プロに運用を任せられ、幅広い分散投資ができるなどメリットの多い投資信託。これから資産運用を始めようと考えている初心者の中には、投資信託の購入を考えている人も多いのではないでしょうか。そこで、まず確認しておきたいのがリスクです。今回は投資信託のリスクにはどのようなものがあるのかを解説します。
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その前に、「リスク」の定義と「リスクとリターンの関係」を確認しておきましょう。「リスク」と聞くとネガティブな印象を持ったり、「マイナスになる可能性」と捉えたりするかもしれません。
しかし、資産運用における「リスク」は「結果が不確実であること」を意味し、具体的には、リターン(投資を行うことで得られる収益)の振れ幅を指します。したがって、「リスクが高い」とは「大きなリターンを得られるかもしれないし、大きな損失を被るかもしれない」ということです。
リスクとリターンは相関関係にあります。つまり「ローリスク・ローリターン」「ハイリスク・ハイリターン」です。投資信託のファンドマネージャーは、「できるだけリスクを下げて、できるだけリターンを大きくするためにはどうすればよいか」ということを日々考えていますが、それでも基本的には「ローリスク・ハイリターン」の運用商品はないと考えておくべきです。そのような商品の営業を受けたときは、慎重に判断すべきです。
「リスクが高いこと」は、高いリターンが得られる可能性があるということですから、悪ではありません(もちろん大きな損失を被る可能性も高まります)。必要以上にリスクを恐れず、正しく捉えることが重要です。
それでは、投資信託にはどのようなリスクがあるのでしょうか。例えば、以下のようなリスクが挙げられます。
投資信託が投資している資産の価格が変動するリスクです。株式や債券など、投資信託によって投資している資産やその割合は異なりますが、それらの価格が変動すると投資信託の基準価額も変動します。
為替レートが変動するリスクです。外貨建ての資産に投資している投資信託は、為替レートの変動の影響を直接受けます。一般的に、円高は基準価額の下落要因、円安は上昇要因です。
有価証券を発行している発行体の経営状況や財政状況の悪化などによって、決められた分配金や償還金が支払われないリスクです。実際にデフォルトしなくても、「デフォルト懸念がある」ことが伝わると、それだけで資産価格が大きく下落する可能性があります。
金利が変動するリスクです。一般的に金利が上昇すると債券価格が下落し、金利が下落すると債券価格は上昇します。また、満期までの期間が長い債券ほど金利変動の影響を強く受けるとされています。
投資対象国や地域において、政治や経済の状況が変化することで金融市場に混乱が生じたり、新しい規制が生まれたりすることで、運用方針に沿った運用ができなくなるリスクです。一般的に、新興国のほうが先進国よりも流動性が低く、政情が不安定で法制度も未発達であるため、カントリーリスクは高いと言えます。
投資信託に解約が集中した場合などに、スムーズに保有資産の売却ができなかったり、不利な条件で売却せざるを得なかったりすることで、投資信託が損失を被るリスクです。
インデックスファンドは、日経平均株価やTOPIXといったインデックス(市場の動きを示す指数)をベンチマークとして、それに連動する投資成果を目指す投資信託です。そのインデックスファンドにおいて、さまざまな理由により「基準価額の騰落率」と「同じ期間におけるベンチマークの騰落率」に乖離が生じるリスクです。
投資信託によって、生じるリスクやその大きさは異なります。例えば、信用力が高い国債に投資する投資信託と、中小型株に投資する投資信託では、抱えているリスクの大きさが違うことは言うまでもありません。
また、「インデックスファンドにおける基準価額とベンチマークとの乖離リスク」はインデックスファンド固有のリスクであり、「為替変動リスク」は外貨建て資産に投資する投資信託固有のリスクです(ただし、円建て資産のみに投資する投資信託であっても、為替変動の影響は間接的に受ける可能性があります)。そのため、それぞれの投資信託にどのようなリスクがどれくらいあるのかを理解した上で投資を行うことが重要です。
ここまで、投資信託のリスクにはどのようなものがあるのかを解説してきました。「リスクを正しく認識することが資産運用の第一歩」と言っても過言ではありません。投資信託は、正しく活用すれば有効な資産運用方法になり得ます。投資信託のリスクをしっかり理解して、資産運用に活かしましょう。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。