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【投資初心者向け講座第3回】成功のための秘訣「長期投資」

2020年前半の相場は、株式投資の難しさ、怖さを改めて実感する機会が多くありました。「コロナショック」と呼ばれる暴落に見舞われた株式市場を目の当たりにして、投資に恐怖を覚えた人、市場の急激な変動に右往左往した人、2番底を危惧して相場上昇に乗れず悔しい思いをした人……さまざまでしょう。

「もう投資はしたくない、本当に必要なの?」そんな不安を抱える方も多いはずです。しかし、今後も投資を継続したほうが良い理由があります。ここでは「長期投資の意義」と「複利の効果」をお伝えし、知っておくべき投資の真実に触れていただきます。

ショックを乗り越える長期投資の意義「継続は力なり」

投資の意義を考えるのに、長期投資の本質が判る最高の例があります。コロナショック後に、さまざまなニュースで「年金の運用が17兆円前後の赤字だ」と報道されていたことは記憶に新しいでしょう。 世界的な株安が影響して、1〜3月期は四半期ベースで過去最高の赤字となりました。

日本人の公的年金を運用している投資家「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」は世界から市場の「クジラ」と呼ばれ、日本の株式市場を支える存在です。

>>GPIFについて詳しく知りたい方はこちら

そんなプロによる運用結果がこれですから、やはり投資は怖いと思っても不思議ではありません。

GPIFからの正式な結果はまだリリースされていませんが、ニッセイ基礎研究所はGPIFの20年1〜3月期の運用が17兆円前後の赤字、19年度年間では8兆円の赤字にのぼると試算しています。GPIFが運用を始めた2001年度からの四半期ベースとしては過去最大の赤字となった見込みです。

17兆円という金額だけを見れば確かに大きな損失ですが、GPIFの総運用資金は約169兆円あります。つまり、損失は1割程度だということ。同期間のNYダウが23%の下落、日経平均が20%の下落だったことを考えて、GPIFは市場平均よりも高い運用実績を出したという見方もできるのです。「資産の分散投資」の効果が出ています。

また、この試算を前提にするとGPIFは2001年度からの累計でまだ約57兆円の黒字を出していることになります。リーマンショックやコロナショックという大きな暴落を経験してもトータルでは大きくプラスです。これが「時間の分散投資」の効果です。

長期投資の意義はここにあります。様々な資産にリスクを分散し、長期で投資をすることで、大きなショックを乗り越えて資産を形成することができるのです。まさに「継続は力なり」と言えるでしょう。

長期投資をするなら知っておきたい「複利の効果」と「72の法則」

投資の効果は、期間が長ければ長いほど「複利の効果」を活かすことができます。複利の効果とは、運用で得たリターン(売却益や利息)を再投資することで、リターンがリターンを雪だるま式に生み出す効果のことをいいます。期間が長ければ長いほど威力を発揮します。

たとえば、100万円を3%の利回りで投資した場合、20年後には単利だと約180万円ですが、複利だと約206万円になります。20年で26万円の差が複利効果です。この効果は期間が長くなればなるほど、利回りが高くなればなるほど差がつきます。

複利は計算が複雑ですが、自分の長期の資産形成の計画を立てるときに、「72の法則」が覚えやすいので頭にいれておきましょう。複利でお金が倍になるために必要な期間を簡単に計算する式です。

72÷金利・運用利回り(%)=投資期間(年数)

たとえば、運用利回り(金利)が2%なら約36年、4%なら18年で資産が倍になる、といった具合に簡単に計算することができます。逆に、10年で資産を倍にするためには運用利回り何%必要かという計算にも使えます。

72÷投資期間(年数)=金利(%)

10年で資産を倍にしたかったら、複利で年7.2%の利回りが必要だということが簡単に計算出来ます。

投資は資産を増やす時間を大きく短縮してくれる

GPIFの例を見れば明らかですが、長期投資で分散投資することにより、リスクを避けながら、着実に資産を増やすことが可能です。定期預金金利が0.1%だとして、資産を倍にするには720年かかる計算になります。このように考えると、投資は資産を増やす時間を大きく短縮してくれるツールだと考えることができます(当然リスクはあります)。

日本の長期国債の流通利回りは、1980年代は4〜8%台、90年代は1〜6%台でした。定期預金などの金利も国債に連動したため、貯金や債券の運用でも十分に運用効果がありました。しかし、2000年代以降は0〜1%台、2020年はゼロです。

世界的な低金利の状態で、安全資産の債券だけで長期投資をしていたら、大きなリターンは期待出来ません。GPIFは途中で株の投資比率を上げましたが、上げていなければ長期の投資結果はもっと悪かった可能性もあります。仮に17兆円の損失を一時的に出したとしても、長期では株式投資に軍配があがる可能性が高いのです。

長期運用はショックや暴落、低金利、インフレを乗り越える

「投資の真実」が見えてきたのではないでしょうか? 歴史を振り返れば、リーマンショックやコロナショックのような急落があっても長期投資では影響をカバーできる可能性が高いのです。むしろ長期運用の場合、急落時にリスク資産を追加投資することで将来のリターンを高めるチャンスになるとも言えます。

政府は超低金利時代が続くことを想定し、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの投資優遇税制を整備して「貯蓄から投資へ」を推進しているのです。

>>NISAとiDeCoを詳しく解説した記事はこちら

今は低金利ですが、インフレになり金利が上がった場合、現金や債券、保険などの資産価値は低下します。一方、株や不動産などの現物資産の価値は高まります。もちろん、20年〜30年後に何が起きているかを予想することは難しいですが、「分散投資×長期投資」を実践することで、様々なリスクをヘッジすることにつながるのです。

投資の必要性、長期投資の重要性をお伝えしたところで、次回は長期投資を継続する上で必要な「価格に振り回されない姿勢」の重要性についてお届けします。

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