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住宅ローン控除とは?控除制度や適用要件、手続き方法を分かりやすく解説

住宅ローンを利用してマイホームを購入する場合は、住宅ローン控除の対象になる可能性があります。住宅ローン控除は節税につながる制度ですが、控除を受けるには所定の手続きが必要です。そこで本記事では、住宅ローン控除の概要や適用要件、手続き方法を分かりやすく解説していきます。

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合に、所得税や住民税の負担が軽減される制度です。税額控除の一種であり、以下のうち「少ないほうの金額×1%」の額が所得税・住民税(※)から控除されます。

【1】年末時点での住宅ローン残高(※4,000万円が上限)
【2】住宅の取得対価(購入代金+諸費用)

上記の税額控除を適用した結果、前年の所得税・住民税を支払い過ぎている場合は、その超過分を還付金として受け取れます。

(※)所得税から控除できない場合、住民税から一部控除される。

最長で13年間、所得税が控除される

住宅ローン控除の適用期間は原則として10年ですが、以下に該当する方は控除期間が3年間延長されます。

○控除期間が延長される条件

・10%の消費税率が適用される住宅を購入し、2019年10月~2020年12月末までに入居した
・一定期間内(※)に契約し、2021年1月から2022年12月末までに入居した

(※)新築の注文住宅は2020年10月~2021年9月末まで、分譲住宅は2020年12月~2021年11月末までが対象。

つまり、住宅ローン控除は最長で13年間適用されるため、長期的に見ると大きな節税効果を期待できます。

控除しきれない分は住民税からも控除される

住宅ローン控除が適用される場合は、前年度の所得税から控除分を差し引きます。このときに控除しきれない分については、以下のうち少ないほうの金額が翌年度の住民税から差し引かれます。

【1】所得税から控除しきれなかった金額
【2】課税総所得金額等×7%

なお、上記【2】が適用されるケースでは、136,500円が控除の上限額となります。

住宅ローン控除の適用要件

ここからは、購入物件の種類別に住宅ローン控除の適用要件を見ていきましょう。

新築住宅の適用要件

まずは、新築住宅の適用要件から紹介します。

○新築住宅の適用要件

【1】新築または物件取得日から6ヵ月以内に入居し、適用年の12月末まで住んでいること
【2】対象住宅の床面積が50平方メートル以上であり、その2分の1以上が本人の居住スペースであること
【3】適用年の合計所得金額が3,000万円以下であること
【4】10年以上の住宅ローンを組んでいること
【5】特定期間(※)において、長期譲渡所得の課税の特例などを受けていないこと

(※)入居日が2019年4月以降の場合は6年間(適用年の2年前~3年後)、入居日が2019年3月以前の場合は5年間(適用年の2年前~2年後)。

なお、上記の「床面積」は登記簿をもとに判断されるため、別の資料(売買契約書など)を参照しないように注意しましょう。

中古住宅の適用要件

次は、中古住宅における適用要件を見ていきましょう。

○中古住宅の適用要件

【1】建築後に使用した住宅であること
【2】建築日から取得日までの期間が20年以下であること(※)
【3】耐震基準に適合した住宅であること
【4】生計を共にする親族等からの取得ではないこと
【5】贈与による取得ではないこと

(※)マンション等の場合は25年以下。

この他、中古住宅では「新築住宅の適用要件」もすべて満たす必要があります。

リフォームや改築等の要件

以下のいずれかの適用要件を満たす場合は、リフォームや改築なども住宅ローン控除の対象になります。

○リフォームや改築等の適用要件

【1】本人が居住するために行う増改築であること
【2】増築、改築、建築基準法で規定される、大規模な修繕や大規模な模様替えに該当すること
【3】区分所有する床や階段、壁の過半について行う修繕・模様替えであること
【4】家屋の特定箇所(※)ついて行う修繕・模様替えであること
【5】現行の耐震基準等に適合させるための修繕・模様替えであること
【6】一定のバリアフリー改修工事であること
【7】一定の省エネ改修工事であること

(※)居室や調理室、浴室、便所、洗面所などの一室の床、またはすべての壁が該当。

リフォームや改築等においても、前述の「新築住宅の適用要件」をすべて満たす必要があります。

住宅ローン控除の手続きと必要書類

住宅ローン控除の適用を受けるには、以下の書類を用意して入居の翌年に確定申告を行います。

○住宅ローン控除の必要書類
・本人確認書類(マイナンバーカードなど)
・確定申告書
・源泉徴収票
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・対象となるローンの借入残高証明書
・対象住宅の登記簿謄本
・建築請負契約書(売買契約書のコピーでも可)など

2年目以降の手続きについては、本人の属性によって異なります。会社員の場合は年末調整だけで済ませられますが、それ以外の方(自営業者など)は確定申告が毎年必要になるため、忘れないように注意しましょう。

いくら戻ってくる?住宅ローン控除の簡単なシミュレーション

最後に、以下の前提条件で住宅ローン控除のシミュレーションを行ってみましょう。

○前提条件
・年収:600万円
・所得税額:15万円
・住民税額:30万円
・ローン残高(年末時点):4,200万円
・住宅の取得対価:5,000万円

(※計算を簡単にするため、上記は分かりやすい条件を設定)

住宅の取得対価よりローン残高のほうが少ないため、控除額は「ローン残高×1%」で計算されます。ただし、算定基準となるローン残高は4,000万円が上限なので、この例では40万円(4,000万円×1%)が控除額となります。

所得税・住民税からこの控除額を差し引くと、最終的な税額は以下の通りです。

所得税額:15万円-15万円=0円
住民税額:30万円-(40万円-15万円)=5万円

なお、実際のケースでは基礎控除や扶養控除なども関わってくるため、細かい金額を把握したい方は専門家への相談も検討してみましょう。

住宅ローン控除は事前の手続きが必須

住宅ローン控除は、マイホームの購入や増改築を対象とした控除制度です。自動的に適用されることはないため、適用要件を満たしている方はしっかりと手続きを行う必要があります。

なお、繰り上げ返済によって借入期間が10年未満になると、以降は適用を受けられなくなってしまうので、ボーナス払いなどを計画している方は注意しておきましょう。

※税務の詳細はお近くの税理士や公認会計士にご相談ください。

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