NISAの5年後に選ぶべき方法は?新NISAでのルール変更も解説

NISAで5年間の非課税期間が終了した後は、売却・課税口座への移管・ロールオーバーの3つの選択肢があります。2024年から始まる「新NISA」も意識した運用を考慮することが大事です。5年後に選ぶべき運用方法や、新NISAの概要について解説します。

NISAとは?

投資利益が5年間非課税になる制度

NISAとは、株式や投資信託などに投資して得た利益が5年間非課税になる制度です。つみたてNISAやジュニアNISAと区別するために、一般NISAと呼ばれることもあります。

NISA口座を開設すると、年間120万円の非課税投資枠を利用できます。口座開設期間は2023年まで、最大非課税投資総額は600万円です。株式・投資信託・ETF・Jリートなどが、投資可能な金融商品として設定されています。

その年の1月から12月までに買い付けできるNISA口座は、1人につき1口座に限定されます。つみたてNISAへの区分変更や金融機関の変更は、1年単位で行うことが可能です。

メリットとデメリット

NISAの最も大きなメリットは、投資利益が5年間非課税になることです。通常の課税口座では、株式や投資信託などで得た利益のうち原則として20.315%の税金がかかりますが、NISA口座内で取り引きした分の利益に関しては非課税となります。

非課税期間を再度5年間延長できる「ロールオーバー」が利用できることも、NISAのメリットです。まだ売却したくない資産を保有している場合、最大10年の長期運用が可能となるロールオーバーを活用すれば、含み損の回復を待ったり、より大きな利益を期待したりできます。

ただし、ロールオーバーを利用すれば必ず利益につながるとは限りません。つみたてNISAではロールオーバーが利用できないことにも注意が必要です。

NISAのデメリットとしては、投資限度額が年間120万円に限定されることが挙げられます。個別株投資を検討している場合は、それぞれの投資枠をうまく組み合わせられない可能性があることに注意が必要です。

また損益通算できないことも、NISAのデメリットといえるでしょう。NISA口座で損失が発生しても、その損失はないものとみなされるため、別の課税口座で利益が発生している場合は損益通算できず、利益に対する税金がかかることになります。

NISA5年後の選択肢3つ

非課税期間が終了する5年後には、以下に挙げる3つの選択肢があります。どのような場合にどれを選べばよいのか確認しておきましょう。

非課税期間終了前に売却

値上がりによる利益を確定させたいなら、非課税期間終了前に売却することで、NISA本来の利益を享受できます。現金化させたいケースや、翌年以降の運用資金を準備したいケースでも、期間終了前の売却は有効です。

一方、NISA口座での損失は損益通算できないため、含み損が出ている場合は十分な検討が必要です。

課税口座への移管

特別な手続きをしなければ、NISA口座は非課税期間終了後に、自動的に課税口座へ移管します。NISA口座で購入した金融商品を売却せずに運用の継続を希望した上で、翌年から別の金融商品をNISA口座で購入したい場合は、そのまま課税口座へ移管するとよいでしょう。

翌年の非課税投資枠を利用したい場合も、課税口座への移管が選択肢に入ります。売却するケースと同様に、課税口座へ移管した場合も、翌年の非課税投資枠で別の商品を購入することが可能です。

ロールオーバー

期間終了が近くなった段階で含み損がある場合や、より大きな利益を獲得できる見込みがある場合は、ロールオーバーを選択する方法も有効です。ロールオーバーで移行できる金額には上限がないため、 移行した金額が利益を含めて120万円を超過していても、全額を非課税扱いにできます。

ただし、120万円を超える金額をロールオーバーで移行した場合、既に非課税枠を使い切っていることになるため、その年には新しい商品を購入できません。他の商品を購入したいなら、売却か課税口座への移管を選ぶことになるでしょう。また、ロールオーバーすれば必ず利益につながるとは限らないことにも注意が必要です。

ロールオーバーの申し込み締め切りは金融機関によって異なるため、間に合わないことがないように事前準備しておく必要があります。

NISAは2024年から「新NISA」へリニューアル

NISA制度は、2024年から新しい仕組みに生まれ変わる予定です。主な変更点やロールオーバーでのメリットを紹介します。

主な変更点

現行のNISAでは非課税になる投資金額が年120万円までに設定されていますが、新NISAでは2階建て構造になり、1階部分が年20万円まで、2階部分は年102万円までとなります。

投資対象も、1階部分はつみたてNISAと同じ商品に、2階部分は現行NISAから高レバレッジ投資信託などを除いたものに変更される予定です。

ロールオーバーにおけるメリット

現行NISAでは、2019年以降に購入した商品のロールオーバーはできませんでした。しかし、新NISAでは2019年以降に購入した商品もロールオーバーできるようになる見込みです。

さらに、新NISAの1階部分がつみたてNISAへロールオーバーできるようになる予定であるため、最長25年間非課税で運用できることになります。

仕組みやメリットを理解して5年後に備えよう

NISAの5年後に選ぶべき方法は3種類あります。2024年から新NISAが始まることも考慮することが大事です。それぞれの仕組みやメリットをきちんと理解し、最良の選択ができるように備えておきましょう。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。

Recent Posts

  • マーケットビュー

弱含みか正常化か?大局的な視点で見る世界経済

※インベスコ・アセット・マネジ…

1か月 ago
  • マーケットビュー

FRBは景気後退を回避するために金融政策を再調整

※インベスコ・アセット・マネジ…

1か月 ago
  • マーケットビュー

日本:金融市場から見た石破新政権

※インベスコ・アセット・マネジ…

1か月 ago
  • マーケットビュー

中国:広範囲の金融緩和政策とその評価

※インベスコ・アセット・マネジ…

1か月 ago
  • お金の使い方

S&P500に100万円を投資! 10~30年後をシミュレーション

S&P500と連動する…

2か月 ago
  • 資産管理

新NISAのつみたて投資枠は貯金代わりになる? 5つの違いを解説

新NISAで安定運用を目指すと…

2か月 ago