IPO(新規公開株、新規上場株式)は、未上場の企業が証券取引所に上場し、株式を投資家に売り出すことをいいます。IPO投資は「儲かりやすい」と言われていますが、初めてIPO投資をする際は、気を付けたいポイントがいくつかあります。2019年のIPO投資を振り返りながら、注意点を解説します。
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2019年の新規上場を振り返る
2019年に新規上場を果たした企業は86社で、2018年の97社と比べると11件減りました。月別の件数では3月と12月が多く、これは企業の決算期が集中しているためと考えられます。
2019年、初値が売出価格を大きく上回ったのは3月14日に上場したサーバーワークス <4434> で、売出価格4,780円に対して初値は1万8,000円と倍以上の値をつけました。サーバーワークスのIPO株を購入していれば、大きな利益を上げていたことになります。
一方で初値が売出価格を下回った銘柄もいくつかありましたが、86件中10件ほどに留まっています。しかも下げ幅は2~10%ほどでした。
IPO投資でも儲からないパターンになるチェックポイント
2019年に上場した86件のうち、初値が売出価格を下回ったのはわずか10件ほどだったことを考えると、IPO株が「儲かりやすい」ということがわかります。しかし、IPO株に投資しても損失を出してしまうことはあり得ます。IPO株でも儲からない投資パターンを見てみましょう。
キャンセルによる当選は要確認
期待値の高いIPO株は激しい争奪戦が巻き起こり、当選確率も下がります。例えキャンセルによる当選でも、せっかく当選したIPOなのですから、手放したくないのが心情ではないでしょうか。しかし、キャンセルによる当選ということは、その「せっかくの当選」を辞退した人がすでにいるのです。
その人はなぜ当選を辞退したのでしょうか。もしかすると、儲けが見込めない銘柄と考えたのかもしれません。キャンセル待ちで当選した場合には、キャンセルされた要因を探りましょう。
個別株価は常にチェック。市場の上げ下げに惑わされない
初値で何倍もの価格になったIPO株。今後も株価は上昇するだろうと、株価の動きをチェックせずにいると、気が付けば売り出し価格を割ってしまっていた……なんてことになりかねません。反対に、初値が思った以上に良く、「今後は株価が下がりそうだ」と踏んですぐに売却したところ、数ヵ月後にはさらに値上がりしていた、ということもあります。
株を手に入れた後、チェックすべきは個別銘柄の株価です。市場全体が上がっているからといって保有している株が値上がりしているとは限らないのです。逆に市場全体の株価が下がっていても、保有銘柄は上がっていることもあります。
市場全体が落ち込んだときには、なぜ株価が下がっているのか確認してみましょう。その原因が、保有銘柄に関係のあることであれば、まもなく保有銘柄の株価も下がるかもしれません。
2020年のIPOは
ニュースアプリのスマートニュース、ハイクラス層の転職サイトを運営するビズリーチ、ディープラーニング領域で期待されているプリファードネットワークスなどが、2020年の新規上場の有力候補と言われています。2020年のIPOはフィンテック関連やビッグデータ関連など、IT・AI系企業の動向もチェックしておくといいでしょう。