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AI投資は、何をどこまで任せられる?使いこなすコツとは?

「資産運用には知識・時間・余剰資金が必要」といわれています。知識の習得にも手間と時間がかかります。「投資を始めたいが時間がなくて踏み出せない」という方も多いのではないでしょうか。

「AI投資」は、その名のとおりAIを利用した投資方法のひとつです。知識や時間がなくても始めやすくなっていますが、大切な資産の運用をAIに任せることに抵抗がある方もいるかもしれません。

今回はAI投資で何ができるのか、メリットやデメリット、使いこなすためのコツなどを詳しく解説します。

AI投資とは

AI投資とはAI(人工知能)を利用した投資方法のことで、「ロボットアドバイザー(ロボアド)」でも使われています。

AIの得意分野を活かした「AI投資」

AIの得意分野は、情報収集や分析、蓄積データとの照合、推論、単純作業などです。

例えば、「何に、いくら、どのような投資をすればよいかわからない」という問題に対して、AIは「指定された条件に応じた最適解」を提示できます。また、「毎月定額投資」や「条件が一致したときに売却」といったタスクも忠実に実行します。

AI投資は投資初心者に不足している「投資の専門知識」や「経験による判断力」を補い、「実行」まで代行してくれるわけです。

AI投資には「アドバイス型」と「投資一任型」がある

AI投資は、AIにどこまで任せるかによって大きく2種類に分けられます。投資プランや金融商品の提案を行う「アドバイス型」と、その後の運用まで担う「投資一任型」です。

「アドバイス型」と「投資一任型」の特徴とメリット・デメリットを見てみましょう。

AI投資 タイプ1:アドバイス型

アドバイス型のAI投資ができることは、投資プランの提案です。

まず、いくつかの質問によってリスク許容度を診断し、目標金額や資産状況に応じた投資プランと金融商品などを提示します。「投資プラン診断」や「ロボアド診断」などと呼ばれることもあります。

アドバイス型は、あくまでもアドバイザーです。アドバイスを受けた後の投資は、投資家自身が行います。

アドバイス型のメリット

アドバイス型AI投資を利用するメリットは、気軽に利用できる点と効率良く投資を学べる点です。

– 気軽に試せるものが多い

アドバイス型のAI投資は、ネット証券や大手証券会社のWEBサイトで利用できます。一般的に無料のものが多いため、気軽にアドバイスを受けられます。

– 実践しながら投資を学べる

投資は知識を覚えるだけではなく、実践もとても大切です。アドバイス型のAI投資はアドバイスをもらって自分自身で投資の判断を下します。そのため、投資経験を積むことができます。

アドバイス型のデメリット

次に、アドバイス型AI投資のデメリットを見てみましょう。

– 投資の手間がかかる

資産配分やポートフォリオの構築などはAI投資が代行してくれますが、提案に従って一つひとつ金融商品を購入するのは投資家自身です。プランに沿った運用を維持するためには、市況や社会情勢に対してアンテナを張り、適宜売買を行って資産配分を調整する必要もあるでしょう。

したがって、アドバイス型AI投資は「手間を省きたい」「時間がない」という方には向きません。

– 投資運用の自由度が高い

アドバイス型のAI投資には、アドバイス後のチェック機能がありません。例えば、提案よりも大きなリターンを求めて、別の銘柄を購入することもできます。どのような投資を行うかは、投資家の自由です。

しかし、自由度の高さが必ずしも良い結果をもたらすとは限りません。アドバイス型のAI投資は、料理のレシピのようなものです。アレンジできる知識や技術がない方は、レシピどおりに作るのが無難でしょう。

AI投資 タイプ2:投資一任型

投資一任型のAI投資は、金融商品の選定や購入、運用など投資プロセスのすべてをAIが行うというものです。各社がそれぞれに独自のサービス名を付けていますが、「ロボアド」「おまかせ運用」などと呼ばれることが多いです。

投資一任型AI投資も、まずはリスク許容度診断や投資プランの提案から始まります。提案を承諾すると初期設定に進み、完了後自動運用が始まります。初期設定が完了した後は、利用者がすることはほとんどありません。

投資一任型のメリット

投資一任型AI投資のメリットは、その名のとおりすべてを「一任」できる点です。

– 時間がなくても資産を運用できる

投資一任型には、市場の動向や運用状況に合わせた資産配分調整(リバランス)機能や税金最適化機能などが備わっているものも多く、低リスクかつ低コストでの運用が期待できます。

投資初心者や時間がない方や、とにかく手間を省きたい方に向いています。

– ストレスフリー

投資を始めると「値動き」が気になるものです。中には日々の値動きに一喜一憂したり、気になって仕事がおろそかになったりする方もいるでしょう。

投資一任型のAI投資なら、ほったらかしていても自動運用を続けてくれます。すべてをAIに任せて、ストレスのない投資生活を送れるというわけです。

投資一任型のデメリット

投資一任型AI投資のデメリットは、以下の2点です。

– 信託報酬以外にも利用手数料が必要

通常、投資信託の運用には様々な手数料が必要ですが、投資一任型のAI投資では別途「AI投資利用手数料」もかかります。しかしながら、利用料を払うことで手間や時間を節約できるため、「AI投資のほうがコストが高い=デメリットである」と一概にはいえないでしょう。下記の表を参考に、別途費用が必要だということを把握しておくことが大切です。

<投資信託運用にかかる手数料>

通常の
投資信託運用
AI投資
投資一任型
【AI投資利用手数料】 ×
【信託報酬】
投資信託を運用管理する費用
【購入時手数料】
購入時に販売会社に支払う費用
※販売会社や投資信託によっては不要
【信託財産留保額】
・満期(償還日)前に解約する際に生じる費用
※投資信託によっては不要
【売買委託手数料】
・投資信託に含まれる株式などの売却費用
※投資信託の組み入れ商品によって異なる
【監査報酬】
監査法人から受ける監査費用

– 自由度が低い

投資一任型のAI投資ではポートフォリオの構築から売買まで、すべて自動で行われます。資産配分の見直しはできますが、金融商品はAIに一任することになります。

したがって、投資したい銘柄がある方や資産運用に積極的に関わりたい方には向きません。

AI投資を活用するコツ

AI投資を活用するためには、AIの得意不得意を理解する必要があります。AI投資での失敗事例の多くは、AI投資のメリットを潰しているケースや、AIを過信して無理な要求をしています。

AI投資失敗例:AI投資のメリットを潰しているケース

AI投資のメリットを活かせずに失敗した例を紹介します。

– AI相手に嘘をつく

アドバイス型も投資一任型も、最初に投資診断を行います。質問には、年収や資産状況といったデリケートな内容も含まれますが、対人よりは答えやすいのではないでしょうか。

実際の資金力と異なる投資プランでは、維持が難しいばかりか大きな損失につながる恐れもあります。

AIは人間の見栄や虚栄心を慮ってはくれません。正直に答えましょう。

– AI投資に感情を持ち込む

AI投資に限らず、「値下がりしたから、すぐにやめてしまった」という失敗談は少なくありません。中長期運用は5年後、10年後に値上がりしていることを目指して行うものなので、短期間で売却すると機会損失となります。投資を始めた直後に値下がりしてイライラする気持ちはわかりますが、感情的な投資は損失のもとです。

AI投資失敗例:AIを過信して無理な要求をするケース

AI投資の特徴は、知識や時間がなくても投資・運用ができることです。投資プロセスやデータ分析などを自動化していますが、投資自体は人間が行うものと同じです。AI投資だからといって、必ずしも大きなリターンを得られるわけではありません。

– AI投資でもリスクはゼロにはならない

投資にはリスクが伴います。しかし、「AI投資だからリスクがない」と勘違いしてリスク管理を怠った結果、失敗したケースは少なくありません。

AI投資は分散投資や市況に応じた資産分配調整などを自動で行い、リスクを抑えてくれますが、リスクがなくなるわけではありません。投資におけるリスクとは、利益と損失の幅を指します。したがって、リスクがゼロでは利益も損失もゼロになります。

– AI投資でも値動きの予測精度は高くない

「AI投資なら必ず儲かると思っていた」という失敗談も多いです。

AIにできることは、あらかじめ設定した目標に近づけるためにあらゆる情報を分析し、集積されたデータから最適解を探すことです。人間より精度が高くても、必ず運用が成功するとは限りません。値動きの予測や察知はできても、値動きの予測を百発百中で的中させることはできないのです。

AI投資の特性を活かし快適な投資生活を

AI投資は知識や時間がない方でも資産運用ができます。投資一任型に老後資金形成を任せている間に、アドバイス型で投資の勉強をするという手もあります。複数の投資プラン診断やポートフォリオ構築を試して、投資のセカンドオピニオンを求めるという使い方もあるでしょう。

充実した投資生活を送るために、まずはAI投資で自分に合う投資を探してみてはいかがでしょうか。

※上記は参考情報であり、株式投資や債券投資、そのほかの投資を推奨するものではありません。

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