『マンガでわかるピーター・リンチの投資術』より一部抜粋
(本記事は、栫井駿介氏の著書『マンガでわかるピーター・リンチの投資術』=ループスプロダクション、2021年11月27日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
リンチは、個人投資家が行う株投資については「5銘柄以内への分散投資」を推奨している。その理由は、先述の通りリスクの分散ができることだ。リンチによると、5銘柄に投資すると、ひとつは株価が大きく上昇し、ひとつは株価が大きく下落し、残りはまずまずの成果をあげるという。
仮に投資した銘柄のうち4つがテンバガーにならなかったとしても、残りの1銘柄が当たれば十分資産を増やすことができる可能性があるのだ。
もしも1銘柄にしか投資しなかった場合、まずまずの結果しか出なければ資産は微増となるだけだ。運が悪ければ、株価が大きく下落する可能性もある。
保有する銘柄数を5つに抑えることで、銘柄の管理を行いやすくなる点もメリットだ。
また、リンチによれば、観察対象として個人投資家が常に動向を追える銘柄数は8~12銘柄ほどである。この数の銘柄数であれば、大きな負担にならず、無理なく観察を続けることができる。
この観察対象は、必ずしも動向を追う銘柄=投資に適した銘柄というわけではない。
たとえば、「事業拡大を計画している銘柄があるが、その方針に不安があるため保留にしておきたい」「業績が落ち込んできているため、投資は保留にして動向を追っておきたい」といった状況の場合、様子見が必要だ。
そのため、動向を追うのは8~12銘柄、同時に保有する銘柄数は5銘柄に留めることで、調査の負担を減らし、かつ適切にリスクを分散できる。
リンチ自身はファンドマネージャーとして数百以上の銘柄を追っていた。しかし、ファンドのポートフォリオを組むのと個人投資家のポートフォリオを組むのでは、調査にかける人手も、元手となる金額の規模もまったく違う。
99ページで示したように、リンチが100銘柄に投資しているからといって、個人投資家が彼の銘柄数まで真似する必要はない。
・保有銘柄は5銘柄以内が目安
・ 動向を追う銘柄は8~12銘柄が目安
※上記は、本書からの抜粋であり、
<著者プロフィール>
栫井 駿介
1986年鹿児島生まれ。つばめ投資顧問合同会社代表、株式投資アドバイザー、証券アナリスト。
東京大学経済学部卒業。2009年より大手証券会社にて投資銀行業務に従事。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。2016年にバリュー株投資の実践を目的としたつばめ投資顧問を設立。ビジネス・ブレークスルーにて、「株式・資産形成実践講座」の講師を務める。
著書に『株式vs. 不動産 投資するならどっち?』(筑摩書房)、『年率10% を達成する! プロの「株」勉強法』(クロスメディア・パブリッシング)。