目に見える資産が金融資産であるならば、目に見えない資産で最も重要なのは、「健康」という資産ではないでしょうか。予防医療の考え方のもと、自分の健康は自分で守るという意識は年々高まっています。
自身での健康管理に有効な方法として、サプリメントや健康食品の活用があります。最新トレンドはどうなっているのでしょうか? 将来のサプリメントの在り方とともに解説します。
どれだけお金や資産があっても、健康でなければ意味がありません。そういう意味では、健康に投資するというのは、最も大事なことだと言えるでしょう。今や、「予防医療」「セルフメディケーション」という言葉が一般化したように、身体が不調になる前に自分で予防するという考え方は世界的に広まっています。
それを示すかのように、サプリメントや健康食品市場は、年々大きくなっています。2018年の健康食品・サプリメントにおける国内の市場規模は約1兆5,000億円、ヘルスケアフーズ全般に規模を広げると、約2兆6,000億円にものぼります(インテージ調べ)。
拡大傾向にあるサプリメントや健康食品市場には、今、ひとつの大きな動きがあります。その代表的なものが、「パーソナル化」です。
従来、サプリメントは「普段の食事で足りないものを補うために自分で選ぶ」という考え方でした。例えば、肌にトラブルがあると考えるのであれば、ビタミンを多めに摂るなどです。しかし、すべての人に同じように効果的なわけではなく、体質や体調、また身体の大きさで、摂るべきビタミンの種類、量は変わってくるはずです。
こういった課題を解決するために、サプリメントのパーソナル化が進んでいます。生体センサーやアプリなどを通じて、データをとり、そのデータを解析しながら、個人にあったサプリメントを提供するという考え方です。テクノロジーが進歩することで、生体データがとりやすくなったこと、ビッグデータを扱いやすくなったことが背景にあります。
アメリカでは、パーソナライズサプリの定期購入サービスを提供している「Care/of」が数十億円の資金調達を行うなど、この分野でいくつか目立った会社が出てきています。日本でも、「healthServer(ヘルスサーバー)」というサービスが資生堂から出資を受けるなど、注目を集めています。ヘルスサーバーは医学博士と管理栄養士が監修したアルゴリズムを使い、個々人に最適なサプリメントをその場で提供するオーダーメイド型のサプリメントサーバーです。
このように、今後サプリメントは今まで以上にITが取り入れられ、パーソナライズされることが当たり前になるかもしれません。
もうひとつの大きなトレンドが、メンタルヘルス市場の拡大です。ストレス社会の中で、うつ病などの精神疾患を抱える方は増えてきています。身体の不調と異なり、メンタルヘルスの不調は気づきにくい分野でもあります。この部分をセルフでカバーするという考え方が、海外で生まれつつあります。
例えば、アプリを使って瞑想ができる「SIMPLE HABIT」が10億円以上の資金調達をしたり、メンタルヘルスのコミュティーアプリである「Wisdo」も10億円規模の資金調達に成功しています。日本では、どちらかといえばこの分野は企業向けのサービスが増加していますが、今後、メンタルヘルスも自分でケアをしていく時代がやってくるのかもしれません。
人生において最も重要なのは健康です。健康になるために、ヘルスケアは自分が積極的に行う時代になってきていると言えます。サプリメントのパーソナル化や、メンタルヘルスコントロールのサービスは日本でもますます増えていくでしょう。豊かな人生を送るために、自分の健康に投資をしてみてはいかがでしょうか。