『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』より一部抜粋
(本記事は、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社の著書『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』=ベストセラーズ、2023年5月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
資産収入の倍増は可能なのか
2000年から2021年までの約20年間、日本の家計金融資産は1.4倍に増加しました。また、運用リターンによる家計金融資産は1.2倍で、倍増からは遠い結果です。一方、米国の推移を見ると、家計金融資産が3.4倍へと伸びており、運用リターンによるものは2.6倍となり、改めて日本の一歩も二歩も先を行っている状況が分かります(図表1‐2)。
この差はどこから生まれているのでしょうか。最も大きな要因と考えられるのは、先にも触れた日本人の金融資産の半分以上が、現金・預金に置かれているという点です。図表1‐3を見ると、米国では現金・預金が12.8%、株式、債券、投資信託の合計が43 .2%を占めますが、日本では現金・預金が54.9%と半分以上です。
しかし、現在のような低金利の環境下、資金を現金・預金に置いたままでは増えないことは日本でも大多数の人が理解しています。また、新型コロナウイルス感染症やロシア・ウクライナ紛争の影響などにより、日本においてもインフレが現金の価値を目減りさせることを肌で感じている方々も多くいると思います。これらの点からも資産運用の重要性が認識されつつあるのではないでしょうか。
政府の制度拡充もあり、緩やかながらも投資人口が増えてきています。また、投資先の選択についても、以前にも増して積極的に検討しようという意向が見られます。次の図表1‐4は、金融商品を選択する際に重視することの調査結果です。2021年以降、「収益性」を重視する比率が大きく増加しています。
また、さらに一歩踏み込んだ質問となる「元本割れを起こす可能性があるが、収益性の高いと見込まれる金融商品の保有」についても、2021年以降は「積極保有意向」と「一部保有意向」の合計が約半分を占め、保有意向が増加しています(図表1‐5)。これらの結果からも、リターンを得るためには、取れるリスクの範囲を見極めて資産運用をしていこうという投資家が増えつつあることが分かります。このような投資家の行動変容が、資産収入倍増につながっていくのかもしれません。世界の中でも後れを取っていた日本の資産運用ですが、ようやくここにきて、積極姿勢を取る投資家人口の割合が増加してきました。
<著者プロフィール>
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社
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