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退職や転職前に覚えておきたいお金事情

『書けば貯まる!今から始める自分にピッタリな老後のお金の作り方』より一部抜粋

(本記事は、三原 由紀氏の著書『書けば貯まる!今から始める自分にピッタリな老後のお金の作り方』=翔泳社 、2021年9月6日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

転職歴がある人は企業年金のもらい忘れに注意。受給額も把握しておく

過去の転退職で加入していた企業年金を脱退した人は、企業年金連合会に年金の原資が移換されている可能性があります。企業年金連合会とは、企業年金や厚生年金基金などがある企業を短期間で退職した人の年金給付を行っている組織です。転職歴がある場合、まずは企業年金連合会に記録があるか確認を行い、最終的には受給見込額も把握しておきましょう。

◆企業年金連合会のホームページから年金記録を確認する方法

企業年金連合会のホームページ
https://www.pfa.or.jp/otoiawase/service/index.html

ホームページのフォームに入力して送信後、登録したメールアドレス宛てに「企業年金連合会の年金記録の確認受付完了」の件名で、記録の有無を確認する旨のメールが送られてきます。数日以内に別途メールが届き、「一致する記録の有無について」回答があります。詳細記録については別途依頼が必要です。電話、ホームページ上のフォーム、または文書で依頼すると10日程度で年金額が記載された通知書が郵送されてきます。面倒ではありますが、作業は簡単です。一生涯受け取れる年金ですからもらい忘れがないように確認し、P.39 の【ステップ2-1】企業年金の欄に記入します。

30・40代の転職で注意すること

退職給付制度があれば転職する時にも退職金は支払われます。勤続年数が10年や20年になり30代や40代で退職する場合には、それなりにまとまった金額になる人もいるでしょう。その時に一番重要なことは退職金には「手を付けない」ことです。そもそも退職金の役割は老後の生活保障ですから、原則はしっかりと老後資金として増やしていきたいところです。なお、退職金制度の中には「持ち運びができる(ポータビリティ)」タイプの退職金があります。具体的には、企業年金制度の「確定給付企業年金」「企業型確定拠出年金」「厚生年金基金」が当てはまります。持ち運ぶ際の選択肢は主に次の3択になります。

1の元の会社に据え置く場合には、勤続年数20年以上などの条件があります。据え置きを検討する場合には据え置き期間の金利や受取方法、支給開始年齢などをしっかりと把握しておくことです。いずれにしてもどうするかについては転職時に案内がありますので、自分で申請の手続きを行います。ついつい転職後の生活に気が向いてしまいがちですが、将来受け取る年金を増やすためにも十分に検討をして決めましょう。なお、企業年金制度には当てはまりませんが、中小企業退職金共済制度や特定退職金共済制度に加入している会社間を転職した場合にも、退職金を引き継ぐことができます。ただし、中小企業退職金共済制度と特定退職金共済制度の引き継ぎは、両者間で退職金引渡契約を結んでいる場合に限るため確認が必須です。

60歳前の退職は、企業型確定拠出年金を移す手続きを忘れずに

企業型確定拠出年金に加入している場合、60歳前の転職や退職には注意が必要です。なぜなら、企業型確定拠出年金は60歳より前に解約してお金を引き出すことができないからです。必ず資産をいったん売却の上、現金化して移す手続きが必須になります。以下のチャートで移す先を確認しておきましょう。

iDeCo へ移す場合は、可能な限り掛金を払い続ける加入者になって資産を増やしていきましょう。なお、企業型確定拠出年金から移す時には、退職から6か月以内に手続きが必須です。6か月を超えると自動的に国民年金基金に資産が移され、余計な手間や手数料が掛かってしまいます。放置しないで必ず手続きを行いましょう。

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<著者プロフィール>

三原由紀(みはらゆき)
プレ定年専門FP(ファイナンシャル・プランナー)。
合同会社エミタメ代表、公的保険アドバイザー、相続診断士、NPO法人いちかわライフネットワーククラブ人づくり事業部フェロー。
大学卒業後、バブル期に大手食品メーカー、外資系メーカーに勤務。
子育て中で外に出られないときに同じアパートに住むママ友3人で株のネットトレードを始め、夫にナイショのままコッソリ1000万円以上の利益を達成。
子どもの小学校入学を機に保険代理店でパート開始、FP資格を取得。「無知はリスク(知らない=損をしていることもわからない)」を痛感し、自身の保険や住宅ローンの見直しに取り組み、家計を再生する。
2016年にファイナンシャル・プランナーとして独立。
現在、定年後の生活設計を専門とするFPとして、50代が抱える悩みや不安に特化し個別相談を行う。
「東洋経済オンライン」「MONEY PLUS-くらしの経済メディア」など大手メディアで執筆多数。

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