資産運用の基本はポートフォリオの構築から~目標運用利回り達成を目指す分散投資入門

資産運用では、積立貯蓄でコツコツ増やす人もいれば、株式投資のみで積極的に資産を増やそうとする人もいます。投資は、安定運用と積極運用のバランスが大事で、そのためにはポートフォリオをきちんと組んだ分散投資が必要になります。目標利回り別に運用商品を配分する分散投資について解説します。

資産運用のポートフォリオとは

ポートフォリオとは、保有する資産の組み合わせや比率を指す言葉です。したがって、2種類以上の資産があればポートフォリオが存在することになります。問題はその保有比率です。株式と債券を持っていたとして、「株式80%・債券20%」の比率なら「積極運用」、逆に「債券80%・株式20%」なら「安定運用」のポートフォリオといってよいでしょう。

積極運用と安定運用のどちらを選ぶかは、どの程度の運用利回りを目指すかによって変わってきます。別の言葉でいうと、「リスク許容度」をどの程度に置くかによって運用商品の選び方が決まることになります。具体的に考えてみましょう。

運用利回りの目標を決めてポートフォリオを構築する

ポートフォリオを構築する際に大事なのは、運用利回りの目標を決めることです。例えば、今は超低金利だから年1%の利回りで十分と思えば、安全な債券を組み入れた投資信託中心で安定運用を目指すほうが無難でしょう。

一方、投資するなら3%以上の利回りは欲しいということであれば、株価指数と連動する「インデックス型」の投資信託を中心にすると、目標に達する可能性が高くなります。あるいは、老後の資金作りのためには、5%以上の利回りは欲しいということになると、インデックス型を上回る運用成績を目指す「アクティブ型」の投資信託や、個別株の組み入れも考えなくてはなりません。積極運用はある程度のリスクを許容できる、余裕資金であることが前提になります。

関連リンク:投資信託の買い時はいつ?コロナは買い?投信の正しい売り買いのタイミングを解説

ベースは積立投資信託でしっかり増やす

はじめにポートフォリオのベースにする商品を決めますが、毎月の給与から投資するなら積立投資信託が最適です。投資信託の買い方には、自分の好きなタイミングで買う「スポット購入」と、毎月一定の金額を一定の購入日に買う「積立購入」(定期定額購入)の2つがあります。

スポット購入は個別株を買うのと同じようなスタイルのため、買うタイミングによっては高値掴みになる可能性があります。一方の積立購入は、毎月一定の金額を購入するため、ファンドの基準価額が高いときは少ない口数を購入し、安いときは多くの口数を購入することになります。

例えば、毎月3万円ずつ購入する場合、基準価額が1万円なら3口しか購入できませんが、7,500円に値下がりしているときは4口購入することができます。一時値下がりしても、やがて基準価額が1万円に回復すれば口数が増えた分、時価総額が大きくなるのです。このように同じ金額を長期に購入して、結果的に買値を平均化する買い方を「ドルコスト平均法」といいます。

金、不動産、債券も投資信託で分散投資が有効

投資信託は、さまざまな資産を組み入れて運用することが可能です。金(ゴールド)や不動産など実物資産を買うと大きな金額になる投資先でも、投資信託の形なら少額から投資できます。

金は、ここ数年著しい上昇相場となっています。金は、インゴッド(延べ棒)などの現物で購入すると保管が大変です。自宅に置くと盗難のリスクがあり、貸金庫や販売業者の保管サービスを利用すれば保管コストがかかります。そこで、金を組み入れた投資信託を購入すれば、現物を持たなくても金に投資できるのです。

不動産は現物で買うには投資額が大きく、場合によってはローンを組む必要があります。投資信託にはREIT(不動産投資信託)を組み入れたファンドがあるので、間接的に不動産に投資することができます。

また、債券は最も堅実な投資先としてポートフォリオには欠かせません。ただ、国債以外はあまり馴染みがないのが難点です。外債はどの程度安全なのかもわからない場合があるでしょう。投資信託の魅力のひとつは、「プロが運用する」という安心感にあります。 ファンドマネージャーが債券を分散しながら運用するため、 投資初心者でも、安心してリスク分散型の投資が実現できるといえるでしょう。 ただし、プロが運用しているからと言って、確実にリターンが見込めるというものではないので、その点に関しては注意が必要です。

高配当株への投資で運用利回りアップを目指す

投資信託だけでなく、個別株も買いたいという人は多いでしょう。個別株には自分で銘柄を選ぶ楽しみがあります。その場合、運用利回りの向上を目指すなら、業績が安定して毎年増配を実施している銘柄を選んだほうが安心です。

日本や海外の株式市場には10年以上連続で増配を実施している銘柄が多数存在します。連続増配銘柄は1度購入すれば減配にならない限り毎年利回りがアップしていきますので、ポートフォリオの運用利回りの向上に役立ちます。ただし、購入する場合は、連続増配が続くかどうか、業績見通しのチェックが欠かせません。

以上紹介した商品を基にポートフォリオを作成すると、以下のようになります。なお、実物資産が組み込まれた投資信託は、商品ごとにインデックス型・アクティブ型などいくつかのカテゴリーがあります。

ポートフォリオの一例

運用スタイル購入方法投資方法商品内容比率
安定運用積立投資信託インデックス型35%
債券型35%
積極運用スポット投資信託アクティブ型20%
株式個別株10%
運用スタイル商品内容比率
コアサテライト運用コアインデックス型投資信託/債券型投資信託/債券等の安定運用商品70%
サテライトアクティブ型投資信託/REIT/株式等の積極運用商品30%

積立・スポットという分け方のほかに、保有資産をコア(中核)とサテライト(衛星)に分けて運用する「コアサテライト運用」があります。コアの部分は長期的に安定したリターンを目指し、サテライトの部分はコアよりも積極的な運用で大きなリターンを目指します。ポートフォリオの中で両者をバランス良く保有することでリスクを抑えながら、より大きなリターンを得る資産運用が可能になります。

不確実な時代に分散投資で堅実な資産運用を

毎月の給与と年2回のボーナスから少しずつ投資していけば、長い目でみて大きな資産形成につなげることがきっとできるでしょう。上記のポートフォリオ例を参考にするなら、給与は安定運用として、投資信託をメインに、ボーナスは積極運用として、投資信託や個別株に投資することを検討してみてはいかがでしょうか?個別株については、1株単位で購入できる証券会社があるので、無理のない範囲で投資するようにしましょう。

新型コロナウィルスにより、先行き不透明な時代は当分の間続くことが予想されます。個別企業のみに投資していると、予期せぬ状況の変化で大きく資産価値を減らすリスクがあります。分散投資を基本とする投資信託の積立で基礎を固めた上で、少しでも運用利回りを上げるようなポートフォリオを組むことが理想的といえるでしょう。

※記事中で紹介している運用商品は一例であり、当該商品への投資を推奨するものではありません。

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