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新NISAを始めるタイミング、40~50歳からでも遅くないって本当?
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

新NISAを始めるタイミング、40~50歳からでも遅くないって本当?

これから新NISAを始める場合は、どのタイミングで口座開設や投資をすればよいでしょうか。新NISAは2024年1月から始まりましたが、様々な目的に合わせて資産形成の計画を立てられるため、40~50歳からでも遅くはありません。

本記事では、新NISAを始める4つのタイミングや注意点をまとめました。非課税投資枠を意識した口座開設のタイミングや、円安・円高の違いについても解説します。

新NISAを始めるタイミングはいつでも遅くない

結論からいうと、新NISAを始めるタイミングはどの年齢からでも遅くありません。目的に合わせて資産形成ができるように、様々な対象商品が用意されているためです。

また、投資手法にも一括投資と積立投資があり、毎月1,000円のように無理のない範囲で始めることも可能です。金融商品や手法の選び方次第では、40~50歳から始めてもまとまった資産を形成できるかもしれません。

ただし、金融商品には資産を減らすリスクもあるので、新NISAを始める前には目的に合わせた運用計画を立てましょう。

新NISAを始めるタイミング4つ

新NISAを始めるタイミングは、その人の資産状況やライフスタイル、将来の目標などによって異なります。どのような時期に検討する人が多いのか、ここでは4つのタイミングをご紹介します。

1.今すぐに始める

長期積立投資を前提にする場合は、今すぐのタイミングで新NISAを始めると効果を高められる可能性があります。

購入金額と購入頻度を一定に保つ積立投資では、金融商品の価格が下がったときに多くの数量を購入し、価格が上がったときには購入数量を減らすような投資を実践できます。結果として平均購入単価が平準化されるため、相場状況によっては損失のリスクを抑えられることがあります。特に保有商品の相場が下落している局面では、積みたての期間を延ばすほど平均購入単価を下げられます。

また、新NISA口座を開設したとしても、すぐに金融商品を購入する必要はありません。投資のタイミングは自由に選べるため、まずは準備を整えることから検討してみましょう。

2.家計に余裕があるとき

家計に投資をする余裕があるときも、新NISAを始めるタイミングのひとつです。

実際の投資では損失がでる可能性もあるため、リスクのある資産運用は余剰資金で始める必要があります。余剰資金の考え方はいくつかありますが、まずは以下の計算式を使って大まかな金額を把握してみましょう。

保有している金融資産-(3~6ヵ月分の生活費+準備資金)=余剰資金

上記の「準備資金」は、今後数年間のうちに使う予定があるお金です。近いうちにマイホームや自動車を購入したり、子どもの進学費用などが必要になったりする場合は、その分のお金を除いて余剰資金を計算しましょう。

数ヵ月分の生活費や準備資金を確保しておくと、仮に投資で損失がでたとしても、日常生活への影響を抑えやすくなります。

3.老後資金に不安を感じたとき

新NISAによる資産運用は、老後資金の形成に役立つことがあります。対象商品である株式や投資信託、ETFなどには、預貯金より高い利回りを期待できる銘柄が多く存在しているためです。

平均寿命まで生活することを想定した場合、一般的な老後生活ではどれくらいの資金が必要になるでしょうか。2023年の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出額(1ヵ月あたり)は29万3,997円、単身世帯では16万7,620円が平均とされています。

参考:e-Stat「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯用途分類 001 用途分類(総数) | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口
参考:e-Stat「家計調査 家計収支編 単身世帯用途分類 001 用途分類(総数) 全国 | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口

これらの金額をもとに、必要な老後資金を簡単に計算してみます。

※平均寿命は、「令和5年簡易生命表」における男性・女性のデータを平均したもの。老後が始まる年齢については、65歳で定年退職するケースを想定。

<2人以上世帯>
(平均寿命-老後が始まる年齢)×(毎月の生活費×12ヵ月)=必要な老後資金
(84歳-65歳)×(29万3,997円×12ヵ月)=6,703万1,316円

<単身世帯>
(84歳-65歳)×(16万7,620円×12ヵ月)=3,821万7,360円

上記の老後資金を見たときに不安を感じる人は、ひとつの選択肢として新NISAを検討してみましょう。

4.将来的に大きな支出があるとき

将来的に大きな支出がある場合も、新NISAは選択肢になるかもしれません。

日々の生活を安定させるには、普段の生活費に加えて準備資金や急な出費にも対応する必要があります。例としては、以下のような支出が挙げられるでしょう。

<大きな支出の例>
・マイホームや自動車の購入費用
・住宅の修繕費用
・子どもの進学費用
・家族の介護費用
・病気やけがをしたときの医療費 など

ただし、新NISAの対象商品には元本保証が備わっていないため、相場状況によっては資産を減らすリスクがあります。ご自身が許容できるリスクを超えないように、損失がでる状況は常に想定しておくことが重要です。

新NISAを始めるタイミングは何月がいいか

結論からいうと、新NISAを始める時期に正解はありません。ただし、非課税投資枠を最大限活用したい人は、年をまたぐタイミングに注意する必要があります。

新NISAで運用益が非課税(所得税や住民税)になるのは、非課税投資枠の範囲内で購入した金融商品のみです。成長投資枠には年間240万円、つみたて投資枠には年間120万円の非課税投資枠が設けられており、年内に使い切れなかった投資枠は翌年に持ち越すことができません。

また、つみたて投資枠には毎月10万円の上限金額があるため、新NISAを始めるタイミングが遅れると、非課税投資枠を使い切れなくなる場合があります。

新NISAを始めるタイミングは円安・円高のどちらがいいか

外国株式など海外資産への投資を前提にする場合は、円高から円安になるタイミングで新NISAを始めると有利になります。

わかりやすい例として、1ドル100円のときに米国株式を100ドル分(1万円分)購入するケースについて考えてみましょう。このときに為替レートが1ドル140円になると、株価が変動しなくても4,000円分(1万4,000円-1万円)のリターンが生じます。

一方で、1ドル80円のように為替レートが円高方向に進むと、株価が上昇しても損失をだしてしまうかもしれません。相場状況にもよりますが、海外資産への投資では基本的に円安が有利になります。

ただし、金融商品には様々な選択肢があるため、為替動向だけで判断する必要はありません。円高が進んだとしても、保有資産の価格が短期間で上昇するような場合は、大きなリターンを期待できることもあります。

また、国内資産だけに投資する金融商品を選ぶと、為替変動のリスクは抑えやすくなります。

新NISAは40~50歳のタイミングで始めると遅い?

40~50歳から新NISAを始めると、老後までにどれくらい資産を増やせるのでしょうか。ここからは国内株式に投資することを想定して、100万円を一括投資した場合の資産額をシミュレーションしました。

利回りについては、日本取引所が公開している下記のデータを参照しています。

<東京証券取引所における単純平均利回り(2024年8月末時点)>
プライム市場:2.33%
スタンダード市場:2.49%
グロース市場:0.65%
参考:日本取引所グループ「その他統計資料

運用期間 利回り2.33%
(プライム市場)
利回り2.49%
(スタンダード市場)
利回り0.65%
(グロース市場)
5年 114万8,200円 115万9,014円 103万9,639円
10年 128万8,346円 131万679円 107万3,869円
15年 144万5,598円 148万2,190円 110万9,227円
20年 162万2,043円 167万6,144円 114万5,748円
25年 182万22円 189万5,478円 118万3,472円

利回りが高い金融商品に投資をしたり、積立投資で投資金額を増やしたりすると、さらに多くのリターンを期待できる可能性があります。かえって資産を減らすリスクはありますが、金融商品や投資手法には様々な選択肢があるため、新NISAは40~50歳から始めても遅くはありません。

新NISAを始めるときの注意点

実際に新NISAを始める場合は、どのように計画を立てて行動すればよいでしょうか。ここからは、新NISAを始めるときの注意点をご紹介します。

目的に合った運用方法や投資先を選ぶ

新NISAの対象商品には株式や投資信託、ETFなどがあり、それぞれ異なる特性をもっています。銘柄によっても期待できるリターンやリスクは変わるため、まずは目的を明確にすることから始めましょう。

目標金額や運用期間が決まると、投資資金や利回りなどの見通しを立てやすくなります。そのうえで運用方法や投資先を選べば、目的を達成できる可能性が高まります。

金融機関の取扱商品を確認しておく

新NISAで購入できる金融商品は、口座開設をする金融機関によって変わります。目当ての銘柄を購入できないこともあるため、各金融機関の取扱商品は事前に確認しておきましょう。

後から金融機関を変えることもできますが、変更手続きでは複数の書類が必要になります。手続きの完了まで1ヵ月ほどかかる場合もあるので、口座開設をする金融機関は慎重に選んでください。

金融機関の積立設定を確認しておく

積立投資をする場合は、積立設定の方法も確認しておく必要があります。金融機関ごとにサービスの仕組みは異なるため、目的に合った手法を実践できる口座開設先を選びましょう。

金融機関によってどのような点が異なるのか、以下では確認しておきたいポイントをまとめました。

・積みたてできる頻度(毎月、毎日など)
・積みたての上限金額
・ボーナス設定の有無や回数
・使用できるクレジットカード
・クレカ積みたてで貯まるポイントの種類

上記の「ボーナス設定」とは、指定した月の積立金額を増やせるサービスです。年の途中から新NISAを始めた人でも、ボーナス設定を利用するとその年の非課税投資枠を使い切れる場合があります。

許容できるリスクを考える

新NISAの対象商品には値動きが激しいものもあるため、ご自身が許容できるリスクを事前に把握しておきましょう。許容できるリスクとは、受け入れられる最大の損失幅です。

たとえば、家計に余裕がない人や、大きな出費を控えている人などは、大きな損失がでると日常生活に影響するかもしれません。これらのケースに該当する場合は、少額投資や分散投資などでリスクを抑える必要があるでしょう。

許容できるリスクを設定する際には、ご自身の年齢や収入状況、保有資産額、投資経験などを考慮することが重要です。様々な観点から状況を整理し、「いくらまでの損失であれば耐えられるか」を明確にしてみてください。

生活防衛資金は確保する

生活防衛資金とは、万が一の事態が起きても日常生活を続けるための資金です。投資を始めた直後に病気やけがをしたり、事故に遭って働けなくなったりする可能性もあるため、生活防衛資金は確実に残しておく必要があります。

生活防衛資金に明確な定義はありませんが、少なくとも3ヵ月~6ヵ月分の生活費は確保しておきましょう。子どもの進学を控えているなど、出費がかさむ時期には1年~2年分の生活防衛資金が必要になることもあります。

原則として、損失のリスクがある投資は余剰資金で行うものです。どのような状況でも日常生活への影響を避けられるように、投資に回す資金は慎重に考えてください。

新NISAは様々な目的に活用できる制度

新NISAは様々な目的に活用できるため、どの年齢やタイミングでも始めるのに遅いことはありません。すぐに金融商品を購入しなかったとしても、NISA口座を開設しておくと資産形成の機会が生まれる場合もあります。

まずは目標金額や運用期間を設定し、ご自身に合った運用方法を考えてみましょう。

※為替レート:1米ドル=141.1円
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
※過去の実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。
※本記事は、2024年9月13日現在のものです。今後制度が変更になる場合もあります。

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