー」の一つで、米国を中心に18世紀頃から生産されています。
原料の51%以上はトウモロコシ、残りは大麦やライ麦、小麦などから作られており、焦がしたオーク樽で熟成させた独特の風味と甘みがあります。米国全土や海外でも生産されていますが、米国東南部にあるケンタッキー州が「バーボンの聖地」として世界的に有名です。
「手頃な価格で気軽に飲めるウイスキー」「収集価値が低い」といったイメージが一部で定着しているようですが、これは大麦の麦芽のみを原料とするシングルモルトウイスキーなどと比べると原料費が低く、熟成が早い(スコッチウイスキーは3年以上、ストレートバーボンは2年以上)ことに起因すると考えられます。
プレミアムバーボンの需要が拡大している理由
近年は、歴史上かつてないほどの「バーボンブーム」の兆しが市場に見られます。
国際市場調査企業アドバンス・マーケット・アナリティクス(Advance Market Analytics)によると、米国のバーボンの市場規模は2021 年に 29 億 9,116 万ドル(約3,978億 2,428万円)と評価され、2027 年までに 43 億 1,900 万ドル(約5,744億 2,700万円)に達する予想されています。
このような中、ウイスキー愛好家や投資家を特に魅了しているのは、50ドル(約6,650円)以上のスーパープレミアム・バーボンです。米国蒸留酒評議会によると、2014~2019年までの5年でスーパープレミアム・バーボンの売り上げは135%増加し、350万ケースに達しました。
ワインやウイスキーが市場を拡大する一方でバーボンの人気が再燃している背景には、消費者の嗜好の多様化や投資家の関心の高まりなどが挙げられます。一方で、世界的なインフレや経済への懸念が広がっている現在、「リスクヘッジとして投資対象を多様化させたい」という理由から、ポートフォリオにバーボンを加える投資家もいるようです。
最近の投資動向
バーボン人気再燃の波に乗り、投資市場も拡大しています。
2022年のサザビーズのオークションでは、5万2,000ドル(約692万円)で落札された「23 年物パピー・ヴァン・リンクル・ファミリー・リザーブ(Pappy Van Winkle Family Reserve)」を筆頭に、出品された14本のパピー・ヴァン・リンクルがいずれも予想を上回る価格で売却され、合計で約40万ドル(約5,320万円)に達しました。
一方で、オールド・ リップ ・ヴァン ・ウィンクルの「25年物ケンタッキー・ストレートバーボン(Kentucky Straight Bourbon)」の相場は、2022年10月の時点で約6万5,000ドル(約865万円)に上昇していました。
このような潮流を受け、イタリアの蒸留酒メーカー、カンパリグループ(Campari Group)がバーボンブランドの強化に乗り出しています。同社は2022年10月、ケンタッキー州のウィルダネス・トレイル蒸留所を4億2,000ドル(約559億円)で買収することに合意したと発表しました。バーボンをプレミアム化し、同社の主力製品であるアペリティフ(食前酒)に次ぐ「第2の主力製品」に成長させる意気込みです。
一方で、米投資企業CaskX(キャスクエックス)のジェレミー・カスラーCEOは、バーボンを「スピリッツ分野(蒸留酒)で最も急速に成長しているカテゴリーの一つ」とし、「バーボン投資は10年前のスコッチウイスキーと同じ成長段階にある」と期待を寄せています。
将来性のある人気バーボンは?
価値の上昇が期待できるバーボンとして人気の銘柄は、前述のパピー・ヴァン・リンクルや、ケンタッキー州最古の蒸留所の「ウッドフォード・リザーブ(Woodford Reserve)」、バッファロー・トレース蒸溜所の「ブラントンズ・バーボン(Blanton’s Bourbon)」、ビームサントリーの「ジム・ビーム(Jim Beam)」、タットヒルタウン・スピリッツ蒸留所の「ハドソン・ベイビー・バーボン(Hudson Baby Bourbon)」などが挙げられます。
いずれも限定品などは、リターンが期待できるかもしれません。
長期投資の対象としても注目
蒸留酒コレクターの関心が時代の変化とともに多様化している近年、長期投資の対象としてプレミアムバーボンが注目されています。米国のバーボンの市場規模が拡大していることからも、人気のある蒸留酒の一つといえるでしょう。
Wealth Roadではバーボン市場の動向とともに、インフレ環境下におけるリアルアセットとしてのバーボン投資の可能性にも注目していきます。
※為替レート:1ドル=133円
※上記は参考情報であり、特定企業の株式の売買及び投資を推奨するものではありません。また、過去の実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。