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正常化への道筋

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テーパリングと新型コロナ向け経口薬が示す正常化への道のり

〔要旨〕

米連邦準備理事会(FRB)がついにテーパリングを開始:FRBは、ついにテーパリング(量的金融緩和の縮小)の今月からの開始を発表

米国の雇用面に関する朗報が届く:10月の米国の雇用の伸びは予想を上回る結果に(ただし、労働参加率は依然として課題が残る)

新型コロナとの闘いは新たな段階に:米国ではさらに多くの子どもたちへのワクチン接種が始まり、新型コロナ向けの経口薬が新たに開発されたことでより効果的な治療が可能に

米連邦準備理事会(FRB)がついにテーパリングを開始

2021年10-12月期の経済成長率は7-9月期よりもはるかに力強くなると見込まれることから、テーパリングのペースが加速する可能性が非常に高いと見込む

米国の雇用面に関する朗報が届く

10月の雇用の伸びは市場予想を大幅に上回り、「正常化」を示す。一方で、労働参加率はパンデミック前を大きく下回る結果に

新型コロナとの闘いは新たな段階に

米国での5-11歳児へのワクチン接種の承認のほか、ファイザー社が高い有効性を持つ新型コロナ向け経口薬を開発したことで、経済活動の完全な再開への期待が高まる

グローバルな視点

欧州やアジアではサプライチェーンの混乱や新型コロナの感染者の急増が見られる一方で、日本など一部の国では経済活動が好調に推移

まとめ

世界経済は1年前よりも改善しており、正しい方向に進んでいるだろう

先週、パンデミック前にみられたより正常な世界に向けて事態が進展しているとの私の見方を支えるいくつかの事柄が確認されました。

米連邦準備理事会(FRB)がついにテーパリングを開始

2021年10-12月期の経済成長率は7-9月期よりもはるかに力強くなると見込まれることから、テーパリングのペースが加速する可能性が非常に高いと見込む

まず、先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、米連邦準備理事会(FRB)はついに11月から資産購入額の段階的な削減(テーパリング)を開始すると発表しました。削減額は現状の月額1200億米ドルのうち150億米ドル 1 と、比較的少規模から始まりますが、FRBは柔軟性を有しており、削減額を増やす可能性があります。パウエルFRB議長によると、金融政策は経済成長の見通しに応じて調整される見込みです。2022年に入ると経済成長率が通常のペースに落ち着くとみられますが、それに先立つ2021年10-12月期には経済成長率が7-9月期の成長率よりもはるかに力強くなると見込まれることから、私はテーパリングのペースが加速する可能性が非常に高いと考えます。現状、FRBの金融政策は依然として非常に緩和的であり、通常時とはほど遠いものですが、正常化への一歩を踏み出したと言えます。

米国の雇用面に関する朗報が届く

10月の雇用の伸びは市場予想を大幅に上回り、「正常化」を示す。一方で、労働参加率はパンデミック前を大きく下回る結果に

10月の米雇用統計も発表されました。非農業部門雇用者数は前月比53.1万人増加し、市場予想を大きく上回りました 2 。雇用の伸びは、大部分がレジャー・ホスピタリティセクターで確認されましたが、これらのセクターが新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)下で大きな損害を被ったことを考えると、違和感はありません。これは、米国が正常化に進んでいることを示すもう1つの兆候であり、これ以外に、10月の米ISM非製造業景況感指数が66.7と市場予想を大きく上回った 3 ことによっても正常化への道筋が確認されています。

加えて、9月と8月の非農業部門雇用者数は上方修正され、3カ月平均の増加数は40万人をはるかに上回っています 2 。8月と9月に新型コロナの逆風が米国経済に打撃を与えたことを考えると、これは非常に喜ばしい結果です。また、10月の失業率は9月の4.8%から4.6%に低下しました(参考までに、パンデミック前の失業率の最低水準は3.5%でした) 2

私は、この夏のあいだ、10月の雇用統計を待ち望んでいました。なぜなら、全米中の子どもたちが学校に戻り、すべての州で追加の失業給付手当の支給が終了することから、それがパンデミックが始まって以来、最も「正常」に近づいたことを示す結果になると考えていたためです。雇用の伸びが見られた一方で、労働参加率はパンデミック前の水準をはるかに下回ったことには失望させられましたが、今後数カ月で改善することを期待しています。

新型コロナとの闘いは新たな段階に

米国での5-11歳児へのワクチン接種の承認のほか、ファイザー社が高い有効性を持つ新型コロナ向け経口薬を開発したことで、経済活動の完全な再開への期待が高まる

米国は新型コロナウイルスとの闘いでさらに進化しています。米国疾病予防管理センター(CDC)は、5歳から11歳児に対するファイザー社製の新型コロナワクチン接種を承認しました。幼い子どもを持つ多くの家庭は、それが正常化への第一歩と考えているため、この瞬間を心待ちにしていました。余談ですが、私は、その年代の子どもを持つ多くの友人から、子どもたちがワクチン接種を受け、パンデミック前の生活に戻ることを熱望していると聞いています。特に、家族での休暇旅行は、重要な家庭行事ですが、ほぼ2年間見送られていました。

さらに、ファイザー社は先週、米国だけでなく全世界に好影響を与えるに違いない、胸おどる発表を行いました。ファイザー社は、新型コロナ向けの経口薬を開発したと発表し、その錠剤が新型コロナ患者の入院者数と死者数を劇的に減らすことが臨床試験で示されたことを明らかにしました。同社は、結果が「非常に高い有効性」を示したため、緊急使用許可をできるだけ早く得るべく、調査結果を米国の規制当局に提出する予定であると述べました。これは、最近メルク社により発表された新型コロナ向け経口薬に続くものですが、ファイザー社の経口薬の有効性はメルク社よりもはるかに高くなっています。私は、この新薬は本当の「ゲームチェンジャー」であり、政府の指導者はワクチン接種の水準に頭を悩ませることなく、全世界が正常化に向かうことができると考えます。実際のところ、病院が新型コロナの患者の急増により対応しきれなくなると、地方政府はしばしば、ロックダウンなどの厳格な対策に頼らざるをえなくなります。これらの治療法により、そのような事態を防ぐことできるならば、経済の完全な再開が可能になるでしょう。

グローバルな視点

欧州やアジアではサプライチェーンの混乱や新型コロナの感染者の急増が見られる一方で、日本など一部の国では経済活動が好調に推移

欧州も正常化への道を進んでいますが、米国に後れをとっています。10月の購買担当者景気指数(PMI)で示されたように、欧州は過去6週間、サプライチェーンの混乱と新型コロナウイルスの新規感染者数の急増による打撃を受けています。アジア各国も、供給網の制約と新型コロナの発生による悪影響を受けています。中国も電力不足を背景とした逆風に直面しています。一方で、一部の国では経済活動が好調に推移しています。日本では、新型コロナの新規感染者が9月以降減少しており、10月のPMIはその改善を反映しています。重要な点は、医療の進歩は全世界を救うということですが、広がるには時間が必要です。そのため、地域によっては、正常化が遅れることがあります。

まとめ

世界経済は1年前よりも改善しており、正しい方向に進んでいるだろう

私は、世界が正常化への道を進んでいると自信を持って言うことができます。ただし、その道筋が短くなり、障害が取り除かれたという意味ではなく、少し迂回しなければならないこともあるかもしれません。サプライチェーンの問題とインフレは、特に米国では今後数カ月で大きな問題になる可能性がありますが、過去2年間の世界の状況を考えると、これは避けられない障害であると私は考えます。火事と闘うときは、消火した後も煙と水によるダメージに対応しなければなりません。全体として見ると、世界経済は1年前よりも改善しており、正しい方向に進んでいると考えています。

1.出所:米連邦準備理事会、2021年11月3日
2.出所:米国労働省労働統計局、2021年11月5日
3.出所:サプライマネジメント協会、2021年11月3日

クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト

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