私たちが毎月国に支払っている公的年金(厚生年金及び国民年金)は、株式等で運用されていることをご存知ですか。今回は、年金保険料の運用を行うGPIFについて解説するとともに、株式等が私たちの生活に与える影響についてお伝えします。
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GPIFとは?私たちの年金が運用される仕組み
コロナショックで株価が暴落したというニュースを見ても、「自分は投資をしていないから関係ない」と思っていませんか?しかし、私たちが支払う年金保険料は、株式等で運用されているため、株価の暴落は少なからず国民全員に影響を及ぼすのです。
年金保険料を運用しているのは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)です。GPIFは厚生労働省が徴収した年金保険料を委託され、国内外の株式や債券に投資して運用を行っています。そして、元金と運用益の合計が、私たちが将来受け取る年金の原資となります。
GPIFがポートフォリオ改定で外債比率を高める
GPIFの基本ポートフォリオは、2019年度までは下記の通りでした。(実際に運用しているポートフォリオの資産構成割合は、この基本ポートフォリオの構成割合とは異なり、各資産ごとに、許容された範囲で変動します。)
国内債券35% 国内株式25% 外国債券15% 外国株式25%
しかし、2020年度より下記の通り基本ポートフォリオが下記のように変更されました。
国内債券25% 国内株式25% 外国債券25% 外国株式25%
国内債券の割合が10%下がり、外国債券の割合が10%上がったことがわかります。今回の基本ポートフォリオ変更は、日本の金利が長期的に低迷していることから、海外資産に利回りを求めたと考えられるでしょう。
自分の将来のため、相場に関心を持つことが大切
GPIFの運用資産額は、2019年12月時点で168兆9,897億円です。私たちが将来年金として受け取れる金額は、GPIFの運用成果に少なからず影響を受けます。
国内株式の基本ポートフォリオにおける比率は25%なので、金額におきかえると約42兆円です。仮に日本株が1%下がれば、私たちの年金の原資は約4,200億円減少することになります。
コロナショックによる株価暴落は、決して他人事ではありません。私たちが支払った年金保険料が、国内外の債券や株式に投資されている事実は、しっかり認識しておきたいものです。
経済は私たち一人ひとりの生活に影響を与えます。「投資をしていないから」「自分の会社には影響がないから」と切り離して考えるのではなく、年金制度を含めさまざまな事柄と結び付けて考える視点を持ちましょう。