生活が貧しくなる可能性も?経済の基本を知って金融危機に備えよう!

金融危機は今までに何度も起きています。2000年以降で代表的な金融危機としては、「2008年のリーマンショック」「2010年のユーロ危機」などが挙げられます。この記事では、今までに起きた金融危機の要因や今後起こりうる金融危機に関して学べる記事をピックアップしました。

目次
1.【教養としての金融危機 #1】基本をおさらい!国の黒字・赤字とはどういう意味?
2.【教養としての金融危機 #2】ドルの大暴落はなぜ起こったの?
3.【教養としての金融危機 #3】「世界金融危機」を引き起こしたのは何?
4.【教養としての金融危機 #4】ユーロ崩壊危機の要因とそこから学ぶ5つのこと
5.【教養としての金融危機 #5】「ウィズコロナ」時代で起こりうる国際金融危機はどのようなもの?

以下は『教養としての金融危機』より一部抜粋

(本記事は、宮崎 成人氏の著書『教養としての金融危機』=講談社 、2022年1月19日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

1.【教養としての金融危機 #1】基本をおさらい!国の黒字・赤字とはどういう意味?

国の黒字・赤字とはどういう意味か?ーー国際金融の仕組み

-資金の流れを診断する

国際金融は国境を越える資金の流れのシステムです。身体の血行が悪くなって、ある時点で血栓ができて血流が止まると大事に至るように、国際的な資金の流れが滞ったり逆流したりすると、危機の可能性が高まります。

本書で扱うような大規模な国際金融危機は、危機の主因から、経常収支危機、通貨危機、債務危機、金融危機等いくつかのパターンに分類できます。それらに一貫するのは、国際的な資金の流れが変調することです。これまで「所与」としていた資金の流れが大きく変化し、政府・企業・家計・金融機関等の行動の前提が変わってしまうと、その変化に順応する過程で危機となる場合があるのです。

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2.【教養としての金融危機 #2】ドルの大暴落はなぜ起こったの?

第3の危機 なぜドルは大暴落したのか?ーー変動相場制、オイルショック、インフレ

-なぜ米国はドル安に直面したのか

米国に対するイメージは、世代によって様々だと思います。第二次世界大戦直後の世代は、米国の圧倒的なパワーと豊かさに対する憧憬の念を覚えたでしょうし、現在の若者はGAFAに代表される最先端技術やスタートアップのダイナミズムに心震える思いを持つでしょう。他方で、地球温暖化問題への取り組みや国内人種問題への対応等に幻滅する人々も少なくありません。

1970年代の米国は、同時代の人々にはどのように映っていたでしょうか?

文化的な発信力は依然として強力でした。何しろ、「スター・ウォーズ」が封切られ、イーグルスが「ホテル・カリフォルニア」を歌っていたのですから。しかし、政治・経済的には、底の見えない深みにはまっていくような、閉塞感漂う時期でした。

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3.【教養としての金融危機 #3】「世界金融危機」を引き起こしたのは何?

世界金融危機を引き起こした複合的要因とは?ーーリーマンショック、金融工学過信、群集心理

-住宅バブル崩壊から「世界金融危機」へ

2000年代初頭のITバブル崩壊や9・11同時多発テロ事件を乗り越え、2000年代半ばに米国は比較的高い成長を回復します。同時に、経常収支赤字は過去最高となり、GDP比で約6%にも達しました。米国は、いつも通りの対応をします。すなわち、ドルの発行による赤字の穴埋めと、経常収支黒字国への不公正貿易是正の要求および内需拡大要請です。他方で、米国内では、金融業が開発した新たな手法に基づく住宅ローンの供給システムが一世を風靡し、住宅ブームが膨張しました。

住宅バブルの崩壊は、新たな手法を駆使して巨利を得ていた金融界を直撃し、米国発の金融危機が、国際金融危機へと転化しました。主要な金融機関が、取引相手方を信用できなくなって立ちすくむ中、資金の流れを維持しようと国際社会は必死の努力を行います。米国は弱体化した銀行を統合し、生き残ったところに公的資金を投入して資本を増強します。しかし、結局パニックを鎮めたのは、当局はこれ以上銀行を潰さないつもりだ、との意向を市場が汲み取った瞬間でした。

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4.【教養としての金融危機 #4】ユーロ崩壊危機の要因とそこから学ぶ5つのこと

危機の残したもの

ユーロ危機の源泉は、通貨統合のイメージが先行して、南欧諸国で財政状況からは正当化されない金利の急速な下落が起こり、それによって生じた好況と住宅バブルが崩壊したことです(55)。しかし、そもそもその状況は、政治主導で通貨統合を性急に進めたことによって作り出されたのでした。単一通貨に至る統合の道はとても美しいですが、統一のための経済的条件は整っているか、各国の国民レベルで通貨統合のもたらすプラスとマイナスについて政治的な合意ができているか、仮に統合がうまくいかなかったときの「逃げ道」は用意されているか、といったあたりの詰めが甘かったのではないでしょうか。

通貨統合を具体的に検討している国は欧州以外では極めて少数ですから、ほとんどの国にとって、ユーロ危機の経験から学ぶ教訓はないと言って良いでしょうか?

それは、やはり違うでしょう。もし学ぶことがないと言っては、数年間にわたり必死に危機を回避・解決しようと努力した国際社会と、不況に苦しんだ危機国の国民に失礼だと思います。では、我々はユーロ危機から何を学んだでしょうか?

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5.【教養としての金融危機 #5】「ウィズコロナ」時代で起こりうる国際金融危機はどのようなもの?

次の危機はどこで起こるのか?ーー新型コロナ、債務累積、資産価格高騰

-次の危機は必ず起こる

ここまで、過去100年間の大きな危機を眺めてきました。これからは、将来について考えていきたいと思います。

我々は100年間にわたって、危機の原因とパターン、有効と思われる対処法を学んできました。本を開く前から「危機ミステリー」の犯人の目星がついているようなものです。

では、世界経済を崩壊させかねない大規模な危機はもう起こらないのでしょうか?

フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」ではありませんが、我々は「危機の終わり」に立っているのでしょうか?

100年間の経験が我々に教えるのは、「必ず次の危機は起こる」ということです。それがどのようなものか、いつ、どこで起こるのか、は分かりません。しかし、経済活動の中で、「新しい」金融技術が生まれ、「新しい」財政支出が正当化され、「新しい」経済理論が普及していけば、思わぬ形で信認の低下やサドンストップが出現してくる可能性が高まると思います。

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いかがだったでしょうか。金融危機は生活に悪影響を与えることもある問題です。前もって金融危機とは何かを理解しておくことで、再び金融危機が起こったときに対処できるかもしれません。ぜひ本記事を通じて、金融危機への理解を深めてみましょう。

※本記事は資産運用に関わる基礎知識を解説することを目的としており、資産運用を推奨するものではありません。

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