NISAからつみたてNISAへの変更を検討している場合、それぞれの違いや変更方法を理解しておくことが重要です。2024年から始まる予定の新しいNISA制度に関しても、併せて考慮する必要があるでしょう。NISAとつみたてNISAの違いや変更方法、新NISAの概要を解説します。
目次
NISAとつみたてNISAには、以下のような違いがあります。取扱商品や取引方法などが異なるため、区分変更を希望する際は注意が必要です。たとえば、最大非課税投資総額は200万円の差がありますので、細かく違いについて確認したほうがよいでしょう。
NISA | つみたてNISA | |
---|---|---|
非課税投資枠/年 | 120万円 | 40万円 |
最長非課税期間 | 5年 | 20年 |
口座開設期間 | 2023年まで | 2037年まで |
最大非課税投資総額 | 600万円 | 800万円 |
ロールオーバー | 可 | 不可 |
対象金融商品 | 株式・投資信託・ETF・Jリートなど | 長期運用向け投資信託のみ |
NISA口座は、一般NISAとつみたてNISAのいずれか一方を年1回選択できます。原則として、一般NISAとつみたてNISAの変更は暦年単位です。その年に1回でも投資可能枠を利用していれば、翌年まで変更はできません。
また、投信積立で受渡日が翌月の1月になる取引を12月に行った場合は、積立の買付に翌年の投資枠を使うことになります。この場合は翌年も区分変更は不可能です。変更を希望する場合は、早めに積立の申し込みを取り消す必要があります。
同じ金融機関でつみたてNISAに変更する場合は、金融機関ごとに変更届出書などの関係書類を取り寄せ、必要事項を記入して提出すれば手続きは完了です。
翌年からの変更を希望する場合も、基本的な手続きは同じです。一般的に、その年の9月から12月中旬までに書類請求を行い、年が変わるまでに書類を提出する必要があります。
現在の金融機関から別の金融機関に変更する場合は、それぞれの金融機関で手続きしなければなりません。まずは現在利用中の金融機関から変更届出書などの関係書類を取り寄せ、口座廃止の申請を行った上で、口座廃止の通知書を受け取る必要があります。
次に、新しい金融機関から変更届出に関する書類を請求し、前の金融機関から受け取った口座廃止の通知書を添付して変更届出書を提出すれば、手続きは完了です。
一般NISAで購入した株式や投資信託の利益は、5年間非課税となります。非課税期間が終了すると翌年からは課税口座に移行しますが、保有している金融商品を期間満了後に非課税投資枠へ移すことで、再び5年間非課税で運用できます。この手続きが「ロールオーバー」です。
運用利益を含め120万円を超過していても、ロールオーバーで移行できる金額には上限がないため、全額をNISA口座へ移せます。ただし、120万円を超える金額を移行した場合、既に非課税枠を使い切っていることになり、その年の新規買付はできません。120万円以下であれば、非課税投資枠における残額の範囲内で新規買付が可能です。
ロールオーバーは同一金融機関における一般NISA口座内でのみ、非課税期間を延長できます。希望する場合は金融機関にロールオーバー依頼書などの書類を提出しなければなりません。書類提出の締め切りは金融機関ごとに異なるため、遅れないように注意が必要です。
一般NISAとつみたてNISAを、同じ年に併用することは不可能です。金融機関を分けてそれぞれを同時利用することもできません。その年に1万円でも投資してしまうと、同年のNISA口座は確定することに注意が必要です。
NISA制度は2024年から大きく変更される予定です。新規に投資できる期間が、一般NISAは2028年まで、つみたてNISAは2042年まで延長される予定です。
また、一般NISAの投資方法が、新NISAでは「2階建て」の構造となることも特徴です。1階部分は、つみたてNISAの対象商品と同様の商品で、年間20万円まで5年間非課税で投資できるようになります。
非課税投資枠 | 買い方 | 投資対象商品 | |
---|---|---|---|
2階 | 102万円 | スポット・積み立ての両方可 | 上場株式・ETF・REIT・公募株式投信など |
1階 | 20万円 | 積み立てのみ | つみたてNISA対象商品 |
年間102万円まで投資できる2階部分は、1階で積立投資を行った場合のみ利用できます。ただし、現行NISAの口座を持っている人や株式投資経験者は、2階部分のみ利用することが可能です。
2019年以降に一般NISAで購入した商品は、新NISAへロールオーバーできます。また、新NISAの1階部分の商品も、5年間非課税が満了した後につみたてNISAへロールオーバーできるようになる予定です。最長25年間、非課税で運用できることになるのです。
NISAとつみたてNISAは、取扱商品や取引方法などが異なります。変更する際に金融機関を変える場合は、それぞれの金融機関での手続きが必要です。
今後を見据えたベストな選択ができるように、ロールオーバーや新NISAの仕組みもしっかりと理解しておきましょう。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。