『マンガでわかるNISA&iDeCo入門』より一部抜粋
(本記事は、鈴木 一之氏の著書『マンガでわかるNISA&iDeCo入門』=新星出版社、2021年12月1日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
目次
投資信託は投資先(投資対象)や運用方針によっていろいろな商品がつくられますが、投資先の主なものは株と債券(さいけん)です。
債券は、国が発行する「国債(こくさい)」や、民間企業が発行する「社債(しゃさい)」などです。
また株は、証券取引所に上場(じょうじょう)している企業の株式です。
債券や株は、それぞれ取引をする市場があり、そこでは価格が常に変動しています。債券の値動(ねうご)きは比較的ゆるやかで、株の値動きは激しくなる傾向があります。そのため、投資信託に債券を組み入れると、価格変動のリスクが抑(おさ)えられる反面、大きな儲(もう)けは見込めなくなります。
一方、株を組み入れれば安全性は低くなりますが、うまくいけば大きな利益を得ることが期待できます。
投資信託の投資先はこのほかに、不動産に投資する「不動産投資信託(ふどうさんとうししんたく)(REIT)(リート)」が あります。投資家から集めたお金を不動産に投資して、そこから得られた賃貸料(ちんたいりょう)や売却益(ばいきゃくえき)」などを投資家に分配するしくみで、証券取引所に上場されている商品です。
また、原油や金(きん)(ゴールド)、大豆(だいず)などの「コモディテイ(商品)」を投資先の1つにしている投資信託もあります。
通常、投資信託にかかる費用には、商品の購入代金のほかに、税金と手数料があります。 購入代金がかかるのは仕方ないとして、利益に対する税金は、つみたてNISA(ニーサ)やiDeco(イデコ)を利用すれば非課税です。
問題は、手数料です。他の運用商品と比べていろいろな手数料がかかり、コスト負担が大きいというのが、投資信託で運用するデメリットの1つです。
まず、投資信託を買うときに「購入時手数料(こうにゅうじてすうりょう)(販売手数料)」というのが発生します。
また投資信託を保有している間は、「信託報酬(しんたくほうしゅう)(運用管理費用)」という投資信託を運用・管理するためにかかる手数料と、投資信託の会計が適切にされているかを監査(かんさ)するための「監査報酬(かんさほうしゅう)」という2つの手数料がかかります。
それぞれ保有する投資信託の額に対して、 年率〇%という形で負担し続けることになり ます。
投資信託を売る(解約する、換金する)ときに、商品によっては「信託財産留保額(しんたくざいさんりゅうほがく)という手数料が発生することがあります。これは一種のペナルティーで、換金された額の一部を投資信託に残します。手数料率は売却金額の0.1〜0.5%程度です。
<著者プロフィール>
鈴木 一之
株式アナリスト。日本証券アナリスト協会検定会員。
千葉大学卒業後、大和證券に入社。株式トレーディング室に配属され、株式トレードの職務に従事。2000年に独立後、独立系株式アナリストとして、相場を景気循環論でとらえる「シクリカル銘柄投資法」を展開。景気、経済、株式、投資信託の動向などのわかりやすい解説に定評がある。「マーケットアナライズプラス」(BS12トゥエルビ)、「東京マーケットワイド」(東京MXテレビ)などのテレビ、ラジオで市況解説を担当するほか、各種メディアや講演会でも活躍中。『賢者に学ぶ 有望株の選び方』(日本経済新聞出版社)、『景気サイクル投資法』(パンローリング)などの著書のほか、『マンガでわかる 投資信託入門』『経済用語イラスト図鑑』(いずれも新星出版社)を監修。