結婚や子どもの誕生、マイホームの購入……。30代になるとライフイベントが盛りだくさん。そこでついて回るのが「お金の問題」です。ある程度のお金がないと、人生の選択肢が狭まってしまいます。
しかし、お金は自動的に貯まるものでも増えるものでもありません。自発的に資産形成を行うことが重要です。そこで今回は、30代こそ資産形成を始めるべき理由や、資産形成を行う上で気をつけるべきポイント、資産形成におすすめの方法などを紹介します。
目次
30代こそ資産形成を始めるべき理由
30代こそ資産形成を始めるべき理由として、以下の3つが挙げられます。なお、ここでいう資産形成とは「すでに手元にあるまとまった資産を運用すること」ではなく、「コツコツ運用して、将来まとまった資産を手にすること」を指します。
理由1.家族構成が固まる人が多い
30代になると結婚して子どもが生まれ、家族構成が固まってくる人が多いでしょう。家族構成が固まれば、将来必要になるお金を計算しやすくなります。特に「子どもが何人欲しいか」ということは、その後の教育費やマイホーム購入費にも大きな影響を与え、結果的に夫婦のマネープランを大きく左右します。
理由2.若いほうがリスクを取りやすい
資産運用では「若いほうがリスクを取りやすい」といわれています。仮に運用に失敗しても、年齢が若ければそれを挽回するチャンスが多く残されているためです。また、基本的にリスクとリターンは相関関係にあり、リスクを取ったほうが高いリターンが期待できます。
理由3.若いほうが複利効果を発揮できる
複利効果とは、運用で得た収益を再び投資することで、利息が利息を生んで資産が大きくなっていく効果のことです。「投資期間」と「複利効果」には深い関係があり、投資期間が長くなるほど複利効果は大きくなる傾向があります。そのため、若いうちから運用を始めた方がその恩恵を享受できます。
「人生100年時代」においては、30代は比較的若い年代であるため、資産形成を始めるのに適している時期といえるでしょう。
30代が資産形成を行う上で気をつけるべきポイント
30代が資産形成を行う上で気をつけるべきポイントとして、以下の2つが挙げられます。
資産形成の目的を明確にする
まず、資産形成の目的を明確にしましょう。もっとも、「目的」と言われてもイメージが湧かないかもしれません。その場合は「ライフイベント表」を作り、人生においてかかる大まかな費用から逆算するとよいでしょう。ライフイベント表は、家族の未来年表のようなものです。
例えば、「2025年に長男が中学校に進学するため100万円が必要」「6年に一度はクルマを買い替えるため、6年ごとに200万円が必要」「2040年にはマイホームのリフォームが必要になるため1,000万円が必要」といった情報を書き込みます。
理想の未来を書き込んで、それらのライフイベントにかかる総額を計算してみましょう。場合によっては何かを諦める必要があるかもしれませんが、いずれにせよ、まずは理想と現実のギャップを確認することが重要です。
使う時期によって流動性やリスクをコントロールする
多くのライフイベントは同時に起こるわけではなく、時間差でやってきます。そのため、使う時期によって流動性やリスクをコントロールするとよいでしょう。基本的に流動性を低くしたりリスクを高めたりすると、期待リターンは高くなります。
例えば、「1年後に支払う予定のクルマの買い替え費用は、リターンはほとんどないがリスクが低く流動性が高い1年定期預金で運用する」「10年後に支払う予定の子どもの大学進学費用は、リスク高めではあるがリターンも期待できる株式で運用(積立)する」といった具合です。
30代の資産形成におすすめの方法
30代の資産形成におすすめの方法として、以下の2つが挙げられます。
NISA(特につみたてNISA)
NISAは、毎年一定の金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が、非課税になる制度です。本来は利益に約20%の税金がかかりますが、NISAであれば税金がまったくかからないため、利益が丸々自分のものになり、前述の複利効果がさらに高まります。
NISAには一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの3つがあります。手元にまとまった資産がない30代が資産形成を始めるのであれば、「つみたてNISA」がおすすめです。
つみたてNISAは少額からの長期・積み立て・分散投資を支援するための非課税制度で、新規投資額の上限は毎年40万円です。毎月均等に投資すると約3万3,333円/月です。決して少ない金額ではありませんが、家計を見直せば捻出できない金額ではないでしょう。もちろん、満額を投資しなければならないわけではありませんので状況に合わせてコントロールしましょう。
iDeCo
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度で、「掛金を拠出するとき」「運用益が出たとき」「給付を受け取るとき」の3つのタイミングで税制上の優遇措置があります。つみたてNISAには「運用益が出たとき」の税制優遇しかないため、税制面ではiDeCoのほうが優れているといえます。
しかし、iDeCoはあくまで老後資金づくりのための方法なので、原則として60歳になるまで資金を引き出すことができません。そのため、30代の人が「10年後に支払う予定の子どもの大学進学費用」をiDeCoで運用してはいけません。あくまで「夫婦の老後資金づくり」と割り切るべきです。
資産形成を早く始めるほど、理想の未来を実現できる確率は上がる
ここまで、30代こそ資産形成を始めるべき理由や、資産形成を行う上で気をつけるべきポイント、資産形成におすすめの方法などを紹介してきました。資産形成を早く始めるほど、理想の未来を実現できる確率は上がるでしょう。この記事をきっかけに、資産形成を始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。