欧米やアジア諸国を中心に、近年ではオフィスや小売店、ホテルに使用される商業用不動産が注目されています。商業用不動産は新型コロナウイルスの影響を受けましたが、2022年から年平均の成長率が10%以上になると予測されています。
商業用不動産市場の年平均成長率は10%以上
インドの調査会社「Mordor Intelligence」のレポート(※)によると、世界の商業用不動産市場は、2022年から2027年まで年平均10%以上の成長率となる見込みです。同調査会社は、市場の成長を支えるのが都市化やデジタル化、外国からの投資の増加であると指摘しています。
また、世界の商業用不動産市場の成長をリードする地域としては、オフィス建設の50%以上を占めるアジア太平洋地域が挙げられています。中国をはじめとするアジア太平洋地域は、人口増加やGDPの成長などが見られるため、今後もオフィス需要が伸びることが予測されています。
(※)Mordor Intelligence「商業用不動産市場」。
小売不動産セクターは大幅に成長
世界の商業用不動産市場をセクター別に見ると、小売不動産セクターが大きく成長すると同調査会社が予測しています。主な成長要因としては、業務のデジタル化やビジネスモデルの変革などが挙げられます。この他にも以下のような戦略によって、時代の変化に対応している点も成長要因と考えられます。
<小売不動産セクターで注目される戦略>
・多様なニーズを満たすショッピングセンターの開発
・ニーズに合わせたテナント構成のカスタマイズ
・新たなビジネスモデルに対応したリースモデルの開発
・オムニチャネル戦略(※)によるビジネス拡大
(※)実店舗やECサイトなどと連携して消費者にアプローチする戦略。
これらの成長要因により、特に米国・欧州・アジア太平洋地域は2019年と比較して2021年に小売の売上高を大きく伸ばしました。
REITを通じて商業用不動産を投資対象に加えてみよう
新型コロナウイルスの収束とともに、商業用不動産市場は今後も回復していくと予測されています。特にアジア太平洋地域は2021年以降の世界市場をリードしているため、小売不動産セクターにも注目してもいいかもしれません。実際に商業用不動産を運用する場合は、REIT(不動産投資信託)などを通じて投資することを検討してみましょう。
※為替レート:1ユーロ=157円
※本記事は不動産に関わる基礎知識を解説することを目的としており、REITへの投資や不動産投資を推奨するものではありません。